第4話

「はい、沙耶さん、瑠衣さん、こっちの背の高い色白茶髪が伊集院疾風、こっちの色黒短髪黒髪が綾小路影丸ですー! 疾風、影丸、白いドレスのロングヘアーが沙耶さん、黒いドレスのショートカットが瑠衣さんやで」

「おお、さすが、歌麻呂が俺達を呼んだだけのこはある。2人とも美人だな。初めまして、疾風です」

「影丸です」

「夕食まで時間があるから自由行動や! 飲み物は好きに飲んでくれたらええから」


「凜さん、どう?」

「どうって?」

「楽しんでる?」

「うーん、私のことはともかく、沙耶と瑠衣が嬉しそうだから良かった」

「凜さんって、自分のことはいつも後回しやな」

「そんなことはないけど」

「施設の子供達に服やゲームを買ってあげたり」

「それは……だって、おもちゃも新品の服も無いんだぞ、誰だって、かわいそうに思うだろう?」

「僕はそんな凜さんが大好きやけどな」

「歌麻呂は、まだ本当の私を知らないから」

「本当の凜さん?」

「うん、本当の私。本当の私は、歌麻呂が思っているような女じゃないよ」

「その内、教えてくれる?」

「はあ?」

「本当の凜さんを教えてくれる?」

「そうだな、その内にな」

「ほな、今日は沙耶さんと瑠衣さんを応援しよか?」

「うん、でも、良い感じじゃないか?」

「そやな、疾風と沙耶さん、影丸と瑠衣さん、良い感じみたいや」


「食事は、疾風と沙耶さん、隣に座るか? 瑠衣さんと影丸も」

「そうだな、向かい合うよりも隣が良いな」

「俺も疾風と同じ意見だ。瑠衣さん、横に座ってよ」

「ということで、僕と瑠衣さんも隣同士で」

「まあ、席なんかどこでもいいけどさ」

「いやぁ、やっぱり隣がええで」


 パシーン。


「谷間を覗くな!」



「悪いわね、銀閣寺君、また送ってもらって」

「本当に、銀閣寺君には頭が上がらないわ」

「車で送るくらい、お安い御用や」

「凜、私、疾風君から交際を申し込まれちゃった」

「私も影丸君から“付き合ってほしい”って言われた。夢みたい」

「良かった-! セッティングした甲斐があったわ。まあ、沙耶さんも瑠衣さんも美人やからなぁ、疾風と影丸とマッチすると思ってたけど」

「これで3組ね」

「全部銀閣寺君繋がりだけど」

「ちょっと、3組って、私も入ってるの?」

「凜も入ってるに決まってるじゃん」

「凜は元々、銀閣寺君といい感じだからね」

「私は……まだ……」

「私、明日の日曜、疾風君とデート!」

「私も、明日、影丸君とデート!」

「2人とも、盛り上がってたもんね」

「疾風君、読書家なの。私もよく本を読むから話が盛り上がっちゃった。明日は美術館に行くの」

「私は、屋内プール。影丸君、私の水着姿が見たいんだって!」

「私も最初はプールに誘われたの。でも、ちょっと恥ずかしくて」

「沙耶、一緒にプールに行こうよ」

「そうしようかなぁ」

「凜さん、僕達も一緒にプールに行こうや」

「え! 私も? 水着?」

「僕から疾風と影丸に電話するわ」

「えー! マジで3組でプールなの?」

「いいじゃん、凜、私達に付き合いなさいよ」

「そうそう、初デートが3人一緒って素敵じゃないの」

「はあ、わかった、わかった」



「お待たせー! 水着に着替えてきたよ」

「どう? どう? 似合う? 似合う?」

「沙耶、瑠衣、またテンションが上がり過ぎだよ」

「凜、見なよ、男子達もいい身体してるよ」

「3人とも、筋肉質なのね」

「だから、私が赤、沙耶が青、瑠衣が黄色って、信号か-!」

「似合ってるからええやんか、3人ともスタイルがええからビキニがよく似合ってるわ。ほな、ここで3組に別れよか?」

「ああ、沙耶と瑠衣が去って行く」

「凜さん、ウオータースライダー、滑りに行こうや」


「後ろから抱きつくな-!」


 パシーン。


「なんで、抱きついて滑る?」

「抱きつきたいからに決まってるやんか」

「歌麻呂、なんでお前はそんなに自分に正直なの?」

「その方が楽しいから」

「歌麻呂を見てると、心から羨ましく思うわ」

「でも、あれ見てや」

「あ、沙耶と瑠衣」

「2組とも、結構イチャイチャしてるで」

「まあ、あの2組は付き合ってるからな」

「えー! 僕達は?」

「まだ、付き合ってない。っていうか、今、誰とも付き合いたくない」

「ほな、待つわ。凜さんが僕と付き合ってくれるまで、ずっと待ってるから」

「歌麻呂」

「何?」



「ありがと!」







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