第3話 教えて!レインさん
すべて元通りになった公園を見てまわりながら、私はレインが案内するままについていきました。
さっきまで、あんなに喧嘩していた子たちはすっかり仲直り。クレープを落とした子は、ちゃんと謝ってもっらて、新しいクレープをおいしそうにほおばっていて。
休日出勤に悲しんでいたサラリーマンは、突然出社が取りやめになったのか、女の子の隣で泣きながらクレープをかじっていました。
「よかった……」
ぼそっとつぶやいたこの言葉に、レインは応えてくれました。
「君が倒したダクラー。あれは、人の持つ、いろいろなマイナスの感情から作り出すんだ。
……君は、魔法だとか、魔女だとか、そういうものは信じる?」
信じているかどうか。昔は夢みていたし、あこがれだったけど、信じているかどうかは考えたことはなかったな。そうして、唇に手を当てて考えていると、レインはまた話を続けました。
「この世界にも、昔から魔法はあったんだ。誰にも見つからないよう、ひっそりと隠されて。魔女とよばれる人たちは、その力と知識を、本当に必要な時にだけ、こっそり人々に貸し与えていたんだ。
君もまた、その魔女になれる素質を持っている。いつか魔女になるための、準備段階。それが魔法少女」
そういえば、さっき言っていた、優しくて動物に愛されるのがなんとかって、それが素質のことなのかな。昔っから、なんとなく鳥たちの思っていることがわかったり、動物園のふれあいコーナーの動物がよく群がってくると思っていたけれど。
「そう。その通り。君が素質を持っていることを知った、日本の魔女が、君のために作ったのが、この僕なんだ。いつか、君が戦う日……今日、この日のために」
「そうだ、さっき聞き逃したけれど、ダクラーも、マイナスの感情から作り出したって」
「そうなんだ。定期的に、人のマイナスのエネルギーが急に増える時期があるんだ。基本的には小規模だから、魔女の魔法で集めて固めて、魔法少女や、少し成長した魔法使いに倒させることで、浄化と特訓を兼ねているんですよ。もちろん、壊れたものを直すのも魔女の仕事ですし、人を積極的に襲うこともありません」
「すっごい合理的……に見えるけど。魔法、万能過ぎない? というより、ご都合主義?」
「そういうものです。魔法が何なのかは、今なお研究中なんですよ。ただ、自然の力を借りて、使っていることはわかっています」
「ほへぇ……」
なんだか実感はわかないけれど、とにかくそんなすごい力を手に入れたのかと、自分の手のひらを見つめてみたり、気づいたら髪飾りになっていたレインの羽を触ってみたり。
そんなこんなでいろんな話を聞きながら、ようやくついた場所は、小さなカフェでした。
「このまま入って、僕を指指しながら、魔女に会いに来たって言ってください。そうすれば、奥に通されるはずですから」
ちょっぴり緊張しながら、重たい木の扉を、押し開けました。
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