第16話

「古臭い……ですか?」


 リースリットは3人組の顔に見覚えが無かった。

 いや、正確には同じクラスだったような気がする、という浅い認識でしか無かった。


「ああ、周りを見て見ろよ。わざわざ、詠唱なんて面倒くせぇことをしてるやつは、あんたくらいしか居ねぇぜ?」


 三人組のうちへらへらと、不遜な物言いの真ん中の生徒が、あごで他の生徒達の方を指し示す。


 言われて見渡すと、確かに皆、呪文コードの描かれた魔法陣ばかりを使っている。

 しかし、リースリットには魔法陣の事は良く解らない。

 魔法の師であるセナ・アダストラは、魔法陣の講義をあまりしなかったからだ。

 それにセナは、詠唱型の魔術師だった。

 リースリットはセナが詠唱を重んじているには何か理由があると思う。

 そして、詠唱の何がいけないのか、解らない。


「わたくしが詠唱型の魔術師スペルキャスターだとして、何か問題でも?」


「単純にスマートじゃ無い。それに、時代遅れだね。一々術式の命令を指示しなくちゃいけないなんて、手間がかかるだけじゃないか」

「そうそう。どうせ、古臭い魔術師に習ったんだろ?」

 三人組のうち、後ろのやつ二人が嘲った。


 リースリットは、スマートじゃなくても、時代遅れでも構わなかったが。

 なによりも、自分の師匠をバカにされるのだけは癇に障る。

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