第1話

君との再開は突然だった。僕の夢の中に現れたのも何年ぶりだろうか。それまで僕は君のことを忘れていた。昔、見ていた夢があった。透き通るような白い肌と対照的に艶のある真っ黒な髪。肩にかかるくらいの長さで、僕と同じような背丈。僕と一緒に君は成長した。とても昔のことだったから、僕はすっかり忘れていた。

「久しぶり。元気にしてた?私はずっと元気だったよ」

君はいつもと同じ部屋で待っていた。一面空色でシャボン玉がぷかぷかと浮いている部屋。白いワイシャツと黒いジーンズに身を包み、質素な服装の細くてしなやかな君はそこにいた。君は振り向くと話し出す。

「うん、僕は元気だったよ。」

「そう、良かった。」

君はゆっくりと目を伏せる。長い睫毛が目の大きさをより誇張していて、少し羨ましくなった。綺麗だ。透き通った硝子玉のようで目が離せなくなってしまう。

「ねぇ、君。私の事、忘れていたでしょう。」

ははは、と君の笑い声が部屋にこだまする。

「うん、忘れていたよ。どうしてだろうね。なぜかは分からないけれど、僕は君のことをこんなにも長い期間忘れてしまっていたんだよ。」

「どうしてだろうね、なんて言われても私には分からないよ。君の中にいる私だから、君が分からなければ私も分からないもの。」

首をこてんと傾けて、向日葵のような笑顔を見せる君。小さい頃、僕によく見せてくれた顔だ。懐かしく感じる。

「…ねぇ、何か、あったんでしょ。」

「ん?なにが。」

「とぼけなくても良いんだよ。正直に言ってよ。」

少し君は声を張る。珍しいな、と思う。おとなしい彼女が滅多にしないことだった。

「まあ、そうだね。君には話しても大丈夫か。」

僕は今まであった出来事を話した。





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