【完結】家族だからこそ、分かり合えないこともある。でも、家族だからこそ、最後には笑い合える。

第6話 修羅場

翌朝、桜は早く目を覚まし、窓の外を見ると美しい朝焼けが広がっていた。静かな朝の空気を吸い込みながら、今日も家族と良い時間を過ごせるようにと心の中で祈った。

「おはよう、桜。早いね」と和子が声をかける。桜は「おはよう、お母さん。今日は早起きして朝風呂に行こうと思って」と微笑んだ。

「いいわね、私も行こうかしら」と和子が言うと、桜は「そうだね、皆で行こう」と応えた。

やがて葵と涼も起きてきて、全員で朝風呂に向かう。温泉の湯が体を温め、リラックスした時間が流れる。

「今日はどう過ごそうか？」と葵が尋ねると、桜は「温泉街を散策して、お土産を買ったりするのも良いかもね」と提案した。

「うん、それいいね」と涼が同意し、和子も「皆で楽しい一日を過ごしましょう」と微笑んだ。

温泉から上がり、朝食を済ませた後、桜たちは温泉街を散策することにした。和やかな時間が流れ、皆の心に穏やかさが戻っていた。

しかし、その平和な時間も束の間、部屋に戻った時に再び緊張が走った。

「ねぇ、葵。昨日の夜、あんなこと言ってたけど、本当にそう思ってたの？」と桜が切り出す。

葵は少し驚いた様子で「何のこと？」と尋ねると、桜は「私と比べられるのが辛かったって。本当にそう思ってたの？」と繰り返した。

葵はため息をつき「そうだよ。ずっと感じてたことだよ。でも、今さらそんなことを言って何になるの？」と少し苛立った様子で言った。

「だから、ちゃんと話し合おうって言ったじゃない。お互いの気持ちを理解するために」と桜が声を荒げると、涼が「皆、落ち着いて。こういう時こそ冷静に話し合うべきだよ」と仲裁に入った。

「涼、わかってるよ。でも、私ももう限界なんだ。桜はいつも自分のことばかりで、私たちのことなんて考えてないんじゃないかって思う時があるんだ」と葵が涙声で言った。

「そんなことないよ、葵。私はいつも皆のことを考えてた。でも、それが空回りしてたのかもしれない」と桜が答えると、涼が「桜、私たちもあなたの気持ちを理解しようとしてるよ。でも、もっとお互いに話し合う時間が必要だったんだよね」と言った。

和子はその様子を静かに見守りながら、「皆、それぞれに感じてることがあるのね。こうして正直に話し合うことが本当に大事よ」と優しく言った。

「お母さん、ごめんなさい。私たちがこんな風に争ってしまって」と桜が謝ると、和子は「謝ることはないわ。家族なんだから、時にはぶつかり合うこともある。でも、それを乗り越えてこそ本当の絆が深まるのよ」と応えた。

「うん、そうだね。これからはもっとお互いの気持ちを大切にしよう」と桜が決意を新たに言うと、葵も「私もそう思う。もっと正直に話し合っていこう」と同意した。

「涼も、これからも私たちを支えてね」と桜が言うと、涼は「もちろん。家族だからね」と静かに頷いた。

その時、部屋のドアがノックされ、桜がドアを開けると、そこには涼の恋人の悠が立っていた。

「サプライズ！みんな、元気？」と悠が明るく言いながら部屋に入ってくる。葵は驚いて「悠、どうしてここに？」と尋ねると、涼が「実は、サプライズで呼んでおいたんだ」と答えた。

「そうだったのね。でも、嬉しいわ。皆で過ごす時間がさらに楽しくなるわね」と和子が微笑む。

「そうだね、皆で楽しい時間を過ごそう」と桜が言い、葵も「うん、今日は皆で思いっきり楽しもう」と笑顔を見せた。

こうして家族と悠が一緒に過ごす温泉旅行の時間が、再び温かく和やかなものとなっていった。お互いの気持ちを理解し合い、絆を深めることができた桜たちにとって、この旅行は忘れられない大切な思い出となるだろう。

家族の絆を感じながら、皆が再び笑顔で過ごす一日が始まった。