3章 夜からの救助

3-0 プロローグ

「……あのさ〜、見捨てたあたしが言うのも筋違いだけど〜、……ヒイロは勇者パーティーに戻ってくる気はないの〜?」


 大魔道メイジメイメイが言いにくそうに俺に言った。恐らく、彼女も昔のことを思い出していたのだろう。


「パラディナも言ってたよ〜。ヒイロはあたし達に必要なメンバーだって」

「それは買いかぶりすぎだよ。そもそも、俺だけ上位職じゃないしさ」

「そうじゃなくてさ〜。シンなら分かるでしょ〜? ヒイロにはブレイブとは違ったカリスマがあるって言うかさ〜?」


 無意識に返した言葉は、我ながらひねくれていたと思う。俺が謝る前に、メイメイがもどかしそうに暗殺者アサシンシンに助けを求めた。


「ヒイロ、お前の魅力はレベルじゃない。今みたいに、俺達がやりたいことをわかってくれて、1番欲しいサポートをくれるところだ……と、パラディナが言っていたぞ」

「と、シンも思ってるぞ〜!」

「違う! 今のはパラディナが言っていたことだ!」


 シンが吠えると、メイメイは満足そうに頷いた。これだけの実力者2人にそんなふうに思って貰えるなんて、冒険者冥利に尽きるというものだ。何より、俺のやり方が憎きブレイブと違うことを、仲間が評価してくれていたことが素直に嬉しい。


 しかし、俺は勇者パーティーに戻る気はなかった。以前ウィズにも似たようなことを聞かれたが、俺はもう勇者パーティーのヒイロじゃない。救助隊のヒイロなのだ。


「すまない。今の俺にはやりたいことがあるから」

「……そっか〜。じゃあ仕方ないか〜」


 俺は迷わなかった。しかし、せっかくの誘いを断ることには申し訳なさを感じた。メイメイは俺の返事を聞いて、カラカラと笑った。それを聞いていたシンは、静かに腕を組んで目を閉じた。



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