奇譚0006 空中で静止する鳥
うちの近くの森がある公園を歩いていると空中に止まっている鳥がいた。えええ!!!どうなってんのあれ!?もしかして見えない糸か何かに引っ掛かって抜け出せないとか?色々な角度から見てみたがイマイチよくわからない。近くの木に登れば助けられるかもだけど俺では登れなさそうなので近所に住む中学生のにいちゃんを呼んできて戻ってみると鳥はいなくなっていた。あれ?どこ行った?自力で脱出できたのかな?と思っていると鳥がいた下の地面に卵が落ちていた。さっきまではなかった。ゼブラっぽい柄の卵で見た事ない。中学生のにいちゃんはこれ食っちゃおうぜと言う。「ええ?食えるのかな?」「卵なんだし別に食えるだろ?毒なんてねぇって」と言って家に持ち帰ってゆで卵にしてマヨネーズをつけて「おまえも食うか?」と聞かれるけどなんだか気持ち悪いのでやめておく。
そしてその日からにいちゃんは鳥になった夢を見るようになる。「飛ぶのって飛び始めはちょっと大変だけど風にのるとめちゃくちゃ気持ちいいぞ!」と興奮しながら話している。毎晩眠ると鳥になってこのあたりを飛んでるらしい。「まじで飛べるような気がしてくるんだよな」と言っていたにいちゃんが自宅の屋根から飛ぼうとして落ちて脚を骨折する。親にむちゃくちゃ叱られて取り敢えず入院することになって見舞いに行った。
「昼間も寝てると鳥になれんだよ!お前昨日ゆうじとまさると一緒に森の中で遊んでただろう?上から見てたぞ」
えええ!?昨日は確かに3人で森の中で遊んでた。着ていた服の色まで当てられた。夢の中で鳥になってるけどその鳥は現実の鳥ってこと?なんだか頭が混乱してにいちゃんはまだ何か話してたけど耳を素通りしていった。それから3日後ににいちゃんは病院の屋上からダイブして死んだ。葬式で火葬された骨の中に小さい鳥のような形をした骨があったけれど多分気のせいだろう。葬式で出された出前の寿司に一番好きだった卵焼きがあったけれど食べられなかった。
了
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