第11話 投資は自己責任で。
23:34分
草加部と大沢君は休憩室にいた。
4月とはいえまだ寒い。暖房をつけていた。
休憩室は、事務所の隣に壁一枚、ドア一つで仕切られていて、その壁の上半分がガラス張りになっていた。休憩室には、ホーム側からでも事務所側からでも出入りできるようにドアがあった。
休憩室には、事務用の長テーブルが4卓あり、そこにパイプ椅子が4脚ずつある。ガラス張りの壁側にも長テーブルが1卓置かれており、そこにはパソコンや伝票入れが置かれていた。休憩室には小さな台所があって冷蔵庫もあり、冷蔵庫の上には電気ポットとコーヒーメーカーが置いてあった。
日中の配達ドライバーの人数からして電気ポット一つでは足りないのか、休憩室のパソコンが置かれている反対側の壁際の長テーブルにも一つ置いてあった。
この壁の裏側は備品庫になっていて、休憩室から行けるようにドアがある。
2人は、4卓あるテーブルの内、1卓ずつ使っていた。草加部はパソコン側。大沢君は備品庫側の壁側だ。
いつも、この時間帯は食事を済ませ、24時くらいにくる北日本便が立ち寄るのを待っていた。さっきデータで調べたら、今日は24:20分くらいになる予定だった。
「大沢君、ビットコイン(BTC)、買いじゃねえかな。」
草加部は、素人なりにチャートを見たりしていて、ネットでも情報を取っていた。
「来年、半減期らしいですよね。僕は買いましたよ。」
「実は、俺も買ったんだよ。これからも買い足してこうと思ってんだけど。」
草加部は、結構な隠れ投資家だった。
草加部の投資ルールは、
安い時に買って配当金を永久にもらい続けることで、
高配当の銘柄をしょっちゅう漁っていた。
”今買わないでいつ買うんだ。”
という考え方で、けっこうな金額を投資していた。
下がった時しか買わない。これを徹底していた。
そのかいあってか、今ではけっこうな含み益を出している。
”将来は、年金に少しでも上乗せできればと狙っている。”
「いいんじゃないですかね。ビットコインは上がると思います。」
少し間が空いた。
草加部は話しを変えた。
「ところでさ、前から考えてることがあったんだけど、所長も変わったし。」
大沢君は、今までスマホから目を離さず話してたが、草加部を見た。
草加部が、続けて言った。
「2つある。」
大沢君は体も草加部に向けた。
ーつづくー
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