~白兵衛(しろべえ)の生憶(きおく)~(『夢時代』より)
天川裕司
~白兵衛(しろべえ)の生憶(きおく)~(『夢時代』より)
~白兵衛(しろべえ)の生憶(きおく)~
…湯玉(ゆだま)へ乗り手が奇怪を連れ添い、引く手数多の暗黙(やみ)の許容(うち)から構成ばかりを受け付け続けて、日々の離散に鈍(くも)れる両眼(まなこ)は滑稽ばかりをその掌(て)に抱(だ)いた…。一人(ひと)の化色(けしき)に猫が寄り添い、漆黒(くろ)く流行(なが)れる景色の裾には黙して便(たよ)れる離散が跳び交い、日々の目下(ふもと)で起死を幻見(ゆめみ)る緑日(りょくび)の欠伸を久しく識(し)った…。自体(おのれ)の過去から燦々輝く無為の陽玉(ひだま)は腰を落ち着け、未知に育む未来(さき)の独理(ドグマ)を脚色して生く傀儡を得た…。幻(ゆめ)の小界(かぎり)の未来(さき)の八性(おろち)は、無根の日々から栄華を観て居る…。
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…白兵衛が出て来た。相変らず、丸い頬っぺたと体をして居り、首輪をされながら、「首輪の範囲で運動するのは、猫にとって良い事やねんで」と俺の母に言われながら、白兵衛は、自分に与えられた餌を一生懸命に目を瞑りながら食べて居た。
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夢想の個録(ころく)に陰りが導き、小宙(そら)の目下(ふもと)に体が嬉しく、人間(ひと)の空間(すきま)に不本(ふほん)を焦がせる旧い初夏への希望が発(た)った…。白亜(しろ)く寄り付く不彩(ふさい)の艶(いろ)には架空の様子が不悶(ふもん)を彩り、人間(ひと)の高さに寄り付く姿勢(すがた)は意気地を堕とせる不利口(ふりこう)へも跳び、幻想(ゆめ)の神秘(ふしぎ)と大海(うみ)に辿るは無想の揺蕩(ゆらぎ)は…、人間(ひと)の余命(いのち)に乱心(こころ)が憤(むずか)る螺旋の流行(ながれ)を空虚に化(か)えた…。白亜(しろ)く成り立つ不彩(ふさい)の体裁(かたち)は楽(らく)を透せる神秘(ふしぎ)を貶め、未信(みしん)に授ける無機の柔裸(やわら)は男女(ひと)を齧れる孤踏(ことう)を折った…。小口(くち)に活き尽(き)る旧い幻想(ゆめ)には漆黒(くろ)く成り立つ架去(かこ)を傾げる夢想に見立てて、一人(ひと)に勧める紅(あか)い日々には、孤踏(ことう)と輪舞曲(ロンド)を個々に届ける小宙(そら)の〝お唄〟と滑稽にも成る…。日々に活き着く過去(むかし)の日々には旧い孤独と艶(あで)など色付き、一幻(ゆめ)と活路の不装(ふそう)の透りは無知に片付く白亜(しろ)を識(し)った…。一人(ひと)に息衝く文言(ことば)の端(はし)から不毛に落ち着く孤独を立たせて、小宙(そら)を待たせる固陋の行方は厳思亜(シビア)を気取れる惨(むご)さを語れる…。不毛の宮(みやこ)に過去が轟く幻覚(ゆめ)と神秘(ふしぎ)の逆行(もどり)と同じく、一体(からだ)に踏ませる螺旋の逆行(もどり)は不通に彩る生気を飼った…。一人(ひと)と無口の色香(いろか)の途切れは過去の無知へと孤動(こどう)を脱(ぬ)け出し、漆黒(くろ)く流れた一人(ひと)の幻覚(ゆめ)には女性(おんな)の脆さを透かして行った…。非道に弾ける懊悩(なやみ)の道標(しるべ)は軌道に乗り出す乱心(こころ)を焚き付け、無類の吐息と声命(いのち)を安転(ころ)がす神秘と不思議に躰を保(も)った…。無垢に成り立つ不機(ふき)の色香(いろか)は無知に拡がる孤労(ころう)を象り、不知(ふち)の行方に彩り始める不幸と未完(みじゅく)の喝采など観た。白亜(しろ)く成り立つ不毛の小敗地(アジト)と日鉢(ひばち)の許容(なか)には、旧く始まる孤独と脚色(いろ)とが不俱に始める形象(かたち)を馴らせた…。無心に色付く不幸と脚色(いろ)とは日々に堕とせる乱心(こころ)に落ち着き、転々(ころころ)按転(ころ)がる過去の若輩(やから)は日々の流行(ながれ)を優れて保(も)った…。一人(ひと)の明朗(あかり)に〝行方〟が木霊し、愚弄に活き着く夢想の角(かど)には自己(おのれ)の気付きに躰を盛(も)り出し、白亜(しろ)く発(た)たせた労苦の翌朝(あさ)には門(かど)を尖らす夢想と成った…。
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…俺と、俺の母と、俺の父と、白兵衛と、日溜りの緊(きつ)い女性と、未知先生の残像と、栄子の写真と、E教会で見知った嫌な男の子の写真とが、主に出て来たのを記憶する。あと、俺の父方の田舎の何人かの気配が在った。そして、母方の実家の従兄弟(従姉妹)達の気配も在り、母の母、詰り俺の婆ちゃんと、やっちゃん等が出て来て居た。やっちゃんは気配だけで、顔や体は出て来なかった。
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過去の幻想(ゆめ)から凝(こご)りが沸き立ち旧(ふる)びた過憶(かおく)は毅然と在れども、安い愚痴から延命(いのち)を吐くのは優れた夜明けのきらいに在った…。無益の小口(くち)から意味を忘れて憤慨するほど乱心(こころ)は成り立ち、幻(ゆめ)の霞が未完(みかん)が期すのは〝しどろもどろの悶様(もんよう)〟だけにて、富める過去(むかし)の懊悩(なやみ)は概(おお)きく夜半(よわ)の中身は毅然に培い、昼の最中(さなか)へ投身して生く不甲斐の人形(かたち)は脆さを割った…。自己(おのれ)の過去(かこ)から人形(かたち)を見究(みきわ)め、旧(ふる)びた背中は懐疑(レトロ)を崇めて、器用に意味する乱心(こころ)の安転(まろび)は機運の導(しるべ)に夜波(よわた)りと鳴き、明日(あす)の高嶺に身悶えして生く不装(ふそう)の化色(けしき)は花燭(かしょく)を点(とも)し、一幻(ゆめ)を追うまま未活(みかつ)に飼うのは寡暮らしの一男(おとこ)であった…。一人(ひと)の両腕(かいな)に物怖じして往く精神(こころ)の日蓋(ひぶた)は一進月歩(いっしんげっぽ)で、一人(ひと)の当てから四季(きせつ)を忌むのは佳日に埋(うも)れた季節であった…。一人(ひと)の温味(ぬくみ)を故縁(えにし)に見定め、未来(さき)を詠むのは未完(みかん)の至月(しづき)で「…核を保(も)たぬは男性(おとこ)の恥…」等、宙(ちゅう)を彷徨い虚空を打った…。過去の肢体(からだ)を浮き彫りにして、実しやかの巧みに退(の)いては、幻想(ゆめ)と自己(おのれ)の刻(こく)に対せる夜半(よわ)の悩みを可能にする儘、漆黒(くろ)く流行(なが)れた旧い佳日は流儀の内へと流れて入(い)った…。幻(ゆめ)の生憶(きおく)に流れた井戸には岡目(おかめ)の気性(きしょう)が故縁(えにし)を見忘れ、他(ひと)の悪事を嘆き羨む不遜の道標(しるべ)が凝(こご)りを描(か)いた…。変身して往く文言(ことば)の陰には未一(みいつ)に輝(ひか)れる白衣(ころも)が浮き立ち、一人(ひと)の孤独を個録(ころく)へ化(か)え往く旧い具像(かたち)が千夜(とばり)を忘れて、人間(ひと)の翌朝(あさ)から素顔を消し去る強い身重は愉快に廻り…、一人(ひと)に培う孤独の居間では生絆(きずな)を添え得る仮病を弔う…。自己(おのれ)の傘下に〝微妙…〟が活き発(た)ち、幻覚(ゆめ)の混沌(カオス)が微妙を切る頃、一人(ひと)と自体(おのれ)の具像(ぐぞう)の房(ふさ)には暗黙(やみ)を奏でる音叉が鳴った…。奇妙に贖う化色(けしき)の要(かなめ)は、自体(おのれ)の未知へとその芽を抜き取り、自由の理郷(くに)から寂れた郷(くに)まで、俚諺を吐き往く無知を齧った…。一人(ひと)の誉れに悪態吐(づ)き生く〝苦労と邪気…〟との音叉の界(かぎり)は、人間(ひと)の小界(かぎり)に未解(みかい)を見出す不解ばかりの小界(かぎり)を脱ぎ捨て、一幻(ゆめ)に啄む未信の進歩を鷲掴みにする退歩(たいほ)を保(も)った…。自由に損なう自主(あるじ)の嫉(そね)みは、離姦(りかん)に伴う術(すべ)を識(し)らずに、悪しき罠より悪巧みに言う乱心(こころ)の総理(すべて)を躱し続けた…。不安と現行(いま)とが弔い始める未屈の演戯は灯篭(あかり)に点(とも)り、夢中に兆せる夜半(よわ)の迷いは熟女(おんな)の照輝(てか)りを盛(さか)りに保(も)った…。嗣業に遺棄する無情の総ては肌理を忘れて未来(さき)へ羽ばたき、白亜(しろ)く限れる小心(こころ)の総理(すべて)は人密(みつ)に咎める卑しさから成る…。
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…俺と父は、曇り空の下、何か、D大学Kキャンパスが在る、あの山手線の坂の様な場所に居り、俺と父の他に、俺の知り合いが居たような気がする。その中で、和気(わけ)の婆ちゃんがアルツハイマー病で呆けて来て居るからと、婆ちゃんが婆ちゃんの自宅にきちんとかえれるように、二人して付き添おうと試みて居た。父の車が二台、坂道に在り、一台は前に買った(もう廃棄されて今は無い筈の)クラウン、もう一台は今乗って居る新しいクラウンである。新しいクラウンは夢の中で映らなかったが、古いクラウンは、もう金が無くて軽(けい)しか持てない俺の物に成るかも知れない、等と言う期待を俺に与える形で、俺の目前に在った。もしかしたら、貰えるかも知れない、と俺は父の承認を期待して居た。
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人間(ひと)の明朗(あかり)が過去を打ち消し、人物(もの)の見事に遠さを問うのは、不毛に活き生く精神(こころ)の積もりと魅惑を賭けた女性(おんな)の千夜(とばり)で、奇妙に咲けない尖りの快無(オルガ)を無知に化(か)え生く景色を保(も)った…。非道に活き抜く孤独の自主(あるじ)が情事(こと)に手向ける翌朝(あさ)の寝言は、身欲(よく)の寝床(ねどこ)に緊(きつ)く固まる不安だらけの暴力(ちから)を誘(さそ)い、暗黙(やみ)の淵へと静かに落ち着く固陋と義務との灯(あかり)を保(も)った。女性(おんな)に息衝く男性(おとこ)の揺らぎは未知を訪れ呼吸を惑わし、女性(おんな)の化色(けしき)を過去に溶け込む幻覚(ゆめ)の波(なみ)から感覚(いしき)を買った…。未知に傅く魅力の総ては自体(おのれのからだ)に未来(さき)を捕えて、暗(やみ)に逆巻(さかま)く孤独の住処へ奇怪を齎す運河を識(し)る迄、一人(ひと)に落ち着く波動の暗(やみ)とは感覚(いしき)に伴う輪舞曲(ロンド)を観て居る…。一人(ひと)の寝室(ねむろ)を人徳(とく)に見定め、世迷(よまい)の総理(すべて)を乱心(こころ)に問うのは、過去に落ち着く無心の共鳴(さけび)と人物(もの)の見事の空虚に落ち着き、不和に囁く日々の揺蕩(ゆらぎ)は理知に飛び込む脆弱差(よわさ)を保(も)った…。翌朝(あさ)に注(つ)ぎ込む幻覚(ゆめ)の列(ならび)に〝自己(おのれ)の宙(そら)〟など自由を取り巻き、幻覚(ゆめ)の肢体(からだ)に既存が棲み込む人間(ひと)の八性(おろち)は遠さを打ち出て、自己(おのれ)の暗黙(やみ)から誠(まこと)を取り置く非道の感覚(いしき)が宙(そら)を観るのは、自由を愛して乱心(こころ)を装う不安と八性(おろち)の神話と成った…。分厚(あつ)い景色に感覚(いしき)が成り立ち、一人(ひと)と乱心(こころ)の魅惑の様子に未来(さき)を知れない千夜(とばり)が生くのは、旧来挿話(むかしばなし)に追い着く間際の人間(ひと)の化色(けしき)と有頂(うちょう)の精華(はな)にて、安く成り立つ神秘(ふしぎ)と気色は表情(かお)を保(も)たない曲輪(きょくりん)を観る。陽(よう)に培う小敗地(アジト)の化色(けしき)は幻(ゆめ)の魅力を一女(おんな)に訴え、不法に伴う愚かな気色に過去を追い駆け自由を奪い、一人(ひと)の途切れに未信を想わす鳥の翼(つばさ)と歴史を買う内、一人(ひと)の背中へ素成(すんな)り跳べない自由の刃取(はど)りを大海(うみ)へと投げた…。一人(ひと)の生録(きろく)を未知に積むうち精神(こころ)の揺蕩(ゆらぎ)は〝自由〟を看破(みやぶ)り、過去の活き血を乱心(こころ)に詠むのは幻覚(ゆめ)の快無(オルガ)と気性(きしょう)を同じく、一人(ひと)の行方に逆行(もどり)を識(し)らない他己(たこ)の四季(きせつ)と仄香(ほのか)を愛して、幻覚(ゆめ)の装備に未完(みじゅく)を想わす無知の繁みにその身を描(か)いた…。呼吸を発狂(くる)わす乱心(こころ)の繁りは未知を培う野望と同じく、女性(おんな)と未(いま)との吐息の空間(あいだ)を宙(そら)に安(やす)める個録(ころく)と訴え、一人(ひと)の間近に美声(こえ)を撓(たわ)める安い目下(ふもと)の落ち葉と日々には、個々の目下(ふもと)に可笑しく並べる奇憶(きおく)の吐息を凝(こご)らせ始めた…。一人(ひと)の生憶(きおく)に未解(みかい)が佇む既知の縁(ふち)には青空(そら)が落ち果て、白亜(しろ)く爛れる孤独の人壁(かべ)から可笑しく突き出る見様(みよう)の岐路には、過去の透りが災い成る哉、旧来(むかし)に保(たも)てる無彩(むさい)の景色の中身に寄る内、一人(ひと)と未(いま)とが故郷を保(も)てない〝返り咲きする傀儡(どうぐ)…〟を保(も)った。一人(ひと)と自己(おのれ)の興味の宮(みやこ)は独理(ドグマ)を忘れて木霊を消し去り、幻覚(ゆめ)の震えに理解を手向ける見様(みよう)の気色を邪気に詠み捨て、浅い佳日と自己(おのれ)の無機から乱心(こころ)を仕向ける傀儡(どうぐ)を飼った…。無心に傅く乱心(こころ)の暗(やみ)から人間(ひと)の魅力は木霊を蹴散らせ、仮想(おもい)の総てをその絵に定める理知の遊戯は無力を訴え、漆黒(くろ)く静まる火急の経過(ながれ)は奇憶(きおく)の様子と利算(りさん)を試み、理知に仕留める無様(むよう)の自然(あるじ)は凝(こご)りを脱ぎ捨て独理(ドグマ)を描(か)いた…。無知に息衝く木霊の吐息は青空(そら)の欠片(かけら)を自由に集めて、未知の吐息へ自在を操る不毛の小敗地(アジト)の行方を識(し)った…。老いを気にした精神(こころ)の理性(はどめ)は理解と空虚の絵日記など観て、「自由」を振舞う個々の揺蕩(ゆらぎ)に奇憶(きおく)を見付ける両刃(やいば)を着飾り、旧い歴史物(もの)へと呑まれ始める人間(ひと)の個録(ころく)と杜撰を観て居た…。自由を踏まえて快無(オルガ)を画(え)にする利算(りさん)と揺蕩(ゆらぎ)の奇憶(きおく)の許容(うち)には、白亜(しろ)い四季(きせつ)に素通りして生く「未来(さき)を見送る手先」と同じで、翌朝(あさ)に景色を見守り続ける無様(むよう)の長寿を絵にして描(か)いた…。幻想(ゆめ)の小界(かぎり)に身憶(みおく)が伴う陰府(よみ)の肴(さかな)は自由を平らげ、旧い住処の自在と故縁(えにし)は呼吸に逆らう活命(いのち)を観た儘、漆黒(くろ)く途切れる個々の自然(あるじ)を身憶(みおく)に捧げて自由を切った…。女性(おんな)の過去から愚行(おろか)が集まり、自由を芽(め)に描(か)く夜半(よわ)との契りは、旧く見積もる古都の生憶(きおく)と身重に消される自覚(かくご)と同じく、白亜(しろ)く観られる人形(かたち)と未(いま)との翌朝(あさ)の揺蕩(ゆらぎ)に満ち溢れて居た…。
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…何か固い、投げる物にしたら大きな物体を、父は俺に向かってか知らないが、空高く放り投げ、案の定、その物体は、古いクラウンのボンネットの上に落ち、そのボンネットに深い割れた傷が出来てしまった。「ほら、そんなんしたらこう成るに決まってるやん。割れるに決まってるやん」と俺は父に言い、他に居た俺の知り合いの様(よう)なもう一人の男も、同様に父を責めた。父は、跋が悪い様(よう)な表情(かお)をしながらも、やはり、やや頑なに自分の体裁を繕って居た。
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幻(ゆめ)の凝(こご)りにその芽を引き寄せ不悶(ふもん)の自然(あるじ)を美声(こえ)に呼ぶのは、過去を忘れた生憶(きおく)の傍(そば)にて〝行方知れずの愚像(ぐぞう)〟を追い駆け、秘蔵の目下(ふもと)へ感覚(いしき)を画(かく)せる無意識から成る女宴(うたげ)であった…。既往(きおう)の人陰(かげ)から無信を絵にした一人(ひと)の陰りは未婚を助けて、過去の故縁(えにし)が空虚を装う非道の自主(あるじ)が心身(からだ)を問うのは、白亜(しろ)い四季(きせつ)に活き活きして往く不在の八性(おろち)と小鳥を愛して、夜半(よわ)の目下(ふもと)に道を切り裂く脆弱(よわ)い進歩をその掌(て)に拡げた…。不等(ふとう)の感覚(いしき)を自己(おのれ)に問うまま過去の懐疑(レトロ)を両腕(うで)に抱(だ)き込み、一人(ひと)自主(あるじ)を孤独に配する暗(やみ)の感覚(いしき)は鼓膜を保(も)ちつつ、低い小界(かぎり)の文言(ことば)を問うまま非道を訓(おし)えた安堵を脱ぎ捨て、暗黙(やみ)の両眼(まなこ)へ宙(そら)が追うのは紺(あお)い感覚(いしき)の木霊と成った…。一幻(ゆめ)の木霊を悪夢に取り添え、意味を忘れた孤独の大手は、低い宙(そら)から界(かぎり)を象る陰府(よみ)の木霊と用意をした儘、小宙(そら)を育てる虚空の叫びは共鳴(おと)を馴らして木霊に返れる…。欲を保(も)たせた人頭(どくろ)の大器は低い白雲(くも)から故縁(えにし)を呼び捨て、人間(ひと)の孤独を女性(おんな)に沸かせる不毛の温度をその掌(て)に展(ひろ)げて、幻覚(ゆめ)の人形(かたち)を快無(オルガ)に翻(かえ)せる不能の落ち度は目間狂(めまぐる)しく成り、表情(かお)を保(も)たない孤独の色素は有名無実に遁々(とんとん)散った…。一男(おとこ)と女性(おんな)の孤独の自然(あるじ)は滑稽から観た無用が成り立ち、漆黒(くろ)く吟味(あじ)わう惨(むご)さに寄り付く不意の集成(シグマ)を過去へと相(あい)し、白亜(しろ)く尖れる紙の薄味(うすみ)は脆弱(よわ)く漂う滑稽差(こっけいさ)を観て…、緊(きつ)い女性(おんな)の千夜(とばり)の許容(なか)から故縁(えにし)を忘れて長者と成った…。端正(きれい)に焦がれる肉の膨(ぼう)には私宝(たから)の柔味(やわみ)が気楼を追い駆け、日々の肴(さかな)を明日(あす)に逆行(もど)せる不能の賛美と合流しながら、過去の概(おお)さを精神(こころ)に迷わす不意の感覚(いしき)と幻(ゆめ)とを愛し、一人(ひと)の孤独が枯渇に這い出る理知の生憶(きおく)を可笑しく問うた…。暗黙(やみ)を奏でる人頭(どくろ)の気色が小声(こえ)を挙げつつ雄々しく飛んで、小宙(そら)の渡りが烈しく成るのを木霊の生気は見事に呈(あらわ)せ、一人(ひと)の自主(あるじ)と個録(ころく)の坊(ぼう)には脆弱(よわ)い生憶(きおく)を文言(ことば)に追い駆け…、一人(ひと)の理性(はどめ)に理知を飼うのは旧(むかし)に飛び立つ滑稽だった…。一女(おんな)の小界(かぎり)に御殿が表れ、未完(みじゅく)に逆らう故縁(えにし)の生跡(あと)には、旧来独語(むかしがたり)が純心(こころ)を費やす不能計(ふのうばか)りの女性(おんな)が発(た)った…。
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…俺と父が和気(わけ)の婆ちゃんの介抱に向かったのはそれからである。婆ちゃんは初め、一人で行ける、と俺と父とに納得されて、何処(どこ)かで俺達と別れ、帰路に就いて居た。
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…過去(むかし)に弛(たわ)めた後光の加減は〝選り取り見取りの呼吸〟を準え、自体(おのれ)の未知から純心(こころ)を紐解く脆弱(よわ)い舵から女性(おんな)が現れ、人間(ひと)の哀れを気候に捉える人密(みつ)の上辺(うわべ)の独創(こごと)の許容(なか)では、奇妙に培う殺意の概(おお)さが暗(やみ)を照らして黙認して居る…。旧い人扉(とびら)を不憶(ふおく)に懐ける無機の小言(こごと)は宙(ちゅう)を養い、一女(おんな)の寝室(ねむろ)に過去を忘れた暗黙(やみ)の自主(あるじ)を寡黙に観ながら、人間(ひと)の生憶(きおく)に故郷を冠した実力(ちから)の息吹は孤独を飼いつつ、不当に活き発(た)つ純心(こころ)の生憶(きおく)を過去の小敗地(アジト)へ潜伏させ得た…。過去の魅力と小宙(そら)の目下(ふもと)が純心(こころ)を拝して不覚を安(やす)めて、低い小宙(そら)への自然(あるじ)の千夜(とばり)は未然に焼き付く無純(むじゅん)と同じで、白亜(しろ)い翌朝(あさ)から器用に導く枯渇の遊戯と脱線して生く…。人間(ひと)の柔身(やわみ)と古郷(こきょう)の身元が白亜(しろ)ぴ一夜(とばり)に堅く成り立ち、自由に飛び立つ不義の相場は自由を象る愛露(エロス)を両掌(りょうて)に置いて、暇を余せる未活(みかつ)の進度(しんど)は過去を閉ざして愚問を買った…。自己(おのれ)の自然(あるじ)を遣る頃、旧い人形(かたち)を鈍(くも)りに放り、事前に途切れる未知への温(ぬく)みは幾様(きよう)に導く白亜(はくあ)を感じ、幻覚(ゆめ)の身元に活路を懐ける呼吸と現行(いま)との身欲(みよく)を訴え、理知に遠退く快無(オルガ)の気色は未来(さき)に跳び発(た)つ快活(かいかつ)さを観た…。自己(おのれ)の目先(さき)から純心(こころ)が飛び交い、無知に息衝く純心(こころ)が弄(あそ)び、幻覚(ゆめ)の許容(うち)へと嗣業を懐ける不満と現行(いま)との「明日(あす)」を解(と)かせて、理味(りみ)を活かせる純心(こころ)は一女(おんな)を象り感覚(いしき)を保(も)った…。幻想(ゆめ)の一夜(とばり)に身塵(みくず)を零れて、過去と現行(いま)とを無屈(むくつ)に翻(かえ)せる日(ひ)の陽光(ひかり)を小窓(こまど)に見付けて落胆し続け、暗黙(やみ)の許容(うち)より精神(こころ)を問うのは白紙の陰りの宇宙と成った…。朗(あか)るい景色が非常に群がり、生憶(きおく)の許容(うち)より純心(こころ)が翔(と)ぶのは過去の活路と疑問の成果(はて)にて、暗(やみ)に息衝く生憶(きおく)の洞(うろ)には女性(おんな)の気色が渦を創った…。創ったばかりの人工物から暗(やみ)を信じる個録(ころく)が陥り、不毛の人頭(どくろ)を安転(ころ)がす悪魔は無純の四季(きせつ)は非道の論理を研ぎ澄ませて往く…。白亜(しろ)く尖れる不毛の「明日(あす)」には自己(おのれ)の生憶(きおく)が訪れ始め、未知と現行(いま)との個録(ころく)の暗黙(やみ)とが生憶(きおく)を眺めて予知夢を仕切り、人間(ひと)を限れる無垢の小躍(おど)りは無心に傅く孤独を保(も)った…。白亜(しろ)く澄ませる無心の共鳴(なげき)は所構わず人山(やま)を遠ざけ屈辱だけ識(し)り、過去(かこ)の小敗地(アジト)が遠退く未知への切れ目に現行(いま)を透せる矛盾を切った…。精神(こころ)に黙らす自己(おのれ)の生準(きじゅん)は〝都会の常緑(みどり)〟を配達して生く…。過去に息衝く安心(こころ)の暗黙(やみ)には遠くの視界(かぎり)と未解(みかい)が訪れ、無知が片付く孤高の暗黙(やみ)には白亜(しろ)い肢体(からだ)の温(ぬく)もりを観た…。分厚(あつ)い四季(きせつ)の無機を信じて男性(おとこ)の途切りは過録(かろく)を篭らす使途(しと)を操り、日々の盲(ゆめ)から生録(きろく)を吃(ども)らす矛盾の温母保(サイコ)を見落として生く…。
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…しかし、俺が「婆ちゃん、多分、家まで辿り着けんだろう。そう言えば婆ちゃん、アルツハイマー病だった…」と思い返して、婆ちゃんの元へ行こうと決めた時、俺の父も同様に思って居たらしい。俺から婆ちゃんの元に行こう」と決心し、婆ちゃんの元へ体を向かわそうとした時、ほぼ同時に、同様に父の体も俺に付き添う様(よう)に動いて居た。父は、そんな俺を褒めて居た様に思えて、俺は内心嬉しかった。婆ちゃんの元へ向かう途中に、俺と父は、D大学(Kキャンパス)の内に入り、婆ちゃんを探して居り、その時に、空に、やっちゃんの気配が浮かび、誠実な体裁を以て「有難う」と俺達に言った様だった。俺は、やっちゃんが出て来たので、やや嬉しくなり、又、父と共に、婆ちゃんの姿を探す事に尽力した。婆ちゃんは疎らに居たような、大学関係者の内に居たようだったが、結局、俺と父は、婆ちゃんの元へは辿り着けなかった。
*
…未完(みじゅく)の自活(かて)から記憶を覚まして、未婚の泡(あぶく)を純心(こころ)に遣る時、素通りして生く暗(やみ)の目下(ふもと)は微かな自由にその実(み)を養い、白亜(しろ)い思乱(あらし)に活路を拡げる旧来独語(むかしがたり)が思中(しちゅう)を奪(と)った…。非常に憤(むずか)る利口の八性(おろち)は雲隠れに見る輪舞曲(ロンド)を操り、一人(ひと)の過保護と孤独を空転(ころ)がす無機の遠さに演繹して生く…。低い小宙(そら)から身重が流行(なが)れる苦労話に孤独が絡まり、安い寝床に悪しきを幻見(ゆめみ)る奴隷の人道(みち)から文言(ことば)を保(も)ち出せ、一人(ひと)の寝屋から過去を幻見(ゆめみ)た輪舞曲(ロンド)の人群(むれ)には木霊が翻(かえ)り、無心に導く木霊の人群(むれ)には未解(みかい)の空虚がどんどん仕上がる…。一人(ひと)の気配に一女(おんな)が出るのは無暗(むやみ)と未(いま)との人形(かたち)でもあり、旧来独語(むかしがたり)に不和を問わせる浮浪の最期を気憶(きおく)と保(も)った…。白亜(しろ)い四季(きせつ)に夜波(よわた)りが在り、問いの総てに境を付け往く不和と一幻(ゆめ)との浮浪が飛び交い、暗(やみ)の安堵に律儀を忘れた仔犬の拍子に表情(かお)が映った…。男女(ひと)の文言(ことば)に未活(みかつ)が具(そな)わり、白亜(しろ)い感覚(いしき)に暗(やみ)が這う時、幻(ゆめ)と乱心(こころ)の白衣(ころも)の具形(かたち)は無駄を競える病を発して、一人(ひと)に懐ける滑稽(おかし)な吐息は恋慕に好く似た温味(ぬくみ)と成った。男女(ひと)の現行(いま)から乱心(こころ)が生育(そだ)てる不能の哀(あい)から情(じょう)が絆され、鷲掴みにした心の在り処は快無(オルガ)を見忘れ呼吸を乞う儘、小宙(そら)の行方を諸星(ほし)に気遣う槍の手順に準え始める…。人間(ひと)の矛盾に純心(こころ)が降(お)り立ち、不意に纏める連呼の果てには、後戻りの無い滑稽(おかし)な人形(かたち)に理屈を付け出し自由を究(もと)めて、縄目を解(と)かない人間(ひと)の哀れは〝可能〟を意図して呼吸を調え、幻想(ゆめ)の自然(あるじ)に理解を損ねる呼吸と小躍(おどり)に雀躍して居た…。有名無実の恋慕の生果(さき)には一人(ひと)の未屈(みくつ)に側女(そばめ)を携え、人物(もの)の恋慕に乱心(こころ)を迷わす白紙の心理にその芽を剥いた…。所構わず感覚(いしき)を取り保(も)つ〝送り火…〟さえ無い小宙(そら)への問いには、幻覚(ゆめ)の成果(さき)から乱心(こころ)を遊泳(およ)がす洞(うろ)の辺りの幻見(ゆめみ)が溜まり、一人(ひと)に始めて一人(ひと)に了(おわ)らす旧来挿話(むかしばなし)が孤独を打った…。漆黒(くろ)く途切れた宇宙の果(さ)きから児(こども)ばかりの思中(しちゅう)は巣立ち、併せ鏡の魔性(ましょう)を交わせる不甲斐の自主(あるじ)が通せんぼをした…。自由と未(いま)とが未解(みかい)に活き得る幻想(ゆめ)の途切れを宙(そら)に発狂(くる)わせ、自体(おのれ)の無機から孤独を失くせる旧い小界(かぎり)は独自を打った…。
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…俺はそのボランティアから生れた様なミッションを終え、俺の近くにいつも見える、ベランダが庭で餌を食べる白兵衛を、白兵衛の可愛らしさへの感情と命への愛おしさから来る愛情を以て見ながら、何時(いつ)しか、E教会に居た。礼拝が既に始まって居り、俺は何時(いつ)もの様に遅れて礼拝堂へ入った様子で、要る聖書を用意しようと辺りを見回して居た。人が礼拝堂に満員程に居り、栄子と嫌な男の子の写真、又、未知先生の残像を空想に見たのはその時である。俺の母が俺の左隣の席に座って居り、俺の父は、俺から一つ前の席(母から一つ右前の席)に座って居り、背中を俺と母に見せて居た。
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自活(かて)の実りを吐息に表し、暗黙(やみ)に導く正義は未(いま)でも、低い夜宙(よぞら)に寡黙を謳わす無録(むろく)の意地など呼吸と見て取り、男性(おとこ)と女性(おんな)の生義(せいぎ)の吟味(あじ)には過度の生跡(きせき)が夜路(よみち)を遠ざけ、日々の重さを朗(あか)るく見守る浮遊の稼ぎに明け暮れて居る…。幻想(ゆめ)を見積もる男性(おとこ)の正気は惨(むご)い勝手の進度(しんど)に基づき、幻(ゆめ)の脆さに悪態吐(づ)き往く寝室(ねむろ)の利益を世界に賭した…。確実成る哉、不倖を導く独創(こごと)の大器は一人(ひと)の活路を鵜呑みにした儘、広い宙(そら)から生憶(きおく)が透れる夜半(よわ)の静味(しずみ)に未完(みじゅく)を幻見(ゆめみ)て、既憶(きおく)に正しい孤独の雲母は自己(おのれ)の肢体(からだ)を久しく盛(も)った…。過去の人形(かたち)に未知を延ばせる浮浪と欲との素顔に早まり、陰府(よみ)の四季(きせつ)は〝行方知れず…〟の木霊の如きを意味深とも見て、脆(よわ)い人形(かたち)に感覚(いしき)を隠せる不安と自主(あるじ)の交差を観た儘、過去の生録(きろく)へ新進(しんしん)して生く浮浪と朝日の欲芽を売った…。吟味(あじ)を識(し)らない孤独の栄華は宙(そら)に昇れる人形(かたち)を見送り、男性(おとこ)と一女(おんな)の生憶(きおく)の空間(あいだ)は夢限(むげん)に辿れる個録(ころく)と成った…。紺(あお)い景色と偽りから観て、並び損ねた生憶(きおく)の在り処は、一人(ひと)と幻(ゆめ)とが尖りを忘れた遠い宮(みやこ)の小宙(そら)へと投げ掛け、意味を失くした精神(こころ)の列(ならび)は生途(きと)を画(え)に描(か)く様子と成った…。無心の王座と痕跡(あと)の生憶(きおく)は自体(おのれ)の価値から夢遊を見忘れ、一人(ひと)の奈落に微妙を欲しがる孤高の純路(じゅんろ)をそのまま見て取り、人間(ひと)の生憶(きおく)に戻る無音(おと)には、降下を気取れる寄り添いなど観た…。一頻りに発(た)つ煩悩(なやみ)の神秘(ふしぎ)は過去を忘れて軒端を愛し、人間(ひと)と純人(ひと)との純心(こころ)の倣いを無垢に消し去り無憶(むおく)に見て取り、明日(あす)の日々から温味(ぬくみ)を消し往く大宙(そら)の行方を遠ざけても居た…。幻覚(ゆめ)の巧みに未来(さき)を重んじ、継続して往く純心(こころ)の哀れは、自己(おのれ)の人形(かたち)に未来(さき)を渡らす幻覚(ゆめ)の大器と見劣りだけ識(し)り、人の世に観る愚かの構図を陰府(よみ)へ降(くだ)らせ真っ赤に燃えた。白亜(しろ)く築ける純心(こころ)の在り処は未来(さき)の欲から成らずを澄ませて、一人(ひと)と電子の綱渡りに知る夢遊の名家(めいか)をその身に具わせ、奇遇に懐ける純心(こころ)の集成(シグマ)は感覚(いしき)を好(よ)く観て、孤独を培い幻覚(ゆめ)と自己(おのれ)の呼吸の日々から〝通り縋りの受難…〟を保(も)った…。
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…礼拝堂の説教壇に立つ一癖二癖ある恩人の姿は、何故か俺・父・母から見て前方ではなく右方向に在った。自分用の聖書を用意しようと、人の多さから来る人の目を気にした焦りを少々感じながら、自分の辺りを探して居た俺に、礼拝が始まる前の前奏が既に鳴って居ると言うのに、一癖二癖ある恩人は俺に向かい、
「裕司君!朝御飯はもう食べて来た!?(違う内容を俺に問うたかも知れない)」
と前奏を押し退(の)け、礼拝堂の隅々にまで通る様(よう)な声を以て問うて来た。俺は「こんな時に、こんなシチュエーションで、んな事訊くかよ…」とか思いながら、
「あ…はい…」
と、ごく不愛想気味に、恩人に応えた。
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架空の人道(みち)から小宙(そら)が現れ、未知の人体(からだ)を相撲に与(あず)けた孤独の凌駕に解体する内、白亜(しろ)く並べる独理(ドグマ)の無形(かたち)は無為に按じる独創(こごと)を置き去り、暗黙(やみ)の許容(なか)へと自由を究(もと)める過去の恨みが相乗(そうじょう)された…。幻覚(ゆめ)と現行(いま)との虚空の列(ならび)は〝人の無実〟を無言に象り、無彩(むさい)と彩色(いろ)との個録(ころく)の行方は未知に息衝く運命とも識(し)る…。白亜(しろ)く成り立つ無根の塞ぎは堂々巡りの不悶(ふもん)に基づき、無垢に色付く孤独の謳歌を未来(さき)に片付く初歩(いろは)に添え得る…。一人(ひと)の活気を精神(こころ)に堕とし、一人(ひと)の活力(ちから)と個録(ころく)の行方は過去(むかし)に色付く無彩(むさい)に空転(ころ)がり、過去(かこ)と未(いま)との宙(そら)の行方は個々の初歩(いろは)を独断して生く…。白亜(しろ)く成り立つ不倖の具体(からだ)は大宙(そら)に彩る男女(ひと)を想わせ、一人(ひと)に色付く孤独の純度は未知と未(いま)との連流(ながれ)に留(とど)まり、過去に基づく個録(ころく)の現行(いま)では「行方知れずの活命(いのち)」を識(し)った…。温味(ぬくみ)に求める女性(おんな)の初歩(いろは)は宙(そら)と人間(ひと)との活力(ちから)を織り成し、現行(いま)に落ち着く人間力(ちから)の空転(まろみ)は不安と人形(かたち)を創造して活き、男性(おとこ)と女性(おんな)の「行方知れず」は不装(ふそう)の自主(あるじ)と孤録(ころく)を保(も)った…。過去(むかし)の歯車(くるま)を人の身に置き、白亜(しろ)く始まる無空(むくう)の虚飾(かざり)に一人(ひと)の栄華は飛び乗り始めた…。自己(おのれ)の無心(こころ)に過去が成り立つ「不倖と現行(いま)との奈落…」に落ち着き、孤独を着かせる不悶(ふもん)の吐息は理不尽成る哉、…幻(ゆめ)に活き尽(き)る偶像(かたち)と成った…。表情(かお)を反(そむ)ける奈落の縁者(えんじゃ)は〝同志〟を募って人道(みち)を与(あず)かり、過去と自体(おのれ)の呼吸を問わずの暗黙(やみ)の浮遊にその実(み)を置きつつ、不明に吟味(あじ)わう感覚(いしき)の横には未知に囁く愚問が成り立ち、幻覚(ゆめ)の感覚(いしき)と意識の連流(ながれ)は過去(かこ)の産物(もの)へとその身を化(か)えた…。一人(ひと)の活力(ちから)に近付く目下(ふもと)は過労を嫌がり寝室(ねむろ)に駆け出し、空調ばかりにその実(み)を咎める未来(さき)の謳歌を伽藍に飾り、人間(ひと)に基づく個録(ころく)の暗黙(やみ)には感覚(いしき)を買えない思想を盛(も)った…。一人(ひと)と自体(おのれ)の呼吸の術(すべ)から悪態吐(づ)き生く伽藍の総理(すべて)は、未順(みじゅん)に落ち込む自主(あるじ)を視(め)にして、人間(ひと)と過録(かろく)の感覚(いしき)の狭間で未知を彩る数奇を欲した…。
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…恩人は何処(どこ)か人を刺す様(よう)な目をして居り(内に秘めた微笑を湛えて居たが)、俺は目覚めてから、眼鏡を外して、俺ももっと人を刺す様(よう)な目を以て恩人を睨んで遣れば良かった、等と少し後悔して居た。そして、母が何時(いつ)も日常に於いて「E教会はなんか違う(悪い意味で)。あそこへはもう行きたくない」等と、E教会の、E教会に集う人達の愚痴を言って居た事を俺は思い出し、「ああ、これやな…」と恩人を見ながら、理由は良く解らなかったが、納得して居た。
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旧(むかし)に列(なら)べた孤独の目下(もと)から不彩(ふさい)に色付く孤独が高まり、暗(やみ)に縮まり過去の個録(ころく)は模倣に静まる宿に等しく、漆黒(くろ)く成り立つ神秘(ふしぎ)の羽根(はね)には暗い千夜(とばり)が貪欲とも成る…。端正(きれい)に安(やす)まる無価値の生憶(きおく)は旧い典型(かたち)と堂々安まり、幻想(ゆめ)の体形(かたち)に列(なら)べる人間(ひと)には不幸と暗黙(やみ)とが喝采して居た…。暗く吃(ども)れる無知の静味(しずみ)は暗(やみ)に生かした物憂さなど識(し)り、明日(あす)と今日(きょう)との個録(ころく)の行方は表面(おもて)だけ観て価値を逃がした…。過去に見付ける人間(ひと)の自主(あるじ)は無彩に幻見(ゆめみ)る乱心(こころ)と同じく、明日(あす)に求める不彩の初歩(いろは)は過去に基づく幻(ゆめ)から成った…。身軽(かる)く纏まる奇妙の栄華は人密(みつ)に絡まる不遇と同じく、不遇の朝陽に未知が降(お)り着く冷たい空転(まろみ)に古く募った…。水が溢れる独創(こごと)の演助(えんじょ)は古い体形(かたち)に往来だけ採り、未彩(みさい)に基づく無垢の体形(かたち)に魅惑を屈(こご)める初歩(いろは)を識(し)った…。白亜(しろ)い幻覚(ゆめ)から不遇が降り立ち、翌朝(あさ)に片付く向日の身欲(よく)には一人(ひと)と体形(かたち)の怒りに苛め、自己(おのれ)の無垢から乱心(こころ)が成り立ち、翌夜(よる)に近付く不通の通利(とおり)は不幸と罪との派生を折った…。無秩序から成る自体(おのれ)の暗(やみ)には〝生きる小声(こごえ)〟を身欲(よく)に見出し、一人(ひと)と現行(いま)との足元から観た過去の幻覚(ゆめ)への勢いなど観た…。低い朝陽に抑揚だけ問う未知と未(いま)との人見(ひとみ)を愛し、過去に息衝く不悶(ふもん)の自主(あるじ)は身許(もと)を正せぬ未来(さき)を信じて、人間(ひと)に渡れぬ孤独の栄華は無垢を愛せる不能を盛(も)った…。白亜(しろ)く成り立つ不在の形(なり)には暗(やみ)に飛び込む男・女(だんじょ)を説き伏せ、身欲(よく)を屈(こご)める白亜(しろ)い人形(かたち)は人間(ひと)の惨さを象り出した…。孤高の暗黙(やみ)から生憶(きおく)が読み取る不幸の哀れは美彩(びさい)に基づき、昼と夜との逆転だけ買う紺(あお)い感覚(いしき)の紅(あか)さを保(も)った…。人間(ひと)の型(かたち)を具像(ぐぞう)に追い駆け、暗黙(やみ)に基づく独創(こごと)に訴え、低い小声(こえ)から美辞を幻見(ゆめみ)る旧来独語(むかしがたり)の怖さに震え、一人(ひと)の未知から器用が織り成す不装(ふそう)の故縁(えにし)に留(とど)まり出せた…。未信に色付く不遇の狂気は無垢の千夜(とばり)に彩色(いろ)など操り、分厚(あつ)い景色の持論は現行(いま)でも身欲(よく)に成り立つ不幸と換われる…。未知に息衝く孤独の暗(やみ)から生気に彩る不敗に降(お)り立ち、如何(どう)でも果楽(からく)に息衝き始める未憶(みおく)の自活(かて)には無様(むよう)と過去との実際が在る…。白亜(しろ)く成り立つ不彩の折りには小宙(そら)に基づく乱心(こころ)と同じで、器用に愛せる無垢の精神(こころ)は旧来(むかしから)得た温(ぬく)もりだけ観て、白亜(しろ)く空転(ころ)がる不敗と現行(いま)との無心に成り立つ気色と成った…。白亜(しろ)く蔓延る人間(ひと)の栄華は神秘(ふしぎ)と凝(こご)りが恐ろしくも成り、分厚(あつ)い人壁(かべ)から活命(いのち)が透れる暗(やみ)の導(しるべ)は素通りして生く…。自己(おのれ)の行方は暗黙(やみ)を安転(ころ)がり、未知に基づく乱心(こころ)と同じく、過去(むかし)に色付く旧(ふる)びた案山子に身欲(よく)と初歩(いろは)の道化を識(し)った…。
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…人のプライベートを、礼拝の内容に土足で上がって激しく突っ込み、礼拝の内容を人間の物にする彼等の内実が在る、と俺は思って居た。目覚めた後(あと)に、餌を懸命に食べて居た白兵衛を、俺は愛おしく思って居た。
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…幻想(ゆめ)の孤独に未覚(みかく)が具わり、情事(こと)の生憶(きおく)に無難が咲くのは、暗黙(やみ)の形象(かたち)が悪夢に準(なぞら)う旧(むかし)の木霊と概(お)きく異なり、人間(ひと)の生気に身悶えして生く寝室(ねむろ)の自主(あるじ)は過去を跳び出た…。明日(あす)に見込む気持ちの揺らぎは未信の魔の手に陰府(よみ)を裏切り、虚空の一人(ひと)から逆行(もどり)が気に成り、白亜(しろ)く辿れる無心の柔身(やわみ)は広く流行(なが)れる過去を置き去り、信じる人形(かたち)に精神(こころ)の向きには広く展(ひろ)がる暗黙(やみ)を握った…。脚色(いろ)を積み込む無心の一人(ひとり)は不解に基づく小敗地(アジト)を齧り、低い感覚(いしき)と乱心(こころ)の広さは旧い体形(かたち)に明日(あす)を退(しりぞ)け、一人(ひと)の像(かたち)を無心に軟(やわ)める魅力の概(おお)さを注(つ)ぎ込み始めた…。非道(ひど)い感覚(いしき)の世毎(よごと)と未(いま)とは「明日(あす)の人形(かたち)」を好(よ)く好(よ)く噛み締め、一人(ひと)の感覚(いしき)に未完(みじゅく)が象る暗黙(やみ)の土から翻(かえ)って入(い)った…。明日(あす)に息衝く独創(こごと)の柔裸(やわら)は過去(むかし)の人間(ひと)への葦美(あしび)を迷わせ、一人(ひと)を迷わす小言の演戯は規矩の内実(なかみ)を混迷させた…。生憶(きおく)に基づく乱心(こころ)の旧巣(ふるす)は一人(ひと)の形象(かたち)と時間を催し、暗(くろ)い経過は両親(おや)を訪ねる不穏と現行(いま)との生準(きじゅん)を戻した…。陰夜(よる)の不敵に白亜(しろ)く流行(なが)れる夢想(ゆめ)の初歩(いろは)と孤独は焼噛(やっか)み、未知に基づく精神(こころ)の何処(どこ)かで未来(さき)に転じる淡さを彩り、暗(やみ)と現行(いま)との無機の孤独に不敗が準ずる人形(かたち)と成った…。無機に彩る不幸の退屈(ひま)には過去に息衝く孤独が悩み、脚色(いろ)に悩める不本(ふほん)の価値には向日と逆行(もどり)が輝き始めた…。無垢に片付く不安は不幸と明日(あす)との形象(かたち)を想わせ、低い位置での脆さに彩(と)るのは「不安に疾走(はし)れぬ独我(どくが)」を愛した…。精神(こころ)を彩る不幸の相図(あいず)は一人(ひと)の体躯と明日(あす)に羽ばたき、無心に片付く純心(こころ)を置き去り、不当の自主(あるじ)を寝室(ねむろ)に隠せる旧い生跡(あと)への無想と成った…。無垢の一形(かたち)に不毛が息衝く孤録(ころく)と未(いま)との暗(やみ)に与(あず)かり、無知に拡がる孤独の内身(なかみ)は不穏と羽ばたく仮想を識(し)った…。不安に傾く不解と幸(こう)とは幻(ゆめ)の安積(あづみ)に無駄を追い駆け、非道(ひど)い過去から未解を安(やす)める惨い人形(かたち)を感覚(いしき)に遣った…。一人(ひと)の淡さを無知に発(た)たせて不都合から成る暗(やみ)と現行(いま)とは、翌朝(あさ)に流行(なが)せる過去の欲には現行(いま)を認(みと)める孤独と合せ、不安に基づく一人(ひと)の暗(やみ)には欲に奏でる未来(さき)を齧った…。精神(こころ)に基づく不遇の暗黙(やみ)の生義(せいぎ)は不安と列(なら)べる惨さを感じ、一人(ひと)に頼れる不敗の自然(あるじ)は無知に固める不審に吃(ども)り、白亜(しろ)く悩める不幸と合図は思芯(ししん)を肥やせる愚昧を飼った…。
*
…不安…不安…、不能…、不能…不能…、未知に息衝く人像(かたち)の内実(なかみ)は不幸を軟める個録(ころく)を彩(と)った…。
*
小宙(そら)に架かれる独理(ドグマ)の蜃気は、無知に列(なら)べる呼吸と同じく、人間(ひと)の文殊と古豪の理郷(さと)へと無難を報され縁者を採った…。身欲(よく)の流行(ながれ)を無心に報され、一人(ひと)の右翼と呼吸を異(い)にして、過保護に懐ける自由の会には身欲(よく)を高める神秘(ふしぎ)を描(か)いた…。人間(ひと)に落ち込む過去の生義(せいぎ)が自主(あるじ)を通して寝付きを信じ、幻(ゆめ)の樞(ひみつ)を無為に懐ける小言と自主(あるじ)の吐息を詠む内、神秘(ふしぎ)の初歩(いろは)は無垢を先取る長寿の躰を宜しく射った…。自体(おのれ)の無垢から醍醐味だけ観て、幻覚(ゆめ)の社(やしろ)にその身を賭す頃、一人(ひと)に懐ける旧(むかし)の哀れは広い空間(すきま)にその視(め)んを逆行(もど)らせ、不安と現行(いま)とが破格を失う陰府(よみ)の生義(せいぎ)に隔離を識(し)った…。過去の繁みを凍えた美体(からだ)で不装(ふそう)に色付く波紋と観た時、深い気色に身悶えして生く虚空の憂慮と神々しい儘、塞いだ心は未来(さき)を阿る無機の心理と相乗され得た…。過去の吐息と無鈍(むどん)の気色は徘徊して生く走馬(そうま)を得ながら、醜い明日(あす)から活気を削ぎ生く深い未完(みじゅく)をその眼(め)に飼った…。不当の感覚(いしき)を小声の幻夢(ゆめ)には朝の吐息が小宙(そら)を仰いで、暗黙(やみ)に活き得る〝人間(ひと)との繁味(しげみ)〟に過去を観たまま素通りして生く…。人間(ひと)の体裁(かたち)を常識(かたち)に準え、運(うん)と総理(すべて)が文言(ことば)を保(も)つ内、孤独の限度と凝(こご)りの総理(すべて)は身欲(よく)の許容(うち)から独理(ドグマ)を識(し)った…。自己(おのれ)の翌朝(あさ)から未覚(みかく)を呼ぶのは、一人(ひと)の感覚(いしき)に通底して活き、旧い独創(こごと)の夜半(よわ)の人から隔離に憶えた木霊を愛し、人間(ひと)の生気と目下(ふもと)の幻覚(ゆめ)には未知に名付ける脆味(よわみ)を識(し)った…。幻覚(ゆめ)の佳日に身悶えするうち気楼と長者の不満は現行(いま)でも、一人(ひと)の小敗地(アジト)に運好(うんよ)く眺める未解(みかい)の景色と同情しながら、語り手さえ無い不和の活命(いのち)を夜毎に倣える交流(ながれ)を識(し)った…。幻覚(ゆめ)の体裁(かたち)に身重を識(し)る内「不憫を象る無意識」だけ観て、明日(あす)の目下(ふもと)を感覚(いしき)に倣える無言の佳日と美識(びしき)を詠み取り、不遇の生気を未解へ閉ざせる故意と恋慕の相乗を観た…。幻想(ゆめ)の佳日を目下(もと)に観て居る不明に導く人形(かたち)は未(いま)でも、安い盛(さか)りに身悶えして生く人物(もの)と動物(もの)との効果を見守り明日(あす)の温味(ぬくみ)に活発だけ飼う身欲(よく)の信義(しんぎ)を不毛に置いた…。白亜(しろ)く哀しむ愛犬(いぬ)への生果は、意味を着飾り惨さを仕留める無痛の賛美にその眼(め)を宿し、舵を操る不本の活き血を夜宙(そら)に根絶やし過去を苛み、朗(あか)るい香女(かじょ)から無心を見守る不幸の空間(すきま)は改竄され得た…。明日(あす)に蔓延る柔身(やわみ)の畝(うねり)は、幻覚(ゆめ)の雫に華(あせ)を忍ばせ、旧い人壁(かべ)から小声を費やす自己(おのれ)の未完(みじゅく)に敏感だった…。貌(かお)に忍ばす不等の自主(あるじ)は一声(こえ)に懐かす不穏を置き去り、明日(あす)の文言(ことば)を未完(みじゅく)に流行(なが)せる不安と現行(いま)とが美声(こえ)を揃えて、常緑(みどり)豊かな小宙(そら)の目下(した)では初夏(なつ)の日照りがmonkを打った…。幻想(ゆめ)の無実に自己(おのれ)が羽ばたき、無垢と歌謡の独理(ドグマ)を統(たば)ねて、一人(ひと)の暗(やみ)から八性(おろち)を手招く未想(みそう)の信途(しんと)は裏切りだけ保(も)ち、小声で遊女を幻覚(ゆめ)に誘(さそ)える無想の律儀を飾って在った…。自体(おのれ)の感覚(いしき)を過去と現行(いま)とに軟く発(た)たせて無常を識(し)らされ、人間(ひと)の善さから惨さを合せる気楼と暗黙(やみ)との枕を揺らして、愛犬(あいぼう)だけ観る恵みと活命(いのち)は陰府(よみ)の神秘(ふしぎ)を囲って在った…。無意識から成る人間(ひと)の内輪(うちわ)に暗黙(やみ)の静味(しずみ)と現行(いま)とが織り成せ、朗(あか)るい明日(あす)から個録(ころく)を殺める夢想と進理(しんり)の具合を買った…。自己(おのれ)の生絆(きずな)を八性(おろち)に数える未来(さき)の夜半(よわ)には残骸(むくろ)が先立ち、低い小宙(そら)から故縁(えにし)が飾れる雪の弾みに人形(かたち)が織り成せ、一人(ひと)の無垢から行李が成り立つ浅い人形(かたち)の快無(オルガ)と成った…。一人(ひと)の児(こども)は佳日を馴らせる幻(ゆめ)の淡みと小声を着せ替え、愛する事への素直を欲しがる自活(かて)と素顔を充分感じ、意味を寄せない小宙(そら)の両眼(まなこ)は無重を懐かす独気(オーラ)を識(し)った…。不変の自然(あるじ)と呼吸の無垢には活命(いのち)が宿れる絶対が発(た)ち、過去に懐いた無刻(むこく)の空間(あいだ)は哀しむ間も無く栄者(えいじゃ)を尊(たっと)び、安い旧巣(ふるす)へ生憶(きおく)を留(とど)める大宙(そら)の身元へ巣立って行った…。自己(おのれ)の無知と今日(きょう)の行方は、身悶えするうち透って往った…。
~白兵衛(しろべえ)の生憶(きおく)~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji
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