1 両性人間の時代(6)
初期の混乱を経て、自分が生んだ子供の居る場所などの個人情報は生みの親にすら決して伝えられない法律が制定されました。『子供は国の宝』です。決して個人の所有物ではありません。かつて何気なく使われた「私の子」とか「子供が欲しい」などと言う、子供を個人の所有物のごとく捉えた発言には厳しい視線が注がれました。
だから、エミさんのように自分の子供がどこに居るのかわからないし、年齢も不確かで当然なのです。同様に子供たちは殆ど誰もが親を知りません。今ではそれが普通です。子供たちは全員孤児(この用語は今は使用禁止)です。でもだから皆平等です。いじめも無いです。エミさんたちが生み、国が育てた初期の子供たちの一部が生みの親を知る最後の世代でした。
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