ヤバっ

異世界転生を果たした若者は、森の中に立っていた。

「おぉ、ちゃんと森の中に転生したんだな。顔はまだわからないけど、どうやら体と年齢はちゃんと設定した通りになってるみたいだ。」

俺たちが神様のもとで見ていたスクリーンには、転生した若者が自分の体を確認している姿が写し出されていた。

「さて、能力の確認もして、俺様の異世界ライフをスタートさせ・・・」


(ヒュン ・・・、 ボトッ。)


目の前のスクリーンには、首を切り落とされた若者の姿があった。

頭が地面に落ち、斬られた首から大量の血が溢れ出していた。

「おぉ、早速1回目か。これはなかなかいい出だしじゃの。」

後ろを振り向くとありえない言葉を口にした神様が笑っていた。

「ほほほ。驚いたかの?この森は魔境と言って差し支えない環境なんじゃ。ここの魔物たちは、他とは次元が違うレベルの強さを持っている。たとえチート能力を持っていたとしても、転生したばかりでは、まず生き抜くことはできないじゃろう」

「えっ」

この神様は何を言ってるのかな。今目の前で若者がその命を落とした。しかし神様はそれはさも当たり前のことと言っているような態度であった。

俺たちの目の前に設置してあったスクリーンがシュンと言う音を立てて消えてしまった。

「さて、そろそろあの若者が戻ってるぞ」

その言葉の後に転生したときと同じような光に包まれて若者が姿を現した。

「あれ、神様がいる。俺は確かに森の中に転生したはずなのに、なんで元の場所に戻ってるんだ」

「ふむ、あまりのショックに自衛本能で記憶を抹消しておるか、それじゃあ意味がないのう。少しいじるかの」

神様から光の玉が若者に飛んでいき、若者の体に吸い込まれていった。

「さぁもう一度森の中へ行ってくると良い。せっかく転生させたんじゃ今度はしっかりと異世界の記憶も持って帰るんじゃぞ」

「えっ、神様何を言ってるの?てか俺森の中にさっきまで居たんだけど、どうなって」若者がしゃべっている途中で再び光に包まれて転生してしまった。


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