第2話
「えーと、朝のホームルームですが、今日は転校生を紹介します」
「おはようございます。大阪から来た銀閣寺歌麻呂です。成金の息子ですわ。よろしくお願いします」
「銀閣寺君は、1番後ろ、早乙女さんの横に座ってください」
「はーい」
「なんで、この学校に来たんだよ」
「そう言わずに、仲良くしてや、凜さん」
「成金学園に行けば良かったのに」
「予定変更、僕は凜さんと学園生活を送ることにしたんや」
「私は、お前のことなんか知らない」
「まあ、ええわ。急がへんよ。僕のことは歌麻呂って呼んでや。ほな、とりあえず、僕は寝るわ」
キンコンカンコーン!
「ああ、よく寝た。やっと昼休みか」
「凜、学食行こう」
「早く行かないと混むよ」
「あ、凜さんは学食なんや、ほな、僕も学食に行くわ」
「寝てろ」
「一緒に行こうや。僕、学食がどこにあるのかもわからへんし」
「探せ」
「凜、それはちょっと冷た過ぎるよ」
「銀閣寺君、一緒に行こう」
「おおきに」
「沙耶、瑠衣、こいつに優しくしちゃダメだよ」
「どうして? いいじゃん」
「そうそう、私達は銀閣寺君に興味があるのよね」
「もういい、行こう」
「僕がみんなの分を払うわ」
「お! さすがお坊ちゃま」
「銀閣寺君、ポイント高いぞ」
「B定食、“肉じゃが”って書いてあったけど、肉じゃがって何?」
「え! 肉じゃが知らないの?」
「庶民の食べ物は知らないかぁ」
「歌麻呂、食べたらわかる」
「うん……あ、美味い」
「良かった、庶民の味が大富豪にも通用した」
「庶民の味も、捨てたもんじゃないわね」
「沙耶、瑠衣、あんまり歌麻呂に優しくしたらダメだからね。こいつ、スグに調子に乗るから」
「さっきから思ってたんだけど、凜と銀閣寺君って知り合いなの?」
「昨夜、コンビニの前で会っただけ」
「それから食事に行ったやんか、もう少し親しみを込めて接してほしいんやけど」
「え! 2人で食事に行ったの?」
「どんなところで食べたの? なんだ、もうデートしてるんじゃないの」
「デートじゃない、それに、店はドレスを着ていくような堅苦しい店だった」
「ドレス? 凜ってドレスなんか持ってたの?」
「歌麻呂が買ってくれた」
「うわ、最高のデートね」
「凜ばっかり、ズルイ!」
「あ、皆さんも行きますか?」
「行きたい!」
「行きたい!」
「じゃあ、明後日の土曜、このメンバーでレストランに行こうや! 沙耶さんと瑠衣さんのドレスも買うから。午後に集合して、服屋に寄ってから食事というのはどうかな? あ、せっかくやから髪とメイクも一緒に予約しておくから」
「銀閣寺君、最高!」
「凜、あんまり冷たくしたらかわいそうだよ。こんなに優しいのに」
「優しくても……ウザイんだよ」
「今日は金曜、あと1日かぁ。凜さん、明日が楽しみやね」
「ああ、悪いけど、私は欠席するから沙耶と瑠衣を連れていってあげてよ」
「なんで? なんで欠席なん?」
「もうドレスもアクセサリーも無い。売ったから。高く売れてビックリしたけど。どう? 私はプレゼントもスグに売っちゃう女なんだよ、嫌になっただろ?」
「あ、凜さん、どこに行くん?」
「銀閣寺君」
「ちょっと話があるんだけど」
「メール見たけど、急用って何?」
「何を言うてるんや? 今日はみんなで食事会やんか」
「私は欠席するって言っただろ? ドレスもアクセサリーも売ったし」
「売ったお金は何に使ったん?」
「お前には関係無い」
「凜さんって、施設で暮らしてるらしいね。ドレスやアクセサリーを売ったお金で、施設の子供達に新しい服やおもちゃを沢山買ってあげたんやろ?」
「そんなことしてない」
「施設長さんから話を聞いたんや。もう子供達のことは心配せんでもええで。これから毎月銀閣寺家が施設に寄付することになったから」
「そんなこと頼んでない……」
「気を遣う必要は無いで。僕の親の金や。僕が汗水垂らして稼いだ金とちゃうし。まあ、複雑な心境かもしれへんけど、ここは銀閣寺家に任せてや。ほな、行くで。車に乗ってくれ。沙耶さんと瑠衣さんと合流せなアカンねん」
「歌麻呂、またドレスを買ってくれたのはありがたいんだけど」
「何か気に入らないの?」
「私が赤、沙耶が青、瑠衣が黄色って、信号かー!」
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