第38話 生きるために戦え!

休憩室に戻った草加部は考えていた。


“迫害”

“・・・俺らも受けてんだよな。”


と、考えてるうちに連想してしまった。


“キリシタン弾圧”

“弾圧”


意味合いは違うが連想してしまった。


そして、“隠れキリシタン”


“隠れて暮らす” “隠し通す” 

大変な暮らしだろう。出来るのか?

子供にどう教えた?

いやっ、“生きるために隠し通したのだ”

壮絶過ぎてこれ以上の想像ができない。


そして、グリミー化について漠然と想像する。

パズルのピースのような、

断片的なキーワードが草加部の頭の中で渦を巻く。


“グリミー化”

“感化” “集団化” “民主主義は数” 

“孤立を生み孤立化”

“ああなりたくない” “防衛本能”

”自分に矛先が向かないように”

“優位性がある方に” “エスカレート”


断片的なキーワードがなんとなく繋がっていく。


”自分中心のエゴに突出して偏る。”

“エゴを押しつたい対象者が出てくる。”

“自分のエゴの押しつけたい。”

“そのエゴを達成させる手段が感化。”

”感化して味方を増やす。”

”風評を利用し優位性をアピールし、さらに味方を増やす。”

“感化された側は、防衛本能で矛先を対象者に向けようとする。”

“集団化。”

”集団化すると人は自分を正当化することができる。”


” ”みんなが” という目に見えない結束感みたいなものだろうか。”


”その集団化された ”みんな” の中から、

さらに、自分のエゴが突出して偏った者が出てくる。”


”その偏った者は、自分を正当化できる環境がある。”

”集団化を盾にして、偏った者はエスカレートしていく。”

”一線を越えてくるやつも出てくる。”

”うまくおとしめられた時の称賛されたような感覚に似たようなものだろうか。”


”悦に浸ってしまう。”

“完全に向こう側の人になる。”


”これがグリミー化か?”


草加部の頭ではこれが精一杯の解読というか考え方だった。

ちょっと無理くりなところがあるが、現実のグリミー化された偏った者達の行動心理はこんなもんじゃなかろうか?考えが及ばないところは飛ばしちゃうみたいな。


”くだらねえ。”

”要は、エゴの押し付けだろ!”

”自分でやりたくないだけだろ。楽がしたいだけだろ。”

”それだけのことで、いい大人が集団化して何やってんだよ。”


”世の中には、こういうので自殺する人もいるんだぞ!”


”おいっ、グリミー。俺は絶対に許さねえ!”

”自殺を考えるくらいなら戦え!”


”生きるか死ぬかの社会に墜ちたんだよ。日本は。”


”生き延びるために戦う。”


”どっちがカッコいい?

自分の仕事を押しつけるやつと、自分の責任をまっとうしようと頑張ってるやつ。

どっちの人を手伝ってあげたい?”


草加部も自殺を考えたことがある。

グリミー1号、2号の陰湿な嫌がらせが繰り返され、構内作業員に味方もいなく孤立感を感じ追い詰められたことがある。

でも、新しく入ってきた大沢君はいいやつで、救われた。


”実にくだらねえ奴らだ。

グリミーのキャラクター化が成功したら、

グリミーのみにくさやくだらなさを表現するために、

安っぽくて、臭くてダサいTシャツを作ってやる!

1回洗ったらダメになるやつ。

キャラクターグッズも、ただ単に、叩きつけるだけの何かを作ろう。

安っぽいやつ。


これが、グリミーのイメージだ。文句あるか!”


まずは、火曜日だ。

始まるぞ。

ナイトワーカーズを舐めんなよ。


”カケルさん、俺は絶対にあんたを許さない。

一線越えておいて悦に浸ってんじゃねえよ。”


無意識に草加部の癖が出ていた。

左肩が上がり後ろに回る。顔も左に傾いていた。そして、顔が正面を向く。


大沢君は、いつのまにか起きていて、イヤホンを付けてスマホをいじっていた。


草加部は立ち上がり、

「大沢君、休んでて。俺はカロリーを消費してくる。」

「はい、分かりました。」

「あと、情報収集頼むよ、火曜日の夜までに最近のもの、過去のものも含めてまとめておいてくれ。仁田さんとはメールで頼む。」

「はい、やってみます。」


草加部は休憩室を出て、掃除道具を取り出し構内の掃除を始めた。


この時間は、動かなければ涼しい。


ーつづくー

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