第23話 再始動
☆
私の名前は佐久間夕日。
元エレメンタル・ツリーのメンバーである。
正直そんな肩書なんて捨てたいのもある。
おねえちゃ...じゃない。
あの女が私の敵すぎるから、だ。
「じゃあここでターン!はい」
そう指示をする上条結さん。
気持ちを切り替えて私は有名という名を捨て練習生として...ライトニング・スターでもそうだが煌びやかに活動出来ればと思いこの場所に来た。
この場所には練習生として私以外に4人居る。
1人は上条結。
所謂...私の先輩に値する人だ。
2人目は東条愛(とうじょうあい)。
少しだけギャルっぽい性格だが髪の毛は黒い。
どういう性格なのだろう。
3人目は菅山桃子(すがやまとうこ)。
もきゅっとした顔をしている。
(*´ω`*)という感じの顔をしている。
だけど悪い人じゃなさそうだが。
4人目は私。
5人目は冴島春香(さえじまはるか)。
この中では抜群トップの成績を誇っている。
とても可愛く人形の様だが性格は真顔が多い。
アイドルに欠けているものがある気がする。
私はこの中に混じってから練習をしていた。
結さんが私に寄って来る。
「やっぱりダンスとか上手いですね」と言いながら、だ。
その言葉に首を振る。
「あのエレメンタル・ツリーの時は全然練習できなかったので。結先輩」
「先輩っていうか...夕日さんはエレメンタル・ツリーのアイドルだったから...その。私も特に先輩って呼ばれる程じゃないし年齢も...」
「...でも歳は1年しか変わりません」
「待って。私は高校1年生。...夕日さんは17歳で高校2年生だよ」
「関係無いです。ここでは実力が全てです。...結さんはあくまで私の教えてくれる方。だから先輩ですよ。何があっても」
「うーん」
悩んでいる結さんに「でも」と言うのは桃子さんだった。
桃子さんは「現役だったアイドルが...その。練習生になってしまいましたけど憧れの人がこの場所に入って来てから華やかになりましたよ。このスタジオも」と笑顔になる。
私は「...無いですよ。...私は華やかには出来ない」と苦笑する。
「...私は...しょうもない様なアイドル2号です」
「まあそれならそれでも良いっしょ?多分」
「愛さん」
「あーし、この場ではアイドルっていうかダチになれたらなって。ね?春香」
「...」
春香さんは一瞥してまたレッスンに戻った。
私はその様子を見ながら「なんでぇ」と言う愛さんを見る。
そして私達はレッスンに戻る。
するとスタジオのドアが開いた。
「やっているかしら」
「紀子さん」
「今日は練習生の皆さんに活躍の場を持って来たわ。...地元の公民館でのアイドル活動よ」
「あ。そうなんですね」
「そう。...先ずは現役のアイドルへの一歩手前。この場に居るみんなでやってみて頑張りましょう」
「「「「「はい」」」」」
紀子さんは笑みを浮かべて私達を見る。
本当にこの人は...あの人と違うな。
何というかエレメンタル・ツリーのマネージャーと。
役に立たなかったしなアイツ。
そう思いながら居ると「みんな。水分補給しようか」と結さんが言った。
「そうしますか」
「脱水だけは怖いからね」
「確かに踊りっぱだもんね」
それから私達はスポドレを飲む。
この場所では結さんが本当に練習生のトップの様な感じだ。
私はクスッと笑いながら楽しむ。
5人で集まっていると紀子さんが「では皆さん。はい」と何か渡してくる。
それはお菓子だ。
「これは?」
「糖分も取りなさい。倒れても困らないけど色々と後が困るわ」
「...有難う御座います」
「いえ。では」
性格が律儀で厳しめかと思ったが。
面白い人だな。
そう思いながら入れ替わりで入って来るレッスンの先生を見る。
女性の教師は「じゃあ無理しないで頑張りましょう」と笑顔になる。
私達は「はい」と返事をした。
☆
私は仕事が終わってからまた控室に向かっていると。
同じ局だった様だ。
奴が居た。
奴っていうのは...佐久間陽菜。
私を見つけてから苦笑した。
「大変ね。...私の妹だった人を引き取ったんでしょ?」
「...そうだね。...貴方には感情というものが無いのかな」
「私はこれでも優しくしていた方だけど。...だけどあの子が勝手にやらかした。抜けるって言ったから捨てたまで」
「...外道のやり方だね」
「まああんな子が居なくても成り立っていくから。アンタなんか超えてやるしね」
「...」
私は静かに佐久間陽菜を見つめる。
それから「貴方確か...電話番号を知ったよね。それも一郎くんの」と厳しめに追及してみた。
すると佐久間陽菜は「仕方が無いでしょう。貴方を引き摺り降ろす為だもん。それぐらいは」と悪魔の様な笑みを浮かべた。
外道め。
「貴方達のやり方はいつか身を滅ぼすよ」
「私はそうは思わないよ。...滅ぶのは貴方達だし」
「...佐久間夕日も有名にする。貴方達には負けない」
「あの女の何処が良いの?」
「...貴方は何も分かってない。...彼女は特別だから」
「いや。結局は...都合よく動いていた様な人形だしね」
ムカッとした。
それから「貴方なんかに言われたくないな。貴方も所詮は操り人形でしょう。...有名アイドルだった母親と父親の七光り。金持ちボンボン」と言う。
すると佐久間陽菜は「...」となってから私の胸に指を突き立てた。
「両親を馬鹿にするな」という感じで、だ。
「貴方の母親...東芝華憐(とうしばかれん)。猛烈に金銭面で浮気した様な屑って聞いたししかも父親は日本中で有名な俳優の佐久間大二郎(さくまだいじろう)。浮気と悪い噂、女遊びが絶えなかった様な人間。その人達もそうだけど...貴方だけは改心したらどうなのかな」
「...」
「貴方は外道な事をしているけど。今ならまだ引き返せるよ」
「煩い。...とにかく私の母親と父親を悪く言うな」
佐久間陽菜は「猿が」と言ってから去って行く。
人を選別する様な家庭なのだ。
そんな家庭の奴に私は負けない。
そう思いながら拳を握ってから佐久間陽菜の背中を見た。
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