第8話


 学園の普通科では、生徒全員が簡易な魔術服を模した制服を着用しているが、その中でもやはり生まれ持った雰囲気、家柄、顔立ちなどで目を惹く生徒はちらほらいる。

 そういった有名な生徒は、それだけ先生にも名前を覚えられるものだ。


 その最たる人物に、ドレン先生のタクトが示された。


「リースリット・マルズ・クラスリーさん……。この図を解いてみなさい」


「えっ!?」

 リースリットは驚きを声にした後で、ハッと気づき、はしたなく開けてしまったその口を、すぐさま両の掌で塞いだ。

 『常に冷静に、美しく構えていなさい』とお爺様に言われているのを思い出したからだ。

 

「あ~あ」

 とロゼの憐みの声。


「リースリットさん。――解らないのなら『解らない』と答えて構いません。ですけれど……」

 やや威圧的な、真剣な眼差し。

 射抜くような、ドレン先生の視線がリースリットの瞳に向けられる。


 ですけれど。

「……あなたは解るはずです、あなたの持つ魔気オド精神と魂の密度チャクラには、しっかり鍛錬の跡がある……」


 さすが先生だ。そんなことまで分かるんだ、とリースリットは心の中で感嘆する。

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