第12話 ドラゴン、けっこう怒ってるんですけど…
ルーカス、ルナ、そして私は、ドラゴンに会いに行くことになった。
ルーカスは、
「ドラゴンとは、昔一度やりあったことがある。あいつならわかってくれるじゃろう」
と楽観的な様子を見せていたが、私は不安を感じていた。
それからしばらくして、島全体で地震や突然の暴風雨が頻発し、ドラゴンの怒りが原因だということが判明した。
ドラゴン、めっちゃ怒っとるやん…。
私は心の中でつぶやきながら、どうにかこの地での生活を許可してもらわないと、私たちの作戦が上手くいかないと考えていた。
ドラゴンズリフト島は、島を縦断する険しいドラゴンズリフト山脈と火山が特徴で、山脈の頂上付近にドラゴン族の住処がある。
島周辺のドラゴンズフォレストには特異な動植物が生息し、湖と川が清らかな水源を供給している。
温暖な気候で、四季の変化があり、魔法の影響で特異な自然現象も見られ、島全体は魔法の力に包まれており、夜には魔法のオーロラが空に現れることがある、とても神秘的な場所だ。
とても美しい島なのだが、ドラゴンが守る島のため、人間は住むことができないとされていた。
ましてや、ドラゴンが住む住処にたどり着くには、かなり険しい道を行かなくてはいけない。
「ドラゴンに会って、きちんと許しを得た方がいいと思う」
私の言葉に、魔法使い全員が頷いた。
「戦いをして、友になれたと思ったのだが、世の中そんなに甘くはないのう…」
ルーカスは、ため息をついていたが、ドラゴンが怒るのも無理はないだろう。
いきなり来た人間に、森が焼かれ好き勝手されていたのだ。
それにしては、猶予をくれていたと思う。
「ルーカス。友だったとしても、人間にしたらここは禁足地なんだよ。きちんと話をつけに行こう!」
私の言葉に、ルーカスは頷いた。
うーん。
確かに昔から、楽観的な性格だったんだよね。
その辺は変わらないな。
私は、昔の仲間ラターシュの面影を感じ、少しほほえましく思いながらも、筋は通さないといけないと強く感じていた。
という訳で、魔法使いのみんなには町づくりを継続してもらい、私達はドラゴンに会いに行くことになったのだった。
道のりは険しかった。
深い森を抜け、険しい山道を登り、数々の試練を乗り越える必要があった。
三日間の旅は過酷で、疲労が体に蓄積していくのを感じたが、目的地を目指して進み続けた。
そして、ついにドラゴンの住む山頂にたどり着いた。
そこには巨大な洞窟があり、金色に輝く巨大なドラゴンが私たちを待っていた。
ドラゴンの目は怒りに燃えており、その威圧感に圧倒された。
「ルーカス…お前はなぜここにいる?」
ドラゴンの低く威圧的な声が洞窟内に響いた。
「ドラゴンよ、久しぶりじゃのぉ…。わしらは助けを求めてここに来たのじゃ」
とルーカスは言ったが、ドラゴンの目は怒りに燃えていた。
全然だめじゃん…。
「人間どもがこの島に来るなど許せぬ。私はお前たちのような者に再び失望するつもりはない!」
ドラゴンの咆哮に、空気が震えた。
私は一歩前に出て、
「私たちは平和な場所を求めてここに来ました。あなたの怒りを理解しますが、どうか話を聞いてください」
と懇願した。
しかし、ドラゴンの怒りは治まらなかった。
「話など聞く耳は持たぬ!」
ドラゴンは怒りを込めて叫び、巨大な爪で攻撃を仕掛けてきた。
その一撃で地面が砕け、巨大な亀裂が走った。
ルナが素早く動き、私を守るために前に出た。
ルナの目が鋭く光り、低い唸り声を上げながら、ドラゴンと対峙した。
二匹の魔獣が互いににらみ合い、緊張が走る。
「ルナ、気をつけて!」
私は叫んだが、ルナはドラゴンの攻撃をかわしながら反撃を繰り出した。
ルナ動きは素早く、鋭い牙でドラゴンの鱗に噛み付いた。
しかし、ドラゴンの鱗は硬く、ルナの攻撃は効果を見せなかった。
ドラゴンは激怒し、炎を吐き出した。
熱気が私たちに押し寄せ、私は思わず顔をそむけたが、ルナは炎の中で耐えていた。
「まずい…。ルナ、一度下がるのじゃ!」
ルーカスが声を掛けたが、ルナは体が傷つきながらも、私を守るために立ち向かい続けた。
「ルナ、無理しないで!」
私は叫びながら駆け寄ろうとしたが、その瞬間、ドラゴンの尾がルナに叩きつけられた。
ルナは空中に放り出され、地面に激しく叩きつけられた。
「ルナ!」
私は悲鳴を上げて駆け寄り、傷だらけの体を抱えた。
ルナは息も絶え絶えで、痛みに耐えていて、そのまま意識がなくなってしまった。
うそ…。
死んでないよね?
ルナ!!
その瞬間、私の中で何かが弾けた。
怒りが混じり合い、私の中から魔力が爆発した。
目の前の世界が赤く染まり、ドラゴンに向かって叫んだ。
「やめて!これ以上傷つけないで!」
その叫びと共に、私の手から巨大な炎が噴き出し、ドラゴンに向かって放たれた。
炎はドラゴンの体に直撃し、驚いたように後ずさりした。
「お前…まさか…」
ドラゴンは炎の中で、何かに気づいたようだった。
ドラゴンの姿が揺らぎ、次の瞬間、人間の姿に変わった。
美しい、女性の姿だった。
「お前は…リトの生まれ変わりなの…?」
その女性は、驚きの表情で私を見つめた。
私を知っている?
誰?
「私よ、リト。シエーナよ」
その女性は、驚くことを言った。
「シエーナ…!?」
私は、驚きのあまり叫びに近い声を出してしまった。
ルーカスも驚いている。
「シエーナ…なのか!?わしは…、ラターシュじゃ!!」
ルーカスも正体を明かした。
シエーナは、大きな目をさらに大きくして、
「えっ!?ルーカスって、ラターシュだったの!!?」
と、驚いている。
しばらく全員が沈黙した後、全員で大絶叫!!
シエーナだ!!
シエーナも転生していた!!
私はシエーナに駆け寄り、涙を流して再会を喜んだ。
「ごめんなさい…。あなたの大事な仲間を傷つけてしまった…」
シエーナが、目を伏せた。
「ルナなら心配ない。気絶しておるが、わしが回復しておいた。じきに目を覚ますじゃろう」
ルーカスがにっこりと笑った。
良かった…。
ルナ、ごめんね。
「それにしても、どうして私だって分かったの?」
私が聞くと、
「あ、なんか、魔力の質っていうか、リトって独特なのよね。召喚されたからか、私達とちょっと質が違うっていうか…」
「うむ。わしはすぐには気が付かなかったが、なんとなくわしらの魔力とは違うんじゃよ」
シエーナとルーカスは、二人で納得しあってる。
そうなのか?
私にはさっぱりわからない。
「でも、さすがシエーナじゃな!瞬時にわかるなんてな!」
「だって、こんな魔力リトしかいないじゃん!甘い匂いもするし、わかるわよー!それよりラターシュ、言葉遣い年寄りで笑える~!!」
「200歳じゃ!年寄りじゃよ!」
「え~!私も200歳だけどね。やっぱ、魔法使いって言ってもさすがに200歳は老けるか!」
二人ともゲラゲラ笑って盛り上がっている。
シエーナとルーカスはしばらく笑った後、真剣に話をし始めた。
シエーナは私の方を見て、
「私たちは再び力を合わせて戦いましょう」
と言った。
「でも、私たちドラゴン族は、めったにはこの島から出ることはできない。それでも、私たちの力を貸すわ。戦いの訓練や魔法の修行に協力し、あなた達の計画を支援するわ」
とシエーナは誓ってくれた。
その日は、ドラゴン族の住処に招待された。
ルナも回復し、再び私の隣に戻ってきた。
シエーナと他のドラゴン族も人間の姿で歓迎してくれた。
まぁ…色々と驚くことはあったんだけどね…。
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