第24話 作戦会議
☆
東芝華蓮と佐久間大二郎。
この2人はゴミ中のゴミだ。
その2人のゴミから生まれた佐久間陽菜の事を考え、思い出した。
私は思い出した事を携え、ゆっちゃんの居る控え室に向かう。
佐久間陽菜は更に暴走するだろう。
その前にどうにかしなければならない。
そう思いながらドアノブを捻って開ける。
そしてゆっくり中に入るとゆっちゃんが考え事をしながらだろうけどテレビを観ていた。
私に気が付いた様に顔を上げる。
「きいちゃん」
「うん。ただいま...」
「...どうしたの?何だか...顔が複雑だね」
「...ゆっちゃん。あの女。佐久間陽菜の事...何かしら対策を取った方が良いかもしれない」
「...!」
「彼女はかなり嫌な嫌がらせをしてきているしね」
私はその姿を見ながら「...ゆっちゃん。強く居てね」と言う。
何故ならゆっちゃんはあくまでライトニング・スターのリーダーだから。
リーダーであり仲間であるから。
思いながら私はゆっちゃんを見る。
ゆっちゃんは私を見てから強く頷いた。
それからゆっちゃんは「私は貴方達を守る。この場所を守りたい」と私を見てきた。
私はその言葉を受けてから「そうだね」と言う。
正直。
「...ゆっちゃん」
「...ん?どうしたの?きいちゃん」
「私は...実は貴方を恨んでいた」
「...うん」
「友香と同じ様に頑張っているのに。何故貴方が1番なのだと。そういう感じで」
「...」
「...私は愚かだよ。...貴方はそう思って無いのに」
そう言いながら私は沈黙する。
するとゆっちゃんは私をゆっくりと抱き締めて来た。
それから「きいちゃんも相当に悩んでいるの知ってる。...でも勘違いしないでね。私はこの場所が確かに私の場所だけど私は1番を誇らしく思ってない。...私は実力で成り上がった訳じゃ無いし」と言う。
「...そうだよね。だけど私、嫉妬していた。愚か者だよ」
「それは愚かなんじゃない。...当たり前の事だと思う。私達は生きている以上、そうなるんだよ」
「...相変わらずだね。ゆっちゃんは」
その様に話していると友香が帰って来た。
それから「ただいま...うわ!?何、何!?」となっている。
私達は泣くのを止めてから友香を見る。
友香は「???」を浮かべて私達を見ていた。
☆
私という人間は何者なのか分からない。
だけど私はあくまで1番とはいえ。
これはただの運だって思っているのだ。
実力は無い。
ただ居なくちゃいけないからこの場所に居る。
それだけだと思う。
だけど最近思った事がある。
そうか。
私自身がそう思っていても。
周りがそうとは限らない、と。
私は本当に運が良かったのだと。
「きいちゃん。友香」
「うん?何?」
「何?幸奈」
「...食事に行かない?」
「...いつもの喫茶店?」
そう聞いてくる友香。
私はその言葉に力強く頷く。
それから「私は愚かな部分が沢山有る。...それを話し合いたい」と言った。
そして「これからの事も」と言う。
2人は着替えてから「だね」と笑顔になった。
「倒れて以降だけどマスター...元気かな」
「本当に良く行ってたもんね。有名じゃなかった時。卵だった時」
「...そうだね」
それから私達は移動を開始する。
そして私達は変装をしてからそのまま近所の喫茶店にやって来る。
懐かしいレトロな感じの雰囲気の喫茶店。
出て来たマスターは私達を見て驚いた。
「マスター。お久しぶりです」
「...幸奈ちゃん...きいちゃん。それに...友香さん」
「マスター。お久しぶり」
中年のおじさんマスターが居る。
このおじさんの名前は背丈伸晃(せたけのぶてる)さん。
私達がこの場所をたまり場として使っていた時代。
その時代にマスターをしていて相変わらずマスターをしていた。
だけどマスター...歳をとった。
やっぱり。
涙を拭うマスター。
「...今日は突然、どうしたのかな?」
「また...ここを使わせてもらいたくて」
「そういう事です」
「...そうか。じゃあ嫌になる程に使ってもらって構わないよ」
マスターは何かを取り出す。
それは休店日と書かれた看板。
え!?、と思いながらマスターを見る。
マスターは「あくまで有名アイドルなんだよ。君達は。...これぐらいはしないとね」とウインクした。
「...アハハ。何も変わらないね」
「そうだね。マスター...ノリノリだね」
「だね」
そして私達は座席に案内されて腰掛ける。
それからテーブルにスマホを置いたりしてからそのままコーヒーなどを注文をする。
するとマスターは笑顔で「はいよ」と応える。
準備に入ってしまった。
「マスター...元気そうだね」
「...人工肛門になったって言ってたけど」
「大腸がんだったんだよね?」
「そう」
私達がこの場所に来れなくなった理由。
それはマスターが倒れたステージ3の癌で倒れた。
腸から出血していたとは聞いたが。
まさか倒れる程に過労しているとは思わなかった。
それで私達はそのまま入院している間にデビューしてしまい。
人気になり来れなくなったのだ。
私は...その事を考えながら複雑な顔をする。
するときいちゃんが手を握ってきた。
「マスター元気そうだよ」
「そうだよ。幸奈。そんなに心配しなくても大丈夫」
「...そうだね」
そして私達はカウンターの奥で張り切ってから仕事をするマスターを見る。
マスターは私達に会えたせいか滅茶苦茶張り切っていた。
懐かしい。
3年前と何も変わらない。
「...ねえ。幸奈」
「うん?」
「...この場所に来たのってもしかしてマスターに元気を貰う為?」
「...それもあるかな」
私は苦笑しながら友香を見る。
だってマスターって元気だし...元気Maxだし。
私は考えながらクスッと笑う。
そして、バババ、と千手観音の様に仕事をするマスターを見た。
本当にたまたま痴漢から助けた女子が有名アイドルでした。俺を探している様ですが勘弁してほしいです アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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