第18話 エレメンタル・ツリーVSライトニング・スター


私達は本当に仲が良くなった。

これも全て上条くんのお陰だと思う。

そう思いながら私は仕事に励む。

それからくたくたになりながら戻って来ると...エレメンタル・ツリーのメンバーの柳素子(やなぎもとこ)が居た。


嘲笑うかの様なギャルの顔立ちをしている。

そして金髪をしている女子。

エレメンタル・ツリーの5人居るうちのメンバーの1人。


私はイラッとしながらソイツの傍を通り過ぎる。

すると「後藤さんを貴方達のマネージャーが沈めたんだってね」と話してくる。

私は「は?」と言いながら反応する。

柳を見る。


「記者の後藤さん。可哀想になぁ」

「...貴方達は本当に姑息で汚い真似を使うから嫌い」

「そうかなぁ?私達は至って普通だけど。二番煎じが嫌なだけで」

「...実力で上がらない様な貴方達の性格は異常だと思う。姑息だよね」

「それを言うなら貴方達も異常でしょ?だって一般の男の子と恋愛しているんだよね?」


その言葉に私は「...」となる。

「アイドルは偶像だよ?崇められないといけない存在。特定の人だけに配慮しちゃいけないよ。所詮、貴方達はお星様の引き立て役Bだから」と柳はニヤッとする。

私はその腹立つ顔に「...何が言いたい」と言う。

すると柳は「覚悟してって意味。...貴方達はアイドルじゃない。業界から引きずり降ろしてあげる」と言いながら手をひらひらさせて去って行く。


「...」


私はイラッとしながら控室に入る。

そして服を着替えた。

何であんな態度しか出来ないのか。

アイツらは、だ。

私達だって大変な思いをしている。


「...それが分からない連中、か」


そう思いながら私は沈黙していると「きい」と声がした。

顔を上げるとそこに友香が居た。

私は笑みを浮かべて「どうしたの」と聞いてみる。

すると友香は「...何か言われたの。柳に」と言ってくる。


「...いや。何も。...どうしたの?」

「柳が居たからね。...エレメンタル・ツリーの情報通が」

「...」


私はその言葉に肩をすくめる。

それから「特に何でも」と言う。

すると友香は「そっか」と苦笑いを浮かべる。

そして私の横で着替え始めた。


「...ねえ。きい」

「...うん」

「何かあったら言ってね。...私に」

「...大丈夫。今はね。何もされてないから」


そう返事をしながら表に出る。

するとそこにゆっちゃんが居た。

ゆっちゃんはお菓子を食べている。

私はいつもの笑顔で「ゆっちゃん。太るよ」と言う。

その言葉にゆっちゃんは「もー。そんな事言わないで」と怒った。


「...ねえ。きいちゃん」

「...?」

「...佐久間陽菜...アイツってさ。いけ好かないよね」

「そうだね。エレメンタル・ツリーもいけ好かないけど」

「...私、半分ソイツのせいで一郎くんに告白した」

「...は!!!!?」


心臓が高鳴る。

それから「え?」と絶句する。

するとゆっちゃんは「...あまり良くない感じの告白だったけど。だけど彼に気持ちは伝わったから」と胸の前で手を添えてモジモジする。

私はあまりの事態に「そ、そうなんだね」と唖然とした。


「...ねえ。きいちゃん。...どうしたら良いかな」

「...どうしたら良いかなって...何が?」

「私、告白はしたけど。...だけど。...それだけだから」

「...正直、ビックリだよ」


友香を見る。

そんな友香は「先を越されちゃった」という感じで言葉を発する。

私は「...実はね。さっき柳が来た」とゆっちゃんに告げる。

ゆっちゃんは「!」となる。


「...私に対して。貴方に対して嫌味をぶちまけて行ったけど」

「...そうだったんだね」

「でもさ。普通、学生って恋愛もするよね?嫌味だなぁ」

「...うん」

「佐久間も嫌いだけど柳も嫌い」

「私は5人全員嫌いだけど」


そんな会話をしながらおかきを食べる友香とゆっちゃん。

私はその姿を見ながらバシッと拳を叩く。

そして「ねえ。2人とも」と言う。

すると2人は顔を上げた。


「また3人で頑張ろう。1から。ね?」

「...そうだね」

「だね」


そうしているとドタドタと声がした。

それから輝プロダクション社長が入って来る。

社長の大泉祐樹(おおいずみゆうき)だ。

私達を見ながら「大変だ」と言いながらスマホを見せてくる。

そこには週刊芸集(しゅうかんげいしゅう)という有名雑誌の記事が。


「...え...」


私達。

つまりゆっちゃんと友香の事が書かれていた。

私は「...!」となりながらスマホを観る。

そこには(アイドルが学業ほったらかしで恋愛か)と大きく見出しがあり私達を隠し撮っている奴が居た様だった。

批判の声が沢山有った。

いつかこうなるとは思っていたけど今...っていうかこれ。


「...社長。誰がやったんですか」

「...エレメンタル・ツリーのメンバーかもしれない。多分。とにかく誰かがネタを持って行って暴露したんだろうな」

「...誤解だよ。学業をほったらかしで恋愛、って...酷い」

「...」


沈黙する私達。

すると社長は「...とにかく誤解を解かないといけない。誰がやったかを探さないとな...」となる。

その言葉に私達は。

特にゆっちゃんが切り出した。


「取り敢えず私、暫く彼に会わない」


という感じで、だ。

私は驚きながらゆっちゃんを見る。

そしてゆっちゃんは「このままでは更に誤解をされる。...沈静化するまでは恋愛は駄目だよね」と言った。

その言葉に私は「だね」と言葉を発しながらも内心複雑だった。


あれだけ彼の事が好きだったのに、だ。

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