第2話 転校生
次の日は学校をお休みして、その後連休をむかえた。
おとうさんとおかあさんもお仕事をお休みにしてくれて、いっぱいいっぱい慰めてくれた。こわかったなぁ。だけど、泣いていたってしかたがない。
わたしは気分をきりかえて、月よう日に学校にいった。
すると朝、先生が言った。
「転校生を紹介します」
夏野先生がそう言うと、男の子が入ってきた。
あ、っと、わたしは声を出しそうになった。入ってきたのがあおいくんだったからだ。
「相良葵くんだ。相良くん、あいさつを」
「相良葵です。よろしくおねがいします」
あおいくんは、そう言ってぺこりとあたまを下げた。笑ってあいさつをしたわけじゃなくて、なんというのかな、無表情? なのにはくりょくみたいなものがあった。
「せきは、高崎日向さんのとなりのせきに」
先生の言葉に、あおいくんがわたしを見た。なんとなく、ドキリとした。クラスの視線も私に集まっている。恥ずかしくなって、きゅっとわたしはまぶたを閉じた。
そこへあおいくんが歩いてきた。わたしのせきは一番後ろで、これまで窓際のとなりにはちかちゃんが座っていて、ろうかがわの横には誰もいなかった。その空いていたせきに、あおいくんが座った。
「それでは、今日の一時間目はみんなの自己しょう介をしましょう」
夏野先生がそう言ったので、一時間目は自己しょう介の時間になった。前から順番に自己しょう介がはじまって少ししたら、ちかちゃんがわたしにノートのきれはしを渡してきた。
『あおいくん、かっこいいね!』
気持ちはわかる。わたしもそう思う。あおいくんはちょっとだけつり目で猫みたいな形の目をしている。かみの毛の色は真っ黒だ。ととのった顔立ち、というやつだと思う。
クラスのみんながめずらしそうにあおいくんを見てる。あおいくんはやっぱりわらうでもなく、自己しょう介をしている一人一人を見ていた。そうして、わたしが自己しょう介する順番がきた。
「高崎日向です。えっと……好きな動物はねこです。よろしくおねがいします」
本当は助けてくれてありがとうと言おうかとまよったけど、やめておいた。あのじこのこと、とくに子鬼のことはふしぎだから、あとでゆっくりと聞いてみようと思ったから。
転校生は時空けいさつ 水鳴諒 @mizunariryou
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