第2話 出兵
医療テントの出来事から少しして、僕ら少年兵は一ヶ所に集められいよいよ作戦開始地点までトラックで運ばれることとなった。
移動中のトラックの中では、自分の境遇に泣く者、溜まらず吐いてしまう者、ひたすらにくしゃくしゃになった家族の写真だかを握りしめている者と様々であったが
僕は1人、医療テントの中でみた光景を1人思い出していた。
今まで異性の裸といえば母親か、お姉ちゃんので、それ以外はクラスの友達が持っていた袋とじの雑誌でしか見たことがなかった。
その時といっても、別に体の真ん中が膨らむようなことはなかったし頭が弾けるような感覚も得られなかった。
あの感覚とは一体なんだったのだろう
そんな疑問が自分のちっぽけな頭を満たしていく。
家族以外の異性だから?直接見たから?
授業中に前の席の女子の背中にわずかに浮かぶ肌着を見たときも、ここまでの感情はなかった気がする
結局何が自分に起こったか明確な答えは出ず、わだかまりを抱えたままトラックは目的地に到着した。
岡陸軍中尉の号令の下、僕らは隊列を組み
大まかな作戦概要を知らされる。
広大な森林地帯に聳えるこの場所は、敵兵を多く匿っており、僕らの軍はそれらに大きな被害を被っているとのことだ。
つまり僕らは、その広大な場所に点々と存在する小さな拠点から、大きな拠点までをしらみ潰しに撃破していくとのこと。
社会見学の班行動のように、僕らはいくつかの小隊に分けられ小隊ごとに指定された場所へと赴く。
岡陸軍中尉の合図と同時に、僕ら各小隊は自分達の任務を全うする為、全速力で泥沼のような死地へと足を踏み入れて行った。
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