　随分昔に結婚制度は廃止されたので、結婚だけでなく、離婚も離婚裁判も親権の奪い合いも養育費も夫婦別姓もあらゆる揉め事の種がありません。結婚制度だけでなく、そもそも親子関係がありません。ですから家族制度がありません。相続争いも、後継ぎ問題も、知識や技術の伝承、つまり教育の必要も何もありません。個人の他者への負担は小さく、個人個人が皆平等です。

　当然、この頃から子供はどんどん増えました。一方で、医学の進歩により、年齢を重ねても介護の必要な人が激減しました。寝たきりの期間はほぼ無くなりつつあります（健康寿命という語は死語）。一方で子育ての大変さは今も昔も変わりません。結果、どの町にも溢れていた昔の老人用の介護施設の多くが、赤ちゃんや幼児の養育施設に変わっていきました。