第41話 女子高生、大ブレイクする。
「はい、ワンコちゃん! 目線ちょうだい!!」
「は、はい!!」
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!!
わたしは、今、撮影スタジオにいる。
普段は絶対に着ないような流行りの服を何度も何度も着替えて、カメラマンの前で着せ替え人形になっている。
「ほら、リラックスリラックス!」
一緒にカメラに撮られているのは、JKのカリスマ、大人気ダンジョン探索者の
増えるといえば、我が犬飼道場の門下生も、雪だるまのようにふくらんだ。
おじいちゃんが、ダンジョン配信で、バッチリ住所をネタバレしたもんだから、自宅に同乗入門希望者が殺到したのだ。
その後も、あたしがテレビ局からじぃちゃんとの稽古を様子を撮影されたり、おじぃちゃんが門下生募集のアピールをしていたら、あっという間に門下生が200人にまで膨らんだ。
今ではもう、おじぃちゃんだけでは門下生を捌けないから、免許皆伝のわたしも師範代として参加するようになったんだけれど、門下生はまだまだ増えていく勢いだ。(おじぃちゃんは、昔の弟子たちに頭を下げて、師範代を引き受けてもらえないか連絡をとりまくっている)
「はい! オッケーです。本日の撮影終了しまーす!! おつかれさまでしたー!!
「ありがとうございます!!」
「あ、ありがとござまふ……」
わたしとロカちゃんは、スタッフから花束をいただいてスタジオを後にする。
「おつかれ! ワンコ!! ロカさんも!!!」
「おつかれ」
六花は、すぐさま、わたしが持っているオレンジ色の花束を受け取る。それを見て、
「ありがとう、
「あ、ありがと……」
ロカちゃんの言葉にわたしも続くと、
「どういたしまして!!」
「いやぁ
「ええ? 本当ですかぁ?」
「ああ。マネージャーの鏡だよ!!」
「やったあ、プロのマネージャーにお墨付きもらっちゃった♪」
満面の笑みの
あの動画のあと『JKエクスプローラー』のチャンネル登録者数は、爆発的にアップした。でも、インタビューをされたり、こうやってモデルの仕事が来るのはわたしだけで、
内心、どう思っているんだろう。
「あ、そうだ!」
ロカちゃんは、自分の楽屋の前にくると、人差し指を立てながら提案をだしてくる。
「今日はこのあとアタシもオフだから送っていくよ!!」
「わぁ! ロカさん、ありがとうございます!!」
「あ、ありがとうございます……」
素早く返事をする
「じゃあ決まりね、30分くらいしたらふたりの楽屋に行くから!! 私服に着替えといて!」
「そんな! アタシたちが行きますよ!!」
ロカさんの申し出に
「そう? じゃあお願いね♪」
「突然で悪いな。じゃあ、30分後に」
「おつかれさまでした!」
「おつかれさまでした!」
わたしたちは、ロカさんと
「改めておつかれ。ワンコ!」
「はぁ……。さすがにちょっと疲れちゃった」
服を脱いで身軽になると、わたしは一気に緊張から解放される。
「こんな高い服、着たことないからさ。似合ってないし」
「そんなことないよ! ワンコ、めちゃくちゃ似合ってたよ!!」
「そう? わたしみたいなちんちくりんより、
「アタシも着たいのはヤマヤマだけど、何の取り柄もないアタシには、雑誌に載る資格なんてないからさ……」
しまった! 生来の目立ちたがり屋の
る今の状態が面白くないに決まってる。
そもそも、ダンジョン配信の企画を考えたのは
「あのさ、
「もちろん、これからも毎日配信を続けるよ!! せっかくチャンネル登録者数10万人超えて配信会社から表彰してもらったんだもん!
ワンコは今までどおり、伸びる剣でザシュとモンスターを倒す!! それをわたしが、カッコカワイく撮影する!!」
「……それでいいの? なんだかわたしばっかり目立っちゃって」
「何言ってんの! 視聴者は、ワンコの可愛らしさを求めてるんだよ!! 視聴者のリクエストに素早く対応するのが、配信チャンネルの強みなんだからさ!!」
「そう……」
わたしはそのまま口籠る。
(
口にしてしまったら、今みたいな関係に、二度と戻れなくなってしまいそうだから。
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