第10話 夜間作業 22:00台
22:32分
空気が変わった雰囲気の中で、草加部、大沢君、発送担当のドライバーは業務にあたっていた。
大沢君はスキャン。積み込む順番を確認した後、一つ一つスキャン漏れがないように下側にある荷物を引っ張り出しながら無言で捌いていた。キビキビしている。空台車もタイミングみて片付けていた。
発送担当のドライバーは自分で決めた順番でテキパキと積んでいった。
草加部は、邪魔なお腹と闘いながら仕分けを一つ一つこなしていた。もちろん、空台車も片付けていた。グリミー大森が細かく分けて降ろしてくれた荷物は、各方面行きの台車に載せ替え、そうでないものは一つ一つ仕分けした。
3人とも無言で作業をこなしていたので構内には、多少の荷物を置く音と台車のガラガラというかゴーというタイヤの音、それと、グリミー大森のトラックが走って行った音だけが聞こえていた。
ここまで来ればあとはやるだけ。グリミー関係者とのしがらみがない分、普通に業務をこなせる。
22:54分
草加部がやっていた仕分け作業が終わった。まずは、事務所に行きドライバーが置いた書類に判子を押し、発送の積み込みなので封印も準備し書類と一緒にしておいた。
発送は大沢君に任せることにして、さっきの横持ち便できたパレット物を片付けることにした。3枚だけだったので、段取りしていたこともあってすぐに終わった。
次に各方面のホームの中で1か所だけ仕分けされた荷物を台車のまま置くのではなく、荷物を降ろして床に置かなければならないところがあった。
2班のホームだ。理由は分からないが、草加部が入社した時は既にそうだった。説明してくれる人もいなかった。ちなみに、この営業所には1班から5班まであり、その他に大手の流通センター専門のホームが3か所あった。
2班の荷物を降ろすことにした。
その頃には大沢君も発送のスキャンが終わり、今まで発送の荷物が置かれていたホームにスペースが空いてきたので、別の場所に仮置きしていた荷物を本来置くべきところに収めて行った。きちんと日付を確認しながらやっていた。
2班の整理はすぐに終わった。
そうこうしているうちに、発送の積み込みも終わり、発送担当のドライバーは書類と封印を持って「どうもねー」と言ってホームから出て行った。
大沢君がやっている作業もすぐに終わった。
23:12分
「大沢君、受付頼む。」
「はい。行っちゃいます。」
ここから車で5分かからないところにある配達先だ。グリミー5号が担当している所で、この時間に受付を済ませ、1番か2番に納品させてもらわないと、他が回れなくなると事務所にわがままを主張して、夜間作業員が頼まれて行っている形だ。ちなみに、以前のここの担当者は自分で受付をしていたが何の問題もなかった。
グリミー5号が、忙しくて時間がない振りをしているが、近くのコンビニや午後からの集荷先の近くの道の駅で、ハンドルに足を上げて寝ている所を複数目撃されている。
大沢君が受付に行こうと車に向かっている時に、草加部は喫煙場へ向かった。
煙草に火をつける。
向かい側の公園の電灯は消えていた。
まだ、歩道の電灯の明かりをたよりにバスケットをやっていた。元気だ。
ちょうど公園の上あたりに三日月が見えていた。
街路樹のアオダモが月明りで薄っすらと照らされていた。
ーつづくー
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