第8話 予想外の訪問者

ある日の夜、仕事を終えてリラックスしていると、インターホンが鳴った。訪問者を確認すると、驚くべきことに梨花が立っていた。


「梨花さん、どうしたんですか?こんな時間に。」


「突然ごめんなさい、翔さん。でも、どうしても話したいことがあって。」


僕はドアを開けて彼女を迎え入れた。彼女の顔には少し不安が浮かんでいるようだった。


「どうぞ、入ってください。何か飲みますか?」


「ありがとう。お茶をいただけますか?」


僕はキッチンでお茶を淹れながら、梨花の様子を伺った。彼女はソファに座り、落ち着かない様子で手を握りしめていた。


「どうぞ、お茶です。」


「ありがとうございます、翔さん。」梨花は一口飲んで、少しリラックスした様子を見せた。


「何かあったんですか?」


「実は、最近仕事でトラブルがあって、心が折れそうになっているんです。」


「そうだったんですね。何があったんですか?」


「同僚との関係がうまくいかなくて、それがストレスになっていて。翔さんに話を聞いてほしかったんです。」


僕は彼女の隣に座り、真剣に話を聞いた。梨花の悩みは深刻で、彼女の気持ちに寄り添うことが大切だと感じた。


「それは大変ですね。でも、梨花さんが頑張っているのは知っています。何か手伝えることがあれば言ってください。」


「翔さん、本当にありがとう。あなたに話すと、少し楽になれます。」


梨花が涙を浮かべながら感謝の言葉を口にした。その姿を見て、僕は彼女を抱きしめたくなる衝動に駆られたが、慎重に彼女の手を握るにとどめた。


「大丈夫ですよ、梨花さん。いつでも話に乗りますから。」


「本当にありがとう、翔さん。」


しばらくの間、僕たちは静かに座っていた。梨花が少しずつ落ち着きを取り戻すのを感じて、僕も安心した。


「もうこんな時間ですね。帰りが遅くなると心配されますよ。」


「そうですね。遅くまでお邪魔してごめんなさい。」


「いつでも来てくださいね。僕も梨花さんの話を聞くのが好きですから。」


梨花は微笑みながら立ち上がった。「ありがとうございます、翔さん。本当に救われました。」


僕は彼女を玄関まで送り出し、彼女が無事に帰るのを見届けた。梨花との関係がますます深まっていることを感じ、彼女のことをもっと支えたいと思った。


数日後、涼からLINEが届いた。


「翔、元気か?久しぶりに飲みに行かないか?」


「元気だよ、涼。いいね、久しぶりに会おう。」


「じゃあ、明日の夜8時にいつものバーで。」


約束の夜、僕は涼と会うためにバーに向かった。店内に入ると、涼はすでにカウンターでビールを片手に待っていた。


「翔、久しぶり!」涼が大きな声で迎えてくれた。


「久しぶり、涼。元気そうだね。」


「もちろんさ。最近どうしてる?」


「仕事が忙しくて大変だけど、充実してるよ。涼はどう?」


「俺も仕事が忙しいけど、楽しいよ。ところで、最近何か面白いことあったか?」


僕は最近の出来事を涼に話した。梨花や彩花、結衣との出会いや、未来とのコンテスト準備の話をすると、涼は興味津々に聞いていた。


「それにしても、翔はモテるなあ。俺も見習わないと。」


「そんなことないよ。でも、色々な出会いがあって楽しいよ。」


「それが一番大事だよ。楽しんで生きることがね。」


僕たちはお互いの近況を語り合いながら、楽しい時間を過ごした。涼との再会は、僕にとって心のリフレッシュとなり、再び頑張る力を与えてくれた。


数週間後、未来とのデザインコンテストの当日がやってきた。僕たちは準備万端で会場に向かい、コンテストに挑んだ。


「翔、今日は頑張ろうね。」


「もちろん。未来と一緒なら、どんな結果でも悔いはないよ。」


会場には多くのデザイナーたちが集まり、緊張感が漂っていた。僕たちは自信を持って作品を展示し、審査員たちの評価を待った。


結果発表の時、僕たちの作品が高く評価され、見事に入賞を果たした。


「やったね、翔!」未来が喜びながら言った。


「本当に良かった。未来のおかげだよ。」


「いや、翔のおかげだよ。お互いに頑張った結果だね。」


僕たちは喜びを分かち合いながら、これからも一緒にデザインの道を歩んでいくことを誓った。新たな挑戦と出会いが、僕の生活をさらに豊かにしてくれていた。


次のステップに向けて、僕はさらに前進していくことを決意した。これからどんな展開が待っているのか、楽しみだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る