2章 森からの救助

2-0 プロローグ

「水が……食料が全く無いです!」

「な、なんだって?!」


 俺はウィズのもとに駆け寄り、一緒にアイテム袋の中を確認した。彼女の言うことは本当だった。袋の中から水と食料がすっかり抜き取られてたのである。


「最後に確認したのは、焚き火で休んでいた時か。その後は、俺もウィズも食料に触れていないぞ」

「……いいえ、ヒイロ様。私達の他に食料に触れた者達がいます」


 ウィズが少し考えた後、ハッと気づいて俺にそう言う。そこで俺もようやく気づいた。俺達の他に食料に触れたのは……。


「んん? 急にウチらを見て、どないしたん?」

「そうだぜ。まるで盗人扱いじゃねぇか」


 そう、弓使いレンジと行商人マチェッタだ。

 

「言うたやろ、索敵スキルを提供する代わりに、食料と水をちょーーーっとだけ分けてもらうって」

「だからって、遭難者用の水にまで手を付けるなんて!」

「うるさい小娘やなぁ。知らずに貰ってしもたわぁ。……せやから、お詫びに商売させてや」


 マチェッタはあろうことか、舌を出しながら俺たちに新たな提案をする。そこで俺は、救助者が……彼らのような冒険者がハイエナと軽蔑される所以を知ることになる。


「ここにアンタらの……今はウチらの水がたっぷりある。コップ1杯につき……銀貨1枚や」



 *

 



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