第8話
「卒業が楽しみやなぁ」
「なんか、このまま幸せにはなれないような気がする」
「なんでそんなにネガティブなん?」
「今までの人生、うまくいったことが無かったからなぁ」
「体育祭、文化祭、修学旅行、全部凜さんと一緒や、素敵な思い出を作るでー!」
ガチャーン!
ドタドタドタドタ!
“きゃー!”
「なんだろう?」
「なんやろね」
ガラガラガラ!
「見つけたぞ! 凜! 銀閣寺!」
「お前等!」
「なんや、病院送りにした4人組やんか。退院したんか? まだ日本にいたんやな。お前等は退院したら日本から出て行かなアカンで。そうせな、親が悲しむで」
「日本から追い出されてたまるかよ! 外国へ飛ばされる前に逃げて来たんだ!」
「銀閣寺! お前は許せねえ!」
「バット持ったら勝てると思ったんか?」
「うるせー!」
「凜さん、僕の後ろへ。前に出たらアカンで」
「大丈夫なのか?」
「凜さんが後ろに隠れてくれたら大丈夫や」
「わかった!」
「うおー!」
ドス! ドス! ガシャーン!
「うお! こいつ、俺の肩を抜きやがった」
「平気な顔して、肩の関節を外しやがったぜ」
「こいつ、やっぱり半端なく強い。こっちは金属バットを持ってるのに」
「うわあ、肩が! 肩が!」
「きゃあ!」
「そこまでだ! 銀閣寺!」
「すまん! 歌麻呂」
「凜は捕まえたぜ、おい、よくも他の3人をやってくれたな」
「くそ、後1人やったのに。凜さんには手を出すな」
「そうはいかねぇ、この女の顔に消えない傷をつけてやる」
「ナイフはしまえや。刃物を出されたら、僕、本気を出さないといけなくなる」
「うるせーよ!」
「凜さんの顔を傷つけるのはやめろ。代わりに僕の顔を斬り刻めば良い」
「歌麻呂! 私のことはいい」
「よし、先にお前から刻んでやるぜ、銀閣寺!」
「歌麻呂-!」
「へ! どうだ歌麻呂!」
「よし! 捕まえた」
「おい、放せ!」
「アカン、罪には罰が必要や。僕のことはええけど、凜さんを危険な目にあわせたのは許せない」
「うわぁ、お前、俺の肩を!」
「お前等、今回は両腕や」
「うわぁ!」
「歌麻呂!」
「凜さん、もう大丈夫や。こいつらの両肩の関節を外したから。ついでに腹と顔面にに蹴りを入れとくわ。もう、脱走できないように注意するわ」
「歌麻呂、頬に傷が!」
「ああ、たいしたことないで」
「血が出てるじゃないか」
「ああ、病院に行くわ。凜さんも一緒に行こう。凜さんを独りにしたくない」
「ああ、ついていくぞ」
「傷痕、消えないって医者が言ってたじゃないか」
「まあ、ええんとちゃう? 僕は男やし。女性の顔なら大変やけど」
「私のせいで」
「凜さん、泣かんといてや。こんなこと、たいしたことないから」
「私が歌麻呂を不幸にしてしまう」
「僕の1番の不幸は凜さんを失うことや」
「歌麻呂、ごめん」
「ええから、ええから、大丈夫やから。凜さんは悪くない。悪いのは、あの4人や」
「でも、でも……」
「もうすぐ体育祭やなぁ、凜さん、どの競技に出るん?」
「私はサボるよ」
「アカン、思い出づくりや、何でも良いから参加しようや」
「うん……」
「文化祭は何をすることになるんやろうなぁ」
「うん……」
「メイド喫茶がええなぁ」
「馬鹿……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます