第18話 エレメンタル・ツリーVSライトニング・スター
☆
私達は本当に仲が良くなった。
これも全て上条くんのお陰だと思う。
そう思いながら私は仕事に励む。
それからくたくたになりながら戻って来ると...エレメンタル・ツリーのメンバーの柳素子(やなぎもとこ)が居た。
嘲笑うかの様なギャルの顔立ちをしている。
そして金髪をしている女子。
エレメンタル・ツリーの5人居るうちのメンバーの1人。
私はイラッとしながらソイツの傍を通り過ぎる。
すると「後藤さんを貴方達のマネージャーが沈めたんだってね」と話してくる。
私は「は?」と言いながら反応する。
柳を見る。
「記者の後藤さん。可哀想になぁ」
「...貴方達は本当に姑息で汚い真似を使うから嫌い」
「そうかなぁ?私達は至って普通だけど。二番煎じが嫌なだけで」
「...実力で上がらない様な貴方達の性格は異常だと思う。姑息だよね」
「それを言うなら貴方達も異常でしょ?だって一般の男の子と恋愛しているんだよね?」
その言葉に私は「...」となる。
「アイドルは偶像だよ?崇められないといけない存在。特定の人だけに配慮しちゃいけないよ。所詮、貴方達はお星様の引き立て役Bだから」と柳はニヤッとする。
私はその腹立つ顔に「...何が言いたい」と言う。
すると柳は「覚悟してって意味。...貴方達はアイドルじゃない。業界から引きずり降ろしてあげる」と言いながら手をひらひらさせて去って行く。
「...」
私はイラッとしながら控室に入る。
そして服を着替えた。
何であんな態度しか出来ないのか。
アイツらは、だ。
私達だって大変な思いをしている。
「...それが分からない連中、か」
そう思いながら私は沈黙していると「きい」と声がした。
顔を上げるとそこに友香が居た。
私は笑みを浮かべて「どうしたの」と聞いてみる。
すると友香は「...何か言われたの。柳に」と言ってくる。
「...いや。何も。...どうしたの?」
「柳が居たからね。...エレメンタル・ツリーの情報通が」
「...」
私はその言葉に肩をすくめる。
それから「特に何でも」と言う。
すると友香は「そっか」と苦笑いを浮かべる。
そして私の横で着替え始めた。
「...ねえ。きい」
「...うん」
「何かあったら言ってね。...私に」
「...大丈夫。今はね。何もされてないから」
そう返事をしながら表に出る。
するとそこにゆっちゃんが居た。
ゆっちゃんはお菓子を食べている。
私はいつもの笑顔で「ゆっちゃん。太るよ」と言う。
その言葉にゆっちゃんは「もー。そんな事言わないで」と怒った。
「...ねえ。きいちゃん」
「...?」
「...佐久間陽菜...アイツってさ。いけ好かないよね」
「そうだね。エレメンタル・ツリーもいけ好かないけど」
「...私、半分ソイツのせいで一郎くんに告白した」
「...は!!!!?」
心臓が高鳴る。
それから「え?」と絶句する。
するとゆっちゃんは「...あまり良くない感じの告白だったけど。だけど彼に気持ちは伝わったから」と胸の前で手を添えてモジモジする。
私はあまりの事態に「そ、そうなんだね」と唖然とした。
「...ねえ。きいちゃん。...どうしたら良いかな」
「...どうしたら良いかなって...何が?」
「私、告白はしたけど。...だけど。...それだけだから」
「...正直、ビックリだよ」
友香を見る。
そんな友香は「先を越されちゃった」という感じで言葉を発する。
私は「...実はね。さっき柳が来た」とゆっちゃんに告げる。
ゆっちゃんは「!」となる。
「...私に対して。貴方に対して嫌味をぶちまけて行ったけど」
「...そうだったんだね」
「でもさ。普通、学生って恋愛もするよね?嫌味だなぁ」
「...うん」
「佐久間も嫌いだけど柳も嫌い」
「私は5人全員嫌いだけど」
そんな会話をしながらおかきを食べる友香とゆっちゃん。
私はその姿を見ながらバシッと拳を叩く。
そして「ねえ。2人とも」と言う。
すると2人は顔を上げた。
「また3人で頑張ろう。1から。ね?」
「...そうだね」
「だね」
そうしているとドタドタと声がした。
それから輝プロダクション社長が入って来る。
社長の大泉祐樹(おおいずみゆうき)だ。
私達を見ながら「大変だ」と言いながらスマホを見せてくる。
そこには週刊芸集(しゅうかんげいしゅう)という有名雑誌の記事が。
「...え...」
私達。
つまりゆっちゃんと友香の事が書かれていた。
私は「...!」となりながらスマホを観る。
そこには(アイドルが学業ほったらかしで恋愛か)と大きく見出しがあり私達を隠し撮っている奴が居た様だった。
批判の声が沢山有った。
いつかこうなるとは思っていたけど今...っていうかこれ。
「...社長。誰がやったんですか」
「...エレメンタル・ツリーのメンバーかもしれない。多分。とにかく誰かがネタを持って行って暴露したんだろうな」
「...誤解だよ。学業をほったらかしで恋愛、って...酷い」
「...」
沈黙する私達。
すると社長は「...とにかく誤解を解かないといけない。誰がやったかを探さないとな...」となる。
その言葉に私達は。
特にゆっちゃんが切り出した。
「取り敢えず私、暫く彼に会わない」
という感じで、だ。
私は驚きながらゆっちゃんを見る。
そしてゆっちゃんは「このままでは更に誤解をされる。...沈静化するまでは恋愛は駄目だよね」と言った。
その言葉に私は「だね」と言葉を発しながらも内心複雑だった。
あれだけ彼の事が好きだったのに、だ。
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