第5話 プロポーズ
(再開から一週間後 ―― ベッドに座った二人)
「あなたの部屋に来るのはこれで3回目ね」
「このベッド清潔で好き。隣に座ってもいいかな?」
「ねえ、もっと寄り添ってもいい?」
「今日は大事な話があるの」
「うん。どうしても早く話さないといけないの」
「あの、緊張しなくてもいいよ。私はちょっと緊張してるけどね」
「手を握ってもいい?」
「ありがとう。あなたの手ってあったかいね」
(大事な話って? と聞かれて)
「私達って昔の西欧から来たって話したよね、覚えてる?」
「……実は私、この世界に1年しかいられないの」
「本当よ」
「うん、女神に言われたの。1年だけなら、こちらの世界に来ていいって」
「そうよ、1年後はまた元の世界に戻らなきゃいけないんだ」
「そんなに残念がらないで、私も悲しいんだ」
「だけど1年あるんだから精一杯のことはしたい」
「お願いがあるの、耳を貸して」
(ささやく声で)
「結婚して。あなたとすぐに結婚したい」
「そう。私とあなたは昔、結婚する約束をしたのよ。思い出せる?」
「あの最後の戦いに出る前、あなたが言ったのよ」
「私、嬉しかった。そして私達は結婚の約束をして別れたの」
「思い出した?」
「私の目をよく見て。私の瞳に映っているのは昔のあなたの姿よ」
「驚いた? あなたはそういう顔の人だったのよ」
「ありがとう。思い出したのね」
「結婚しましょう」
「良かった」
「それからもう一つ。結婚した後のことなんだけど……」
「なるべく早く…… あなたの子供が欲しい」
「そう、赤ちゃん。 だって私1年しかいられないから」
「たいへんな決断だと思う。別れるのがわかっているしね」
「すぐに決めなくていいよ」
「でも、子供ってできるかどうかわからない。そんなにチャンスがある訳ではないから……」
(少し、涙ぐんで)
「ありがとう」
「ううん、泣いてないよ。嬉しいだけ」
「本当に会えてよかった」
「もっと顔を良く見せて」
「奇蹟みたい」
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