第4章 風の吹く場所

第38話 追放!

しき君さあ、……お前もう駄目よ……菅原君の教え子や言うから雇ってみれば、てんでな~んもせえへんし……討伐中に何かナンパしてるし……そないな事するような奴さすがにうちじゃ面倒見切れんわ……あんま強ないし……」

「セヤロカトッツァ~ン。ワシャ最強ノ討伐者ノ教エ子ヤデー」

「なんやその関西弁は! 何処方面の関西弁やバカタレ!」

「いやいやいや……ほんとね? あんたの使い方がいけねぇんですよ。俺、第六段階到達者なのに、俺【志那都比古神しなつひこのかみ】の能力者なのに、あんたいつも俺に重装備させるんだからなあ。パーティの代表なのに部下の使い方なってねんだよなあ。人ってそれぞれ土俵があるだろ? 俺の土俵は裸一貫……はさすがに恥ずかしいので、さすがにズボンは穿かせてもらうとして、俺はね、この身で風を感じないといけないんだなあ……いやはや参った参った。頭の悪い代表を持つと部下は苦労するねぇ」

「出ていけ」


 追い出されてしまった。

 ふーむ、なにがいけなかったろうね。やっぱり俺がボンキュッボンの美少女じゃなかったのがいけなかったろうか。それにしたってあのクソエセ関西弁だよ。広島生まれ大阪育ちの癖にまだちょっと関西弁おかしいんだからな。あのやろう。


「敷さん!」

「お! 研修生くんじゃないの~。悪いね~クビになっちまいましたわ」

「それはまぁ、いい気味ですね。ざまあみろってもんですが……」


 ざまあみろってもんですが……?

 さて! こいつは研修生くん。討伐者育成学校「滝見学校」の3年生。まぁつまり、俺の後輩という事になる。名前は覚えてない。野郎の名前って覚えるの面倒でさあ。


「君にチンコさえなきゃ覚える気はあったんだがなあ」

「人生からも追放されちまえばいいのにこんなクソ人間」

「君はなあ、面だけは女の子なんだからなあ……ケツもいい加減だからなあ」

「触るなア! 本当に死なすぞ!」

「できない癖に」

「力だけは僕の方が上なのに……!」

「ヒョロガリに負ける程度のパワー」

「死なすぞォ!」


 こーんな調子の研修生くん。面白さと優しさと正義を兼ね備えたさすがの俺もため息をつかざるを得ないってもんだね。


「全く最近の後輩連中は『死なすぞ』だの『殺すぞ』だの『張っ倒すぞ』だの『地獄に叩き落とすぞ』だの俺のことなんだと思ってんだろうね。悲しいよ、先輩は。スガティーがそんなこと教える訳ねーからな。どうせ悪い先輩の影響だろうな。誰だろうな……雪のカス野郎か?」

「おーおー察しがいいな。20点やるよ。悪い先輩が自分だって気づけたらプラス80点やるよボケナス」


 口の悪い後輩だよ。


「まぁいいや。とりあえず俺今日でバイバイだから。明日からちゃんと俺経由しないで先輩たちに馴染むんだぜ」

「あんたなんか必要ないとおもいますよ」

「討伐者ってのは三大欲求全部ギンギンだからねぇ、君のその女似のツラで襲われないとも限らないからなあ。ま、頑張り給え。結婚式には呼べよ~。多重婚はできねーからひとりに絞れよ」

「お前まともな死に方出来ると思うなよ!」

「ハッハッハ! まともな死に方なんて最初から期待してねーよ!」


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