第15話 ナイトワーカーズ発足!

 二人は休憩室で次にくる横持ち便、グリミー大森が来るまでの間、待機しながら休憩していた。


 体力勝負の仕事なので、この時間がありがたい。

 10分、15分くらい居眠りしてしまうこともある。


 大沢はイヤホンを付け、動画を見ていた。草加部は、株の米国市場をチェックしたりニュースを見ていた。


“会社の名前”

“線引き”

“宇宙からの襲来”


 草加部はスマホを見ながらも、頭の片隅で考えていた。


“宇宙からの襲来は、グリミーが臭い、汚い、怖い、きつい、危険の5K星から本社にうちを潰すために依頼され、地球に向かう。地球の上空まで来たら、国際宇宙ステーション(ISS)に掴まって周回し、タイミングを見て落下傘で降りてくる。そして、2024年問題を引き起こす。”


 こんな始まりでどうだろう。


 2024年問題の人手不足、そもそもはグリミーみたいな従業員によるハラスメントも原因だと思っている。会社がどんなに考えて改善しようとしても、グリミー達が邪魔をする。人を辞めさせる。人がいないと会社が回らない。既存の従業員に負担がかかる。労働環境が悪化し、また退職する。人が入って来ても辞めさせる。負の連鎖だ。そして、消費者にも不安を与え、負担を増やす。悪いことだらけだ。


 2024年問題はグリミーの陰謀か。


 そうだ。グリミーは人間の奥深の深層心理を蝕み、耳元で囁き、感化させグリミー化を拡大させていく。日本を沈める気だ。


“宇宙か、星の名前とか星座くらいは調べとくか”

“線引きは、カイさんにも話して、それからだな。所長に打診だけしとこうか”

“会社の名前、大沢商店?、草加部商事?、オフィス仁田?三人の頭文字でザ・OKN?ん~~”


 少し寝てしまった。大沢君も寝ていた。


 それから少し経ち、大沢君が起きた。


「会社名どうする。」草加部が切り出す。


 大沢君は頭を絞り、「ん~株式会社グリミーとか。」


「グリミーの著作権を管理するんだから、ありだな。」


「グリムって直訳するとなんだっけ。」

グリミーはグリムという単語から、大沢君と議論を重ねて完成させた渾名だった。


 大沢は検索する。

「厳しい、険悪な、恐ろしいってなってます。」


「そうすると、株式会社厳しいということか。」


 大沢は笑った。「だめですね。」


「まあ、ゆっくり考えようよ。ゆくゆくの話しだから。」


 そうすることにした。


 草加部は、興味で聞いた。

「作業員は英語で何て言うの?」

「ワーカーみたいです。」


 草加部はニヤニヤと笑いながら聞いた。

「じゃあ夜間作業員は?」

「ナイトワーカーってなってます。」


 大沢は続けた。「カッコいいですね。」


 草加部は、「うん。株式会社ナイトワーカー。なんとなく語呂というか響きがいいな。」


「じゃあ、大沢君はナイトワーカー大沢な。仁田さんはナイトワーカー仁田、そして、ナイトワーカー草加部。」


「悪くないな。」


「三人でナイトワーカー“ズ”はどうですか?」


「大沢君!いい!」


「これで行きましょう。」


「じゃあ仁田さんにはそう決めたからって言っといて。そうしたからって。」


“2022年4月5日午前1:56分


 ナイトワーカーズ発足”


「グリミー宇宙からの襲来で、秘密結社ナイトワーカーズが立ち向かうってのはどう?」


「いいですね。」


「こりゃいけるな。会社の設立の仕方を調べとけよ。社長。」


「グリミーのイラストどうしよう。」


 二人は笑った。

 腹いせにキャラクター化して儲けてやる。



 ーつづくー

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