第16話 告白(パート2)
☆
状況を整理したい。
私はおにいちゃんが好きだ。
しかし問題がある。
先ず第一にお姉ちゃんと...友香さんという壁がある。
だけどまあおにいちゃんに告白しているのは誰も居ないから大丈夫なのだろうけど。
そう思いながらおにいちゃんの居る家に帰って来るとお兄ちゃんが硬直していた。
何があったのか?
「おにいちゃん?何かあったの?」
「なん、でもないぞ」
「?...そういえばお姉ちゃんが家に来なかった?」
「...それはつまり幸奈の事か...?」
「...そうだけど...」
「...そ、そうか」
おにいちゃんは恥じらう。
それから考え事をしていた。
その顔でハッとした。
「まさか」と呟きながら私は慌てて聞く。
「おにいちゃん。まさかと思うけど」
「...あ、ああ」
「告白された?」
「...何で分かるだよ!?」
「お、おにいちゃん...が告白だと!?」
「そうだよ!告白されたよ!幸奈にな!」
「正式には告白じゃないけど好きって分かったよ!」と言うおにいちゃん。
私は唖然としながら考え込む。
うーん...お姉ちゃんもやり手だな。
そう思いながら私はおにいちゃんを見る。
「...おにいちゃん」
「あ、ああ」
「ん」と言いながら私はハグを求める。
おにいちゃんは「?」となっている。
私はその顔に「ん!」となってからまたハグを求める。
流石のおにいちゃんも「はぁ!?」と絶句して気が付いた様な反応をする。
「何でだよ!」
「義妹にハグくらいできないの?おにいちゃん」
「だから何でいきなりハグなのか教えてくれ...」
「私だって甘えたいから」
「無茶苦茶だな。...そんなの無理だ」
「おにいちゃんがお姉ちゃんに告白されたって外部に漏らすよ」
「ふざけんな!」
「漏らしたら大変だろ!」と怒るおにいちゃん。
「だったらハグくらいしないと」と私は両手を差し出す。
おにいちゃんは絶句しながらそのまま後頭部を掻いてから抱き締めてきた。
うん。これで良し。
「...おにいちゃん。...私は貴方をかつてから好きになっている」
「そうか...は?かつてって何だ」
「...出会ったのは2回目であり。私はおにいちゃんを心から好きになっている」
「...はあぁ!!!!?」
おにいちゃんは更に絶句する。
そして言葉を完全に失った。
私はその顔の側面。
つまりおにいちゃんの頬にキスをした。
「何をする!?」
「私は負けないよ。...幸奈さんが幾ら貴方を好きでも私は貴方を好きどころじゃないぐらい好きだから」
「...!」
「この想いは負けない」
「...俺達は兄妹だぞお前」
「私と貴方は血が繋がってない。それで十分だよ。確かに兄妹だけど関係無いよね」
そして私はおにいちゃんをまた抱き締めた。
それからおにいちゃんの香りを確かめる。
するとおにいちゃんは「お、おう」という感じになる。
私はその姿におにいちゃんから離れる。
「血が繋がって無いなら恋愛くらいするでしょうね」
「...!」
「私はお姉ちゃんに負けないよ。絶対に」
「...」
険しい道だ。
彼女を倒すとなると。
恋のライバルとして彼女を倒すには彼女の横に立てるアイドルにならなければ。
そう思いながら私はおにいちゃんを見る。
「おにいちゃんは誰が好きとかあるの?タイプとか」
「...いや待て。タイプって」
「エロゲのキャラとか?」
「待て!何も言ってないぞ!」
「私はそのキャラになる」
「なるな!」
私はクスクスと笑いながらおにいちゃんを見る。
おにいちゃんは真面目に怒りながら私を見てくる。
そんなおにいちゃんの手を握る。
そして寄り添った。
「私はあくまでおにいちゃんが好き。...一郎が好き」
「...」
「...だからこそ負けないし。私は現役のアイドルなんかに恋愛で負けない。この幸せは絶対に勝ち取る」
「...」
おにいちゃんは横を見る。
それから「俺は...お前も知っての通りだぞ。それで良いのか」と言ってくる。
私は寄り添ったまま「うん」と答えた。
すると彼は「そうか」と返事をする。
「...」
「...」
そして沈黙になる。
空が曇ってしまった分私は彼に寄り添う。
彼はそれを嫌がらず受け止めた。
それからおにいちゃんに微笑んでから見つめる。
「...俺なんかを好きになっても...しょうがないぞ」
「それでも良い。私は貴方に救われたんだから。私は...おにいちゃんが好きなだけだから」
「...」
私はネグレクトを受けた。
その中で突き飛ばした彼は私をまた救った。
私はそれで彼が大好きになった。
そう、全てはそういう事だ。
「...」
おにいちゃんは過去の事を話したがらない。
家族が大切だから話さない。
だけど私は偶然、両親が話しているのを聞いた事がある。
それは何かといえば。
おにいちゃんの母親が(働き過ぎで死亡した)という事を。
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