第2話

僕は高校1年生になった。

中学生の頃は県の代表や全国常連のクラブチームのキャプテンを努めていた。学業では常にトップをキープし続け、藤家にふさわしい人間であるように過ごした。大変なことも多々あったが、充実していた3年間だった。



入学した高校は所謂、スポーツ校でもありながら進学校としての一面も持つ学校だった。僕の親戚や両親は政治家、医者、教師など様々な方向で活躍していた。まさに、漫画に出てくるようなエリートの一家に生まれた。「勉強ができない人間ほど価値が低い。」「文武両道など当たり前だ。どちらもトップで有り続けてこそ、藤家の人間だ。」幼い頃からずっとすり込まれてきた。誉められることなど無かった。ただ、叱られることも無かった。まあ、そんな僕にはふさわしい学校なんだろう。国内でトップクラスの大学への進学率がとても高い学校だ。期待しても良いだろう。




クラスの友人とはすぐに仲良くなった。自分と同じような価値観をもつ友人ができることは中々無かったので、とても嬉しかった。予習する、授業を受ける、復習をする。この繰り返しは中学生と同じであるはずなのに、とても心地が良かった。というより、楽しかった。

部活動では勿論、バレーボール部に入部した。県内ではトップのバレーボール部だが、僕は期待のルーキーとして招かれて、5月から始まる試合にも出られるように、チーム全体が僕を中心として動こうとしていた。










そんなとき、僕に変化が起きた。


幼い頃以来、経験したことが無いもの。

心に深く深く残って、無くなることを知らないもの。

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