第40話 幕間撃
時刻は深夜2時。
都心の一等地にある、とあるビルの最上階の家のLDKに、こうこうと明かりが灯っていた。
コトン
背中からハーブティーが置かれる。
それに気がついた
「ありがとう、
「構わん、目が覚めたからだけだから。俺の方こそ、なんの手伝いもできず悪いな」
「あなたは、
「あいつらを寝かせしつけるには、自分も一緒に寝ちまうのが一番だ。真っ暗な部屋で静かに横になってれば、いやでも眠たくなる」
「
夫婦の会話をすまわると、
「おいしい」
「そりゃそうだ。ササメ、お前が調合したハーブティーなんだ。不味いわけがない」
「そう言う意味じゃないのよ。
「? なんだそりゃ。それより、
「それなんだけど……ひとりだけ、同じ特徴と持つと思われる人物がいたわ。この人なんだけれど」
年齢は10代中頃だろうか? 流行りを大きく外れた髪型が、昔の写真であることを物語る。
「
「神社の娘……まさか!!」
「そう、17年前、別府市の鶴見岳に巣食っていた、脈流に捧げられる予定だった贄の巫女よ。悪い予感がしたから、
「
「ええ。
「てことは、彼女は……」
「ええ。彼女の生命は脈流に捧げられる運命よ。20歳まで生きることはできないでしょう」
「なんとか……ならないのか?」
「わたしだってなんとかしたいわよ! ただ、探索庁が黙っていない。九州大震災の再来は、絶対に阻止したいでしょうから」
「………………」
「………………」
♪ おでこに宝石カーバンクル わんわんわんわんケルベロス ふわふわおさるはひひいろひひ みんなでこようよカーバンクルランド♪
重苦しい雰囲気を、能天気な子供向けの曲が台無しにする。幼児向け番組の『カーバンクルランドのテーマ曲』だ。
「
「すまないな。少々、急ぎのようなんだ」
つまり、
「悪いが田戸蔵、通話をスピーカーモードにしてくれないか? 用事があるのは君ではなく、ササメくんの方だからね」
「用意できたぞ
『ありがとう
「
口調は丁寧だが、
『悲しいね、ずいぶんと嫌われているものだ。まあ、いい。今日電話したのは他でもない、君が調査をすすめている、
「
『知っているも何も、我々探索庁のデータベースにアクセスしたのは君たちだろう?』
「そうね。ダンジョン、およびシェールストーンの調査を、探索庁に知られることなく行うのは不可能ね」
『そういうことだ。僕には優秀な秘書がいてね。知りたい情報は全て瞬時に取り寄せてくれる。っと、話が逸れてしまったな。あまり歓迎されていないようだし、早いところ要件を済ませて電話を切ることにするよ』
「ああ! そうしてくれ!!」
「では、話さしてもらうよ」
『阿蘇山で眠っている、
「なん……だと!?」
『本当だ。つまり
「ササメが?」
『そう言うことだ。悪いがササメくん。よろしくやっておいてくれたまえ』
ツーツーツー
「切りやがった! なんだんだアイツ??」
話の読めない
「たぶんだけど……
「本当か??」
「ええ。でも理由は、わたしたちとはちょっとだけ異なるはずよ。
「退治!? 本気か!? 脈流は体長10キロは有に超える化け物だぞ!! 人類がどうこうできる存在じゃない!!」
「そう、でもそれはあくまで正攻法ではって話。
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