第2章 メリオス決戦No.6
ーダビド視点
ーー深夜メリオス軍、キャンプ地
「ダビド王!おまちくだされ!王は後方で指揮を取ってから“王”と言われるのじゃ!」
そう言ってオババは必死に説得した。だが、説得も虚しく私の心は動かない。
「ごめんなぁ……それは出来ない」
「なぜじゃ!!!」
オババは“プルプル”と両肩が突き上げるように震えていたが、それも気にせず、真っ直ぐな目で断言する。
「何故なら!カッコイイから!!!」
オババは“え………”という顔で固まってしまった。老人みたいなオババではこの戦場はキツすぎる。
「………薄々、気づいておったのじゃが…バカじゃろ?」
“バカって言うなぁ!!!”
私は“私の事”を否定するのに対して怒ってしまった。だが王の身。いちいち“王の機嫌”の良し悪しで伺ってしまえば元も子もない。
「ダビド王、ワシは悲しいぞ………思えば、小さい子の時、オネショをしてワシが庇ったっけ………まぁ、すぐにバレたのじゃが…」
「…オババ、もう昔の話はやめて」
昔のことを振り返ると段々、テンションが低くなってしまう………アレは私の黒歴史だ。そう言えばオババは、いつ帰るのだろうか?
「なぁ、いつ帰るんだ?ここは最前線でいつ襲われるか分からない。本当に危ないから、すぐにでも帰った方がいいぞ」
私は親心に似た気分でオババを見た。だが、百戦錬磨のオババは性犯罪の危険無し(時には年寄りもターゲットしている…)と判断するや否や、諦めてメリオス城に戻るまで、ずっと付いていくつもりだ。
「何を言っておるのじゃ!ワシは“うん”というまで戻らんぞ!」
“あぁ、オババまで我慢比べか…”
俺は“フーッ”と天井を見つめながら、オババの方へ向き合った。そして“クルリっ”と180度切り替えて外の方へ歩いていた。
「コレ!どこへ行くんじゃ!」
オババが慌てて口に出すと、私も立ち止まりオババの方へ向き合う。
「どこって、夜遅いから部屋で寝るよ」
“コレ!!!…”
と言ったものの私は完全に無視して自分の部屋へ戻っていった。
“許せ、オババ……こうもしないとオババはメリオス城には帰らない。しかも、スペニア国の軍は魔族が入り込んでいると聞く。もし、従来みたいに最後方でメリオス城に待機すれば、メリオス王国は、ほぼ壊滅的な被害になっていただろう。それぐらい魔族との戦争は自殺行為なのだ”
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