第18話 女子高生、憧れの人に会う。

 キーンコーンカーンコーン……


 わたしは、下校をしらせるチャイムが鳴ると同時にスマホを確認する。


「ワンコ、ササメさんって人から連絡きた??」


 六花りっかがわたしのスマホをのぞき込む。


「うん、授業中にチャットがとどいてたみたい。家に来て欲しいらしいから、迎えの人がうちの学校の校門まで来てくれるって」

「ふーん、そうなんだ。田戸蔵たどくらくんって人が迎えに来てくれるのかな?」

「多分、そうだと思う」

「そっか、あんまり待たせるのも悪いし、早いとこ校門に行こっか」


 六花りっかの提案にうなずくと、わたしたちはリュックを背負って校門にむかう。


 あれ? なんだろう? 校門に、生徒たちの人だかりができている。


「あたし、大ファンです!」

「一緒に写真とってください!!」

「キャー! 握手してもらっちゃった!!!」


 生徒たちが黄色い声をあげまくっている。


「およ? だれだれ? 有名人とかかな??」


 六花りっかは興味津々で、生徒たちをかき分けていく。まったく……六花りっかってば本当にミーハーなんだから。


「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 六花りっかの一際大きな黄色い声が校内にひびきわたる。


露花つゆはなロカちゃんだぁ!! アタシ大ファンなんです!!

 握手してください! サインください!! 一緒に写真撮ってください!!」


 ええええ!? ロカちゃんがウチの学校に?? なんで???

 わたしは人混みをかきわけて、大慌てで六花りっかの声が響く元へ行く。


 そこには、全てのティーンの憧れ、大人気ダンジョン配信者、露花つゆはなロカちゃんがいた。


 ロカちゃんはオーバーサイズにロンTにショートパンツと、とってもカジュアルな格好で、いつもはサイドテールにしている白い髪を降ろしている。

 カワイイ! 可愛過ぎる!! 実物の破壊力ってとんでも無い!!


 きゃ! 目があっちゃった!! ロカちゃんがこっちを見てる!! 

 幸せすぎる!!


 え? え?? ロカちゃんがこっちに来る!! なんで? なんで??


「あなたが、犬飼いぬかい一子かずこちゃんね? ササメさんから依頼を受けて、迎えに来たの」


 え? え?? えええええ!?


 青天せいてん霹靂へきれきとはこのことだ。わたしは雷に打たれたみたいに、憧れの人のまえでフリーズしてしまった。

 

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