第3話 天国と地獄

僕らが踏み込んだ場所は、まさにこの世の地獄のような場所だった。


四方八方から銃声と、爆発音

人間の怒号ともとれる叫び声や、呻き声

それら一つ一つがこだまし、地獄というものを形成している。


少し落ち着いたかと思えば、突然銃剣を抱えた兵士が飛び出してきて、真横にいたクラスメイトに突き立てる。

片時も気は抜けず、神経をすり減らしながら僕ら小隊は数を減らし、意識を朦朧としながら、それでも奥地へと足を進めた。


何時間、いや何日経ったのかわからないぐらい長い長い時間が経過した頃、僕らはもう小隊と言えるほどの規模ではなくなっていた。


あるタイミングで、僕は隊と離れ離れになってしまい1人森林を彷徨ってしまうこととなる。


みず、、とにかく水が欲しい、、


腰につけた水筒はただの鉄の塊に成り下がり、溜池を見つけても大抵はブヨブヨにふやけた死体とそれから流れ出る体液と血液によって水の色は朱色とピンク色の間のように染まり、水面には人から出た油が陽の光によって虹色に輝き、とても飲めるような状態ではなかった。


両足に鉄の錘をつけられたような感覚を覚えながら歩き、やがてその感覚すらも消えかけた頃、僕は爆撃を受けたであろう民家を見つけた。


這いつくばるような思いで大きな穴が空いた入り口から入り、銃を構えるが誰もいなかった。


爆撃にさらされたのだから、飲み水なんてものは全くなく、いよいよ視界が薄らぎ始める


その時、僕の真後ろから音が聞こえた


反射的に振り向き、銃を構えるがそこに人影はない。


ただ、確かに音がする。

声のする方にヨロヨロと寄っていくと、どうやら瓦礫の中から聞こえるようだ。


震える手で瓦礫をどかすと、そこにいたのは女の人だった。さっきから聞こえたのは音ではなく、この女の人の消え入るような呻き声だったのだ。


瓦礫をどかし、女の人を運び出しまじまじと見てみると

その女の人は、血だらけで腕の骨は曲がり、爆風で衣服は裂け、腹から腸が垂らしたベルトのように垂れ下がっている。


それを見た瞬間、僕はまた医療テントの時と同じ感覚に陥った。


無意識に自分の中心に手を触れると、それはこれほどないまでにいきり立ち、脈打っている。


頭の中がぐわんぐわんと鳴り響き、身体中の体温が上昇している。

心臓が張り裂ける程音を立てて、足が震えるような感覚になり立っていられなくなる


この時初めて、自分が興奮していることを知った

授業中の同級生の女の子の下着を想像しても、友達との袋とじを見た時にも覚えなかった感覚。


僕はそのまま、ズボンをずり下げ死にかけの女の秘部に向かってイキリ立ったそれを挿入した。


中を裂くように無理矢理入れ込み、皮が引っ張られるような痛みを我慢し、女から生物としての温もりが引いていくのを直に感じながら腰を振る。

はみ出た内臓を握りしめながら、腰を動かす度に自分の身体に女の血が飛び散り、それにすら興奮を覚え、ひたすらに本能のままに腰を振り続けた。

痛みが快感に変わる頃、また僕の頭の中で何かが弾け飛んだ。

ガクガクと腰が震え、僅かながらに身体に残った僕の全てを放出した。

ドクドクと自分のそれが脈打つのを感じながら、僕は女に覆いかぶさるように倒れ込んだ。



ふと目を覚ますと、辺りは闇に包まれていた。

周りを見回し、自分が倒れていたことを思い出した。

もはや硬くなってしまった女から離れようとすると、女から流れていた血液が女の肌と僕の肌との間で固まり、まるでガムテープを剥がす時のような音を立てながら身体を引き離す。


僕の全てを注いだ女は、今や死臭を放ち、汚物に群がるように蝿が飛び回っている。

その光景を見た瞬間、僕は吐き気に襲われ、何日も食べてないから胃の中なんて空っぽなのに、吐いた。


ひとしきり吐く真似事をした後、逃げるように民家を後にし、日が昇る頃まで歩くと、僕は友軍の救助隊に発見され、最初に通りかかった医療キャンプに護送された。

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