第2章 海上の侵入者 No.1

「諸君、おはよう!」

「………」


船員達は“ゴシゴシ”と甲板を磨いていた。


「あれ、聞こえないの?おは…」


ガルシアは言いかけた時、突然後ろから“バシッ”と、ど突くかれた。


「いてーなぁ!何すんだよ!」


よく見たら“ガストン”である。

いつも笑顔が似合うガストンだったが、ここまで冷たい目を見るのが初めてだ。


「船酔いはマシか?」

「おかげさんで……」


“ガストンの目が怖い”それぐらいガストンは怒っていた。

“勘弁してくれよ…”


「じゃ、殴っていいんだな?」

「まて!まて!ちょっと待て!!!俺が何したんだよ!!」


俺は、訳が分からず殴られそうになったので、ガストンは止めた。


「何をした?……あぁ、分からなかったのか?じゃ、言ってやろう…」


ガストンは胸ぐら掴み、ガルシアの顔が接近して叫んでいった。


「クラーケンを倒して、抱きついた時は良かった。歓迎ムードだったからな!だが、それからは良くなかった!

ゲロを撒き散らし、船員達、大半はゲロまみれになるわ……。“これはヤバい”と思って、部屋に入ろうとした時、全部の食料をゲロまみれになるわ……おかげで、食料0だ!以上の理由で殴ろうと思うのだが、殴っていいよな?殴らせろよ!!」


ガストンは、ブチギレ寸前の所で、踏ん張っていた。

“仕方がない…ここは、素直に謝っておくか”


「あぁ、いい……グフっ」


ガルシアはその返答に対して言いかけた所で、思いっきり殴ってしまった。


「なにすん……ごめんなさい」


ガルシアは無意義に殴られたもんだから、咄嗟に声を荒げたが、野生のカンで“今は殴られた方がいい”と警報を鳴らした。なぜなら、ガストンの顔が鬼の形相だったからだ。


「よし!これで解決!まぁ、俺は正直、怒りが収まらんと思うけど…解決できたし、綺麗サッパリ忘れるよ!!」


ガストンはそう宣言して平常な顔に戻った。


「まぁ、他の連中は怒りが収まらんと思うけど、上が終わりといえば終わりだからな。まぁ、感情は勝手に決めれんから……」


“そういえば前に船酔いをしている時、夜遅くまでドンチャン騒ぎだったよな…”と思いつつ、腕を組む。

ガルシアは“チラッ”周りの様子を見る。何も言わないけど明らかに怒っているみたいだ。


「そういえば、クラーケンの件で頭がいっぱいだったけど、少しずつ食料が減ってたみたいなんだよな」


ガストンは“ニヤニヤ”しながら、こちらの方に向いた。


「そこでだ!ダマスア王国に着くまでにつかまえといてくれ」


ガストンは“最高の笑顔”で肩を叩いた。


「えっ?俺?いやだよ、他の人…」


ガルシアはそう言いかけた時、前言撤回した。なぜなら、ガストンはメンチを切っていたからだ。


「分かったよ…探し出すよ」


ガルシアはため息をついて了承した。それを見た、ガストンは再び“最後の笑顔”に戻っていた。

“クソーーー!!あの事件(噴水事件)が無ければ強気で反論したのに…”



ーーー数時間後


俺は捜索を片っ端から探し始めた。

他の船員に聞いても無視…もしくは嫌味を言う。本当に困難を極めた。


「架空の人間を使って食べたんじゃねーか?」


などと、妄想を膨らませた矢先の出来事だった。俺は諦めて、いないであろう人を探す。


「ん?」


そこには、明らかに人の足の痕跡を見つけることが出来た。その時まで気持ちが萎えていたのだが、発見したと同時に緊張が増し、剣を抜いた。


「………」


“ドキドキしてきた…”もしかしたら、見つけた瞬間、襲いかかるかもしれない。ガルシアは部屋のドアを閉めてからゆっくり、ゆっくり箱を退けていた。

すると、わずかながら“今、隠したのだろう”という跡が確認できた。

“ここしかない!”

そう確信したガルシアはゆっくり両手を上げた。


どれぐらい時間が経ったのだろうか?もしかしたら、数秒だったかもしれない。

それぐらい緊張感がこの部屋に張り詰めていた。


「おーい。見つかった?」


ガストンは突然、勢いよくドアが開く!

ガルシアは反射に剣を振り下ろす。


カン!!


部屋中に床が鳴り響く。ガストンの方に向き、俺は思わず


「あぶねーじゃねーか!!」


と叫んでしまった。


「おい?アレ?」


ガストンは“信じられない…”のような顔をして、指を指していた。俺は“なんだよ”というような顔をして箱の方に向いた。

そこには崩れ落ちた箱と失神して漏らしそうな…いや、漏らした少年がいた。


「なんじゃこりゃ!!」

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