ボロボロ不良少女の私と、大阪から来たやり手なお坊ちゃま!
崔 梨遙(再)
第1話
「何、ジロジロ見てんだよ!」
「あんたがキレイやから見てるねん!」
「こんな、コンビニの前でしゃがんでるスウェット姿の女のどこがいいんだよ!」
「いや、あんたは最高や! 一目見て惹かれてしもた。多分、これは一目惚れや」
「私は外見で判断する男は嫌いなんだ!」
「うん、せやから今度はあんたの内面を知りたい」
「内面を知りたい? どうやって内面を知るつもりなんだよ?」
「僕と付き合ってくれ。恋人として付き合ったら、内面がわかるやろ?」
「なんでお前なんかと」
「僕、銀閣寺歌麻呂。あんたは?」
「……早乙女凜」
「僕、高2.あんたは?」
「私も高2……って、なんでお前に自己紹介しなくちゃならないんだよ」
「それは、あんたがキレイな女性やから、それ以上の理由はいらんやろ?」
「私が、キレイ?」
「うん、僕が今まで見てきた女性の中で1番キレイや」
「マジで言ってる?」
「うん、僕は芸能人とも会うことがあるんやけど、凜さんは芸能人にも負けてへんで。一般人とは思われへんわ」
「お前、芸能人と会うことがあるのか?」
「うん、女優さん、アイドル、グラドル、バラドル」
「私が芸能人なみにキレイ? ふん、悪い冗談だ」
「服と髪型を変えれば、もう一般人には見えへんと思うで」
「私は、整形したいくらい自分の顔が嫌いなんだけど」
「整形したかったら、整形したらええんとちゃうか? 僕は整形してようが整形していまいが気にせえへんから。でも、凜さんに整形は不要やと思うで」
「おもしろいじゃねーか! だったら私を芸能人なみにキレイにしてみろよ」
「OK! 任せといてや。そこに車を待たせているから乗ってや。大丈夫、僕はこの先の館に引っ越してきた者や。安心してや、変なことはせえへんから」
「何かしようとしても、お前みたいな弱そうな奴には勝てる自信があるけどな」
「さあ、運転手が待ってるで」
「お前、コンビニに用事があったんじゃないのか?」
「あ、トイレを借りただけ。借りるだけやと悪いから、缶コーヒーを買ったんや。はい、1本あげるわ」
「あ、ありがと」
「こちら、運転手の榊さん。榊さん、美容室へ」
「おいおい、こんな時間に開いてないだろう」
「大丈夫、開けてもらうから」
「そんなことが出来るのか?」
「その美容室、大阪に本店があるねん。オーナーに連絡したら対応してくれるわ」
「お前、何者なんだ?」
「大阪から引っ越して来た成金の馬鹿息子や。ついでに、メイクさんも用意するで」
「なんじゃこりゃあー! これは誰だ?」
「何を鏡に向かって叫んでるねん、鏡に映ってるのは凜さんや。ほら、ビックリするほどキレイやろ?」
「髪とメイクでこんなに変わるものなのか?」
「さあ、次は服を買いに行くで」
「なんじゃこりゃあー! なんだこのドレスは?」
「白いドレス、ごっつ似合ってるで-!」
「こんなドレス、どこに着て行くんだよ!」
「大丈夫、普段着も幾つか選んだから」
「お前、私をどうするつもりだ?」
「もう少し内面を知ることが出来たら、プロポーズするかも」
「ふざけるな、金持ちの道楽に付き合う気は無い」
「小腹が空いたやろ? 食事に行こうや。そのドレスを着たままで」
「なんじゃこりゃあー! めちゃくちゃ美味しいぞ!」
「良かった、喜んでもらえて」
「で、お前はスーツに着替えたのか?」
「うん、この店は基本的に男はネクタイ、女性はドレスやねん」
「ドレスだけじゃない、このネックレスとピアスと指輪もあるぞ」
「全部、プレゼントするわ」
「おいおい、展開が急すぎてついていけないんだが」
「まあ、ええやんか。今日は出会った記念や」
「そういえば、お前がさっきまで着ていた服、成金学園の制服だったな」
「うん、そうやで。今日、転校の手続きをしたんや」
「じゃあ、お前と会うことはもう無いな、私は西校だから」
「ふうん、西校なんや」
「ありがとう、一晩だけの良い夢が見れたわ」
「僕は、一晩だけの思い出にするつもりは無いで」
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