第14話





 後方区域に着くと、ロゼはさっそく、杖を標的カカシに向け、魔法陣を展開しはじめる。




 自身の魔気オド、大気の魔素マナ、そしてロッドに備えられた水属性結晶クリスタルから抽出した現象核オリジンによる三気合成トリブレンドで、魔力子マギトロンを生成し――。


「『水塊ウォーターブロック』」


ロゼの術式宣言で、魔法陣が魔力を充填し始める。


 魔法陣とは、術式を呪文コード魔術記号ルーンで記述した術式図の発展型――つまり実戦形式のもので、魔力を流し込むだけで、いつでも同じ魔術が発動する。


 ロゼは、杖の先に、大き目の水の塊を作り出した。


 そうして。


「当たれぇ!」


 案山子のような形の標的に杖を振りかぶる様にして、その水塊をぶん投げる。


 しかし、外れて関係ない地面に落ちて行ってしまった。

 バシャリ、と弱弱しく破裂した大量の水が飛び散って周囲を濡らすだけだ。


「……これはさっそく、チョークの術式を勉強しないとダメだな」


 ロゼの魔術に、リースリットは感動する。


 

「魔法陣……初めて見ましたわ!」


「初めて? ……それじゃリース様は詠唱型の魔術師スペルキャスター……!? なんですか……?」


「ええ。……次はわたくしの番ですわね」


 リースリットは2つの魔術のうち、新しく覚えたほうを試してみようと考える。そうして――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る