お先に転生しちゃいました

そして話は神様の前で転生を待つ者たちのところに戻る

「お主は本当に森への転移で良いのか?街の側へへの転移もできるんじゃぞ。街ではなくても村の側の草原へも霊山の麓の密林にも転移はできるんじゃが」

神様は男への最後の説得を試みていた

「いや確かに他の場所でも異世界生活を始めるのになにも問題ないかもしれない。だけど俺の勘が森に何かあると言ってる気がしてならない。だからできるのならば森に転移させてほしい」

神の説得虚しく男の意思は変わりそうになかった。むしろ促しているのではという雰囲気すら感じた。

「まぁ神様にはかなりチートな能力も貰ってしまったし、これならどこでもやっていけると思う。ここから俺の様子も見れるって話だったし、英雄の誕生を間近で観察していてくれよ。」

異世界テンプレ人生がスタートすると信じて疑わない男は森への転移を決めてしまった。別に日本のラノベ作家が悪いわけではないがこれも一種の刷り込みなのだろうか。

「そこまで言うのなら森へ転移しよう。じゃからこれは儂からの最後の餞別じゃ。」

そう言うと神様は右手に持った杖を天に掲げて男へと振り下ろした。神々しい光に男が包まれた後、その胸元には金色に輝くネックレスがあった。

「それは復活のネックレス。例え死ぬことがあってもリングの数だけ復活できる。ちなみにそれだと100回分の復活となるな。」

「えっまじで!?こんなの貰っちゃっていいの?神様ってめっちゃ良いやつだな。ドジっ子や人の話を聞かない奴だったらどうしようかと思ったけど、会えた神様があんたで俺は最高についてるよ」

「そうか。他の神は知らんがそのような者もいるのだな。さてでは能力も転移先も決まった。約束通りまずはお主から転移させよう。」

「お願いします」

男が光につつまれて消えた。無事に転移されたようだ。

「さてお二人は能力と場所は決まったかの?少し力を使いすぎてしまってな、2人の転移はすぐにはできんので少し寛いでいてくれ。暇じゃと思うからあの男の転移先の映像でも見ておくと良いじゃろう。」

そう言って神様は俺たちの前にスクリーンのようなものを出して休憩をとり始めた。

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