第9話

「さぁ、答えなさい、リースリットさん」 


「ドレン先生……わたくしに解るのは、目標指定と弾道補正、それと弾速強化が籠められている事だけですわ」


 リースリットはロゼをちらりと見る。

 ロゼのウィンクを見届けて、答えを付け加える。


「……あと、魔気オドの消費が5単位だということです」


「よろしい。的確な回答です、リースリットさん」

 ドレン先生は、満足したかのように、リースリットから視線を外す。

 はぁ、とリースリットが胸をなでおろす。

 そしてその横で、「お疲れ様」とねぎらうロゼに、その矛先は向いた。


「では、これはどのような魔術ですか? ロゼさん?」


「へ?」


 不意を突かれたロゼは驚く。


「……ど、どのような……? 何かをぶっぱなす的な……ヤツでは?」


「いいえ、この術式はあくまで補正するだけのもの……例えば……」


 とドレン先生は背中を向け、黒板の下方にあるケースから、何かを取り出した。

 そして。


「……これはこのような時に使います」

 

 ドレン先生が振り返り、右手に持った何かを無造作に投げた。

 ロゼの動体視力がそれを捉える。


「チョーク!?」

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