第13話

 ……どうでもいい――と思ったものの、次の日は当たり前にやってきて、僕たちが眠った部屋には平然と陽光が降り注がれていた。


「起きたんですね、おはようございます」


直ぐに起き上がることができず、僕は声を辿りやっと目線を向けたが、その先は日差しに照らされて目が眩み、視界が白飛びした。白飛びの中に微かに涼香……ティファのシルエットが映っている。


 ティファは僕より先に起きていて、とっくに今日の支度を済ませていた。


 起き上がろうと体に力を籠めると、右腕が酷く痺れて僕は思わず顔を歪ませた。


「悪い夢でも見ていたのですか? それとも、まだ昨日のことが――」


「あーあー、昨日のことは忘れてって……。ふぁ~……ただちょっと寝違えただけだよーぅ」


「そうでしたか」


 なんだか素っ気ない様子のティファ。気を使ってくれているのだろうか。いや、アンドロイドがそんなことするはずはないか。


 据え置きの時計を何となく見て、僕は焦りと共に自分に呆れた。時刻は十一時三十七分。ティファに対して少々申し訳ない気持ちになり、僕は咄嗟に「遅く起きすぎた、ごめん」と詫びを入れた。


「別に気にしていません。それより、今日の予定を教えてください」


 思考がまだあやふやな僕は困った。


「えぇっと……何を……」


「明日から頑張るって言っていましたので」


 僕は昨日言った自分の言葉を思い出した。正直面倒くさくて「そうだっけ」としらを切ったが、ティファが「はい」と固い表情を見せるものだから、僕は言ったからにはそれなりに頑張るしかないと小さく覚悟を決めた。


「それじゃあ次は……三人目について聞き込み?」


 怠さを押し殺して僕は訊いた。


「良いですね」


 ティファは乗り気だ。


 失踪者について思い出すのが面倒くさい。


「失踪者の情報を教えてティファ」


 僕はその後、ティファから国崎れれみについて教えてもらったのだ。

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