第91話 よきに計らえ
2023年12月28日4:05分。
だいぶ落ち着きを戻してきた。
5人逮捕されたわけだから人手不足が更に深刻になってしまうということで、国土交通省が、所属している覆面ドライバー5名を応援で入れてくれた。
今村も事情聴取は受けたが、これまで草加部、大沢の相談を真摯に受け止めて対応していたことが弐零弐肆の記録や報告で明らかだった事と今村が赴任してくる前と比較すると改善に努めていたことは明白だったことで被害者ではないかという扱いになった。
藤島部長については、放置していた張本人であり、被害を拡大させた責任はあるのではないかと議論されたが、犯罪行為をしたのはグリミーであり藤島部長の罪は問えないと判断された。あとは会社側での処分次第である。
この頃、ある情報が草加部に入っていた。
グリミー伊藤について、罪状は偽計業務妨害並びに侮辱罪、名誉棄損罪。精神鑑定次第だが、おそらく責任能力を問えないのではないかという話しだった。もしかすると心神喪失者医療観察法に基づいて”治療”となることもある。
”善悪の区別がつかない人だもんな~”
”怖い”
グリミーこと東藤も精神鑑定にはなる。罪状は偽計業務妨害、名誉棄損罪。これまでの長期間過ぎるくらいの期間にわたって繰り返されてきたので裁判でこちらの主張が認められれば実刑だろうとのこと。
グリミー榊について、罪状は威力業務妨害。おそらく執行猶予という形だと思う。
グリミー嵯峨について、罪状は侮辱罪。証拠資料のとおりだと相当なことをしてきたということで有罪は免れないと思うが、これまでのことを健常者にはできないのではないかということで精神鑑定が必要ということになったとのこと。
グリミー村上について、罪状は偽計業務妨害並びに侮辱罪。おそらく執行猶予でしょうとのことだった。
話しは変わるが、お正月休みに有休を足して、大沢君にアメリカに行ってもらうことになった。もちろん映画製作会社との交渉、それと気が早いと思うがグリミーランドを建設する土地を見せたいということだ。本気度をアピールするためのプレゼンだろう。でも、不思議なことに日本の政府の人間も土地を見るのについていくということだった。
断る理由はない。
お世話になってますから。
それは、今日出発するとのことだ。政府専用機を手配してもらい宿泊先やその他の経費は持ってくれるとの事。パスポートも準備してもらった。通訳までつけてくれた。
グリミーを無償で使わせただけなのに本当にありがたいです。
今日は、年末の忙しさも落ち着き、ただ留守番をしているくらいの感じだった。
「大沢社長」と、代表取締役常務である草加部が呼んだ。
「はい」
「今日が出発だったな。」
「はい、仙台空港で待ち合わせです。」
「何時だったっけ?」
「10時です。」
「そうか、じゃあもうあがりなよ。」
「いいんですか」
「いいよ。逆に申し訳ないなアメリカに行かせてしまって。」
「いえいえ。嬉しいです。」
「そう言ってくれると助かる。」
「あ~あれ、あれな、映画とかグリミーランド関係の契約は好きに決めて来いよ。」
「本当にいいんですか?」
「うん、いいよ。よきに計らえ。」
「分かりました。でも相談はさせてください。」
「もちろんだ。」
「本当にあがっていいよ。」
「はい、じゃあ行ってきます。」
ーつづくー
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