第5話

「あっ、先生……!」


 セナは、リースリットを心配して顔を覗き込む。


「大丈夫ですか? 少しお顔が赤いような? もしかして体調がすぐれませんか?」


「い、いえ! 大丈夫ですわ! ……それより、今日はミラ様は……」


「たぶんそのうち来ると思いますよ」

 

「そうですか」


 ◆ ◆ ◆ ◆


 リースリットは、そんな話を、魔法学園の休み時間に、知り合った生徒に話している所だった。

 勿論、思わず抱き着きそうになったことは内緒にして、だ。


 それを聞かされたリースリットのクラスメイトは、呆れた。

 そして何と言っていいモノか困った。

 なにせ、リースリットは王族だ。

 クラスリーという名前は、知る人ぞ知る有名な家名なのだ。

 下手なことをしたら、冗談抜きで打ち首になりかねない。


 ただののろけ話じゃないのか、なんて口が裂けても言えなかった。


「……それはそれは……楽しい週末だったね」


 教室の机に頬杖を突く女生徒は、明後日を見ながら、リースリットにそう返した。


「はい、来週が楽しみですわ」


「でも、若いんでしょう? その先生、どんな人なの?」

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