第9話 もやっと


私が彼の家に行くと彼の家に結さんという義妹さんが居た。

早速と結さんは私に質問をあれこれしてくる。

私はその彼女にアイドルとして包み隠さずテクニックを用いて答える。

だけどその中で私は何かこの義妹さんに...もやっと感じた。


そのもやっとやらが何なのかは分からない。

見ていると彼と仲が良いから。

何か...を感じる。


「色々聞けたよ!おにいちゃん!すっごい!奇跡みたい!」

「そいつは何よりだ。お前もう二階上がれ。彼女達が困っている」


彼は苦笑しながら結さんを見る。

結さんは彼に擦り寄る様な感じを見せる。

私は何か切ない感じがした。

何かが...おかしい。


「ところでぇ」


きいちゃんが手のひらと手のひらを叩いてそう切り出す。

それから結さんに聞く。

「結さんはその。輝プロダクションに入るの?」という感じで、だ。

私はその言葉に結さんを見る。


「私ですか?...そうですねぇ。おにいちゃんが許可するなら」

「俺かよ。...何で俺やねん。先ず母親とかに相談したらどうなんだ」

「だってお母さんと信隆さんは役に立たないから」

「いやそれ。くしゃみしているぞ多分。ひでぇな...」


私は彼達を見る。

するときいちゃんが爆弾発言をした。

「結さんが入ったら彼は凄く大変になるかなぁ」という感じで、だ。

私は「!!!?!」となってからきいちゃんにそこそこに肘うちする。

真っ赤になって、だ。

何を言っている!


「え?...あ」


まさかの言葉だった様だが彼女は全て理解した様に考え込む。

だけど一郎くんは「???」を浮かべていた。

そして私達を見てくる結さん。

私はその顔を見ながらゴクリと唾を飲みこむ。


「...私、アイドルは夢です」

「そうなんだね」

「...はい。...だけど今、別の意味で別のものを決断しました」

「...」


私は静かに彼女を見つめる。

彼女は察した様だけど。

私、そんな感情は彼に抱いてない。

そもそも論外だ。

そう思いながら私はきいちゃんを見る。

もう。


「私は...負けません」

「待って待って。私は関係無いよ!?」

「...???」


一郎くんは何が何か全く分かってない。

だけどそれで良いけど。

そう思いながら私は彼女を見る。

結さんは私を見てからきいちゃんを見てからメラメラと闘争心を燃やしている。

誤解が誤解を呼んでいる気がしたが...。



私の名前は結。

上条結。

私は上条一郎。

つまり私のおにいちゃんの妹である存在。


私は上条一郎をおにいちゃんとは慕っているが。

正直、私は...おにいちゃんとは思って無い。

そもそもこんな感情にしたのはおにいちゃんのせい。

私は...おにいちゃんとは思わず。


好きな人。


そう思っている。

兄妹で恋愛とか普通に吐き気がするかもしれないけど。

私はどうあれおにいちゃんと血が繋がってないのもある。

彼が好きだ。

明確に、であるが。


そう気が付いたのは彼と家族になってから2年目。

彼が...幼い頃に会った人だったと気が付いたから、だ。

旅行先で幼い頃に出会って別れた人だと。

当時の初恋の人だと気が付いた為、だ。

互い違いになったから。


「...」


夜になってから私は自室に籠ってからアドレスを見ていた。

それは...木島きい、さんと。

霧島幸奈さんのアドレス。


本当に霧島幸奈さんは...そして木島きい、さんは。

彼が好きなのだろうか。

私のおにいちゃんを、だ。


「...無いよね?」


冗談だよね?、と思いながら私は考え込む。

そして私は次に机の中に仕舞っている名刺を取り出した。

その名刺にはスカウトの際の紀子さんの名前が刻まれている。

本当はアイドルとかどうでも良かった。

だけどこのまま止めると...取られるかもしれない。


「...」


私はそう思って電話をした。

その通話相手は紀子さん。

輝プロダクションに電話した。

それから私は、所属したいです。アイドルになりたいです、と申し出た。



全くどいつもこいつも...。

恥ずかしい事ばっかりだ。

そう思いながら俺は息を整え翌日になって学校に行く為にドアを開ける。


義妹は早くに学校に行った。

その為、家には俺しか居ない。

そんな感じなら寮に変えれば良いのに。


そう考えた俺は心臓が止まりそうになる。

そこに...何故か幸奈が居た。

俺は愕然としながら「な、何をしている」と聞いてみる。

すると幸奈は「うん。待ってた。今日は一緒に登校しよ」と笑顔になる。


「木島さんは?」

「きいちゃんなら先に行ったよ。何かあるみたい」

「そ、そうなのか」


俺は汗をかきながらそう返答する。

そして俺達は歩き出す。

正直...アイドルと一緒に登校なんてあり得ないんだけどなまだ。

彼女はマスクをして伊達眼鏡を掛けているけど、だ。


「...ねえ。一郎くん」

「...あ、ああ。どうした」

「私、可愛い?」

「...え?え、いきなり!?」

「答えて」


真剣な顔になる幸奈。

何でそんな事を聞いてくるのか分からないがその言葉に「綺麗だけど」と答える。

するとボッと赤面した。

幸奈は俯く。


「そ、そう」


そう小さく萎れた花の様に、だ。

そして俺達はゆっくり歩く。

何だか気まずい。

とても気まずいのだが。

そう思って俺は聞く。


「なあ。ライトニング・スターって確かアイドル3人組だが...チームの日向友香(ひなたゆか)はどうしたんだ」

「...!...えっと...ゆかさんはその...」

「?」

「...いや。何でもないよ。ゴメンね」


そして苦笑する幸奈。

それから切り替える様に「まあそれは良いから」と言ってから駆け出す。

「急がないと遅刻するから」とも笑顔で言いながら、だ。

誤魔化しているが。

何か嫌な関係性でも有るのだろうか...日向友香、と。

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