第8話 3つの女神

俺は家に帰って来る。

すると何故か玄関が開いていた。

俺は「!?」と思いながら眉を顰めながらドアを開け放つ。


まさかこんな。

泥棒か?、と思いながら、だ。

ドアは間違いなく鍵を閉めたのだが開いているのだ。

そりゃそうなる。


すると奥から洗濯物を持った女子が「おにいちゃん♪」と言ってくる。

俺は「!」となりながらその姿を見る。

そこに高校一年生の義妹の上条結(かみじょうゆい)が居た。

県外の高校に通っている。

不用心かな?


「何だお前か。結。鍵を掛けてないとかビックリさせるな」

「えへへ。おにいちゃんを驚かしたくて」

「それは分かるがビックリするだろ開きっぱなしとか」

「うん。ごめんなさい」


苦笑する結。

顔立ちは俺に全く似てない。

まあ当たり前だが。


そんな結は美少女だ。

多分どこに居てもモテると思える。

目も大きければ小顔でありアイドル並みに可愛い。

俺はその結を見てから、やれやれ、と思いながらドアを閉めてから鞄を置く。


「ねえ。おにいちゃん」

「ああ。...どうした」

「実は私、アイドルになるかもしれないんだよね☆」

「...ああ。そうな...はぁ!!!!?」


まさかの言葉に俺は絶句した。

何て言った今!

思いながら「冗談キツイぞ。マジに何を言っている」と苦笑する。

すると「む?冗談じゃ無いよ」と頬を膨らませる結。

あのなぁ。


「アイドルは腹一杯なんだ」

「へ?それどういう事?」

「あ、いや。何でもない。とにかくお前の冗談を受け止めれない」

「だから冗談じゃ無いって。...これ。輝プロダクションっていう人にスカウトされた」

「待て。輝プロダクションだと?!そのスカウトした奴の名前は」

「え?柴田紀子さんっていう人」


信じられん。何をしているんだあの人。

と思ったけど俺は口には出さず俺は「そうか」とだけ返事をした。

すると結は目を輝かせた。


「あのアイドルが居るんだよ。霧島幸奈さん!私のアイドルの様な存在の!」

「そりゃ分かるがそういう業界はキツイんじゃないのか」

「む。学業の合間だったら問題無いでしょ?」

「そんなもんかね...」


良く分からん。

そう思いながら「とにかく。私、アイドルになる」とニコッとする。

俺は苦笑しながらその顔を見る。

そうしているとスマホが鳴る。

そこにはアドレスを交換した彼女。

霧島幸奈からのメッセージが入っていた。


「ああ。すまん。結。ちょっと席を外す」

「え?何処に行くの?おにいちゃん」

「ん?メッセージ打ってくる」

「メッセージ?誰に?おにいちゃんにそんな人居ないでしょ?」

「ぐさぐさ刺さる言葉を言うな。お前」

「...おにいちゃんには私が居るから。心配ない」

「は?聞こえんぞ」


「何でもない」と結。

俺は「???」を浮かべながら彼女を見る。

すると結は「追及禁止」と唇に指を添えながらスカウトの際に貰ったのだろう。

紀子さんの名刺を見ている。

俺が貰ったものと同じものだ。


俺は結を見ながら苦笑いを浮かべながら外に出る為にドアを開ける。

それから表に出ようとした時に財布を落とした。

小銭とかカードが散らばる。

俺は「あらら」と言いながら拾う。

結も拾ってくれた。


「ああもう。何をして...ってあれ?」


その紙を見てから固まる結。

それは名刺...し、しまった!?!!!

俺は唖然としながら「何でこれを持っているの?」と結が聞いてくる。

「私が持っているものと同じだよ?」と眉を寄せながら。


「結。違うぞ。それはな。と、特殊な配布物だ。ちょっと違う」

「そんな訳ないでしょ。名刺だよ?...おにいちゃん。どこで貰ったのこれ」

「...」


マズイ。

どうすれば良いのだ。

そう思っているとまたスマホが鳴った。

それからスマホを開くとそこに「君の家に行くね♪」と書かれており...はぁ!!!!?ヤバイ!

これはマズイ!


「結!すまないが今から直ぐにどっかに行ってくれ!今直ぐに消えてくれ!」

「お、おにいちゃん!いきなり失礼だね!?馬鹿じゃ無いの!?」

「い、良いから!」


そして大騒ぎになって俺達は喧嘩する。

するとインターフォンが直ぐに鳴ってしまう。

俺は慌てながら結を見る。

すると結は「...あ。もしかしてネットで2次元の美少女のエッチな抱き枕か何か頼んだでしょ?」とジト目をしてくる。


「それはそうだが!いや!?違う!」

「そうはさせないよ」


そう言ってから鼻歌交じりに玄関のドアノブを握る結に「待て!結!」と言うが。

そのまま間に合わず開け放つ。

「はいはーい」と言いながら、だ。

そしてそこに立っている人物を見て愕然とする結。

相手もビックリしていた。


「あ、貴方は?」

「き、きりしま!?幸奈ぁー!?」


唖然とする結はそのまま大声を発する。

俺は「あちゃー」と額に手を添えて思いながら幸奈を見る。

幸奈は目をパチクリしていた。


「一郎くん。其方はどちら様?」

「...俺の義妹だよ」

「え!?妹さん!?」

「は、はい!私、上条結でふ!」


真っ赤になって思いっきり舌を噛む結。

すると「お待たせー」と更に声がしてくる。

そこには木島さんまで居た。

顎が落ちる結。


「木島きい!!?!!」


そのアイドル2人を見てからぐりんとひっくり返るぐらいな勢いで首を回転させて俺を見てきた結。

そして俺の首をありったけの力で思いっきり絞めた。

「何をしたの!?お金で釣ったの!?そんな訳無いけど!日本一有名なアイドル!ありえないでしょ!マジにどこで知り合ったの!」と言いながら頸椎骨折をさせるレベルな感じで俺の頭を揺らす。


「待てコラ...うぉマジに止めろ馬鹿!」

「ほぁ。可愛いね」

「結さんだって。きいちゃん」

「ほほう...これはライバル出現ですな?ゆっちゃん殿」

「はぁ!!!!?」


慌てて真っ赤になる幸奈。

俺は「?」を浮かべながら気分の悪さに耐えながらその姿を見る。

結は大慌てで俺を揺らしまくる。

木島さんは(・∀・)ニヤニヤ。

マジにカオスな状況だ。

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