第69話 ソシオパス

日付が変わり9月7日(水)1:02分


中沢さんの北日本便の対応が終わり、草加部と大沢は休憩室で食事をしていた。大沢君はイヤホンを付けて何かを聴きながら食べていた。草加部は、あまりにも切りがないことに対して、ある考えを持ち始めていた。


”ソシオパス”


もしかして、こういうことなんじゃないのか。


”映画でしか見聞きしてないから分かんないよ”


検索をした。


ソシオパスとは、

社会病質者を意味する用語で反社会性パーソナリティ障害。


”へ~パーソナリティとは、心、人格、個性という意味なんだ。”


ソシオパスの定義は、精神の傾向や特徴により、社会的な規範や他者の感情を軽視したり、または不誠実であったり、言動が欺瞞ぎまんであったり、攻撃や暴力を振るうこともいとわない人格障害のこと。


”なるほど~”


”言葉での攻撃も入るよな”


ソシオパスの特徴


・自分の欲求の為に人を騙す

・衝動的で計画性に欠ける

・暴力的、攻撃的

・自分や周囲の安全を考えられない

・責任感が欠け、お金にもルーズ

・自己中心的

・平気で嘘をつく

・ナルシスト

・良心の欠如

・他者への冷淡さ、共感しない

・行動の責任を取らない

・罪悪感がない

・過大な自尊心かつ自己中心的

・しゃべり上手で表面では魅力的な人間に見える

・自分を正当化する

・マウントを取りたがる


サイコパスというのもあるが、サイコパスは先天性でソシオパスは後天性ということらしい。似たような特徴を持つものでアスペルガー症候群というのがあるけど、これは自閉症らしい。ということは個性だと草加部は解釈する。アスペルガー症候群ではないかと言われている有名な人達がたくさんいる。いわゆる生まれもっての天才だ。そう解釈する。境界知能というのもある、気になって調べた。これは知能の分野だ。そうすると個性だと解釈する。生まれもったものだ。


後天性はソシオパスだけだ。


”後天性ということは、

育ってきた環境やトラウマが原因で周りとは思考が変わってきてこうなるということか?”


”家庭環境、貧困、虐待、いじめ”


”あっ、ここに書いてある。先天性と後天性の違いは、意図してやっているか、意図しないでやっているかの違い。”


”他人をコントロールしたがる。自分の意に沿わせようとするなど悪質な思考を持っていることが多い。しかも他人をコントロールしようとしていることに罪悪感を感じない”


”キレやすい。自分の思い通りにならないとキレたり、爆発したりする。何が何でも自分の思い通りに物事を進めようとする。もちろん人の事など気にしていないから、キレてうまくいった後に周りを気にすることはない。”


”嘘を吹き込み、陥れたり利用する。”

”悪い噂を流す。”

”罪悪感がない。”


”人口の4%はソシオパス。受刑者だと47%。”


”タレントにもいるんだ。そうじゃないかっていう人が”


”ソシオパスの夫に対して、裁判所からの接近禁止命令、電話禁止命令というのもあるんだ。”


撃退法は、

〈非情になること〉

〈孤立させる〉

〈距離をおくこと〉

〈話しを合わせる〉

〈話し半分にする〉

〈期待しない〉


草加部は頭を回転させた。


ということは、意図して、自分の思い通りにするために適当な嘘を並べられる人で、罪悪感を感じずに自分中心の考え方ができる人。しかも思い通りにならないとキレる。悪い噂を流す。


こういうこと?

暴力まではないけど、暴力的なことや攻撃はある。

まあ、同じことだよな。


いや~、これってさ~と、草加部は頭を抱えた。


大沢君がそれに気づいた。

「草加部さん、どうしました。さっきから真剣な顔してますよ。」

「ん、ん~実はさ」


と、草加部は大沢君にソシオパスの話しをした。


「ソシオパス、初めて聞きました。」

「世の中にはあるんだな~と思ってさ、俺はこの歳になって初めて気付いた。今までこんなことを考える環境にいなかったんだ。」


草加部は少し間を置いて言った。


「グリミーこと東藤ってこれじゃないか」


「・・・・、ん~、そうですね。」


「グリミー6号の伊藤なんか、もろこれじゃないか。」


「・・・。はい、もろこれですね。」


「グリミー2号の村上は?」


「これです。」


「グリミー1号の嵯峨は?」


「ん~嵯峨さんは、ちょっと違う気がしますが、ソシオパスっぽい。」


「ん~ちょっと微妙かもしれないけど。」


「グリミー7号の榊は?」


「タイプは違いますが、もろそうだと思います。」


「そうか?俺は本質は変わらないと思う。」


「・・・」


「こんな小さな営業所に5人だ。壮絶だよな。」


「そうですね。異常なわけですね。」


「しかも風評を流布して、悪口を吹き込み陥れる。」


「・・・」


「これに歴史的な背景も絡む。」


「・・・・」


「根深くなるわけだ」


「・・・」


「大沢君、ついてきてる?」


「いや~凄すぎですよね」と何か考えてる様子だった。


「大沢君、もしかすると相手にしてはいけないやつらを相手にしたかもしれないな」


「・・・」


「本当に相手にしてはいけない相手っているんだな。異常なんだ。負けるぞ。」


「草加部さん、ちょっと待ってください。」


「なんだ」


「さっき裁判所からの接近禁止命令って言ってましたよね。あと、撃退法で距離をおくことって」


「うん、そういうのあったな」


「この部分で何かが頭で繋がりそうなんですけど。あと、相手が非情なわけですから、こちらもそれ相応なことをしないとと思てるんですけど」


「大沢君、こういう奴を封印する呪文はないの?」


「ないですよ」


「御呪い(おまじない)的なもの」


「距離をおく、接近禁止命令・・・」


「なんかさ、こういうのあったよな、手を上げて大丈夫ですって言われると何も言えないよな。」


「あ~ありましたね。言われてみれば・・・・」


「・・・・」


「草加部さん、シンプルにお互いに干渉しないようにできないんでしょうか?」


「・・・・・なるほどな~」


二人はしばらく考えた。


ーつづくー


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