第2章 メリオス決戦No.7
ーー再び、メリオス軍、キャンプ地
ダビド視点
「………あの、帰ってもらっていいですか?」
「なぜじゃ?ワシは“うん!”と言うまで帰らんぞ」
ここはメリオス軍の最前線、しかも決戦は間近なのか、
“ウォーー!”と怒号の声で熱気が熱く感じる。私もテンションを上げようとするが、どうも、隣のオババが居るみたいで調子が狂ってしまう……しかも、おそらく最高齢のオババは誰からも文句を言うことなく、声をかけることなく平然と立っているのであろう。
“まぁ、仕方がないかぁ、あの文句言いの妹にさえ、黙っていたんだからなぁ……”
「じゃ“後ろに下がる”って言うけど、オババはメリオス城も下がるんか?」
「そりゃ、ダビド王次第じゃ。ダビド王が城まで下がるのであればワシも喜んで下がろうぞ」
“コイツ、キタねーー!!”
そう思った私はとなりに居たオババを睨む。オババもそれに気がついたのか、オババも説教じみた話を口走る。
「何もこんなことは言いたくないんじゃが……出会いは王妃様が身籠った日から数世紀前。ワシが悠々自適に過ごそうかと思ったのじゃが……それが何の因果か知らんが王妃様の妊娠、出産を立ち会ってしもうた」
オババは自分自身に酔いしれたのか、独り言を喋り始めた…ちなみに、オババのことが怖くて喋ることができないでいた……。
「思えば、こんな小さい頃“オババ!オババ!”って言って懐いておったのう……そういえばオネショをして、ワシが庇ってもうて、王妃が王子にキツく怒られたんじゃ!」
「オババ!もういい!もういいから!昔の黒歴史をほじくり返さないでくれ!」
私は“私の黒歴史”がほじくり返されるのを見てられなかった。いわば、オババは“生きる歴史書”である。
「だったら、今すぐ帰るべきじゃ!」
「ーー今、城に行っても行かなくても変わらないよ」
そう言った瞬間、
“ピシッ”
と空気の切り裂くような、全体を包み込むような感じがする。それでビックリした私は周り周辺を見る。
今、現在朝だが、まるで日没するかのように薄暗く“ジメーーー”というような重黒しいの雰囲気のように感じる。
「もしかして魔族特有の“領域”ではないよなぁ……」
と言いつつ槍を両手で構える。私はその両手で汗びっしょりになりつつ、真正面…つまり微かだが、複数の人の塊が見えてくる。
「正解!!」
“パチパチ”
と正面から人の塊が“くっきり”と良くみえる……が、私が思い描いている最悪なシナリオに出会ってしまった。
「最悪だわ……まさか、こんな人と出会うなんて……なぁ、ジョゼよ……」
そのまさかの“ジョゼ”である。
ジョゼはこの戦いにおいて、先手必勝で早くを終わらせてジョゼには会わない戦法を取っていたのだが、まさかジョゼに会うとは……もしかして、私が甘かったかもしれない……。
私は再び、両手で剣を構えて戦闘に入ってしまった。
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