第58話
大切で宝物のような思い出、僕は絶対に忘れたりしたくなかった。
……けど。
僕は震える手で、最後の日記を綴った。
――№701。僕の記憶巡りもここまでだ。これまで色々な出来事を綴って来たけれども、どれも些末な経験でしかなかったかもしれない。それでも困難と向き合っていく勇気だって得ることが出来たし、刺激ある人生を過ごすことが出来た。キミに会えたことは勿論だけど、約五十年間共に過ごしてきた仲間たちに出会えたということもとても喜ばしいことだった。僕と共に人生を歩んできてくれた方、本当にありがとう。
僕は今までの人生を噛み締めるようにして、ちょっとだけ目を閉じてみることにした。
疲れたから、ひと眠り……。
今度は僕が料理を振舞うからさ、目が覚めたら朝食でもとろう。
目を瞑っていると、僕は、キレイな艶のある金髪ボブの後ろ姿を見たんだ。
彼女は振り向いて僕に微笑む。
「愛している」
誰かに言われた気がした。
それじゃあ、本当に、おやすみ。
Luckyキミにストライク ‐探偵リクのはじまりの遺言‐ 有馬佐々 @tukishirosama
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