第02話 奇妙な日本①
「『弥助』、やはり御存じだったのですね」
と嬉しそうな声音で言いながら、マスコットキャラ然とした天狗が宙を泳ぐように舞う。何とも可愛らしい言動だ。
「弥助……信長公に仕えた道具持ち? 小姓? で黒人?って言う、創作物的に美味しい人物だったと記憶してます。
まあ知名度が上がったのがここ最近だから露出は少ないけど……」
侍か以前に黒人と言うことにも異論があるらしい。
『肌が黒い』の基準が日本の場合日焼けの場合もある上、東南アジア周辺の人は色黒のため、黒人と呼ばれる可能性がある。
「さようにございます。しかし南蛮人共はそれを歪めたのです」
南蛮人って……この妖怪に外国人のことを語源が差別的な言葉を使うのは昨今のコンプラ的に辞めた方がいいと忠告するべきなのだろうか? まあそれなりに生きている人外だからいいか。
「それって確か最近話題の海外作品で、時代考証がガバガバで週に何度も炎上してる作品に関する一連のことか?」
「その通りです!」
確かネット番組で脳科学者とお笑い芸人が的ハズれな発言をして炎上したと言う話を、SNSトレンドで見たことを思い出した。
最近だと『国立博物館大使や日本政府観光局特別顧問』を持つ英国人デーブ・アトキンソンが、「日本で黒人奴隷が流行っていなかった証拠を出せ! 出せないなら嘘ではない(要約)」と悪魔の証明を求める発言し、鍵垢で反論をする糞ダサムーブの上、黒人奴隷はシルクロードを使って日本に来ていたなんて頓珍漢なことを言っている。
もしデーブ・アトキンソンが正しいのならシルクロードライン上に黒人コミュニティがなければおかしいし、奴隷という商品をわざわざ中国に卸さないはずはない。
完全に破綻した理論である。
又、『日本最高学府の助教授』丘美保子を名乗るSNSアカウントが「歴史学者として素人の発言を叩くのはどうなの? 私は本能寺で戦ったから侍として問題ない」などと擁護発言やお気持ち表明をする有り様が毎週のような炎上を産んでいる始末だ。
数日たって『帝都外国語大学特任准教授』ルシア・デ・ソウザと言うポルトガル人が妻の丘美保子やトマス・メタルリーと強いつながりがることが判明し、丘の品位を地に落としたりもした。
更に『元共産党員でヘルス科大学特任教授』の比良山優がSNS上で無駄に首を突っ込んで炎上し、「疲れたやってられんわ仕事に戻ろう」などと発言し逃亡している。
張本人のトマス・メタルリーと名乗るユダヤ系英国人が書いた論文擬きと、トンでも小説本が諸悪の根源だと言うのだから奇妙な話もあったものだ。
件のトマスに至っては、自分と某会社は関係ないといいながらも、関係が暴かれた挙句ネット上の動画。通称玉音放送内で「自分の本の宣伝になって嬉しい」と自分は無関係だと発言している有り様だ。
もうこれ慰安婦問題や、○○差別など各種利権団体が絡んでるだろ! ナニカ闇の利権組織が絡んでだろ!!
バン!(机を叩く音)
巫山戯んのも大概にSayよ! マジでこいつらは……だから僕はストレートニュース方式が好きなんだ。
良く調べもしないでコメンテーターがいい加減なことを言うから荒れるんだ。
コメンテーター共はまだいい。
だが最初期の元ゲームディレクターの丘本吉起が「フィクションだから問題ない。洋ゲーの売れない日本市場は恥」などと、馬鹿な発言したこともあった上でわざわざ火中の栗を拾いに行き炎上するのは仕方がない。
火中の栗を拾いに来た奴らは全員馬鹿だ。
擁護のしようもない。
間違った奴らは謝罪の一つぐらいはするべきだと思う。
ちゃんと謝れるのが大人ってもんじゃないのか。
「その通りで御座います。小田さま、オホン。『お前は何でも知ってるな』」
急に天狗の口調と声音が変る。
まるでそれは、神谷〇史のようなイケメン声だった。
「『何でもは知らないわよ。知ってることだけ』」
と台詞を引用し返す。
「やはり、小田さまもご存じでしたか」
「ああ、と言うか上手いな声帯模写って言うのか?
まるで本物が喋っているようだった」
「妖怪変化の類ですので、声真似は得意なのです。
人間さんを誘い出すのには必要ですからね」
「……」
時々ブラックな部分が出て来るなこの天狗は……時々ボソッと出て来るのはロシア語か淫夢語録でいいんだよ!!
「さてここは、右大将のいらっしゃる場所からは少し離れてございます。とりあえず移動しましょう……」
そんな天狗に促されるまま僕は歩き出した。
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