第9話 シンジュク~シブヤ2Dフィールド、ヨヨギ公園

 分院から外に出ると、何かの気配がする…

 金髪の少年と老婆だ。


老婆

「すぐに死んでしまうような恥ずかしい真似はしなかったようですね。

 一安心でございます。

 仮にも坊ちゃまの情けを受けた者。

 その程度の強さで終わってもらっては困ります、

 ホッホッホ…

 …

 そういえば貴方、外のトウキョウへ出るのは初めてですね?

 それじゃ、婆のお節介ですがひとつだけ…

 上をごらんなさい。」


 見上げると、遥か頭上にも地上が。

 周囲の彼方も大地で覆われ、東京は球体となっていた。

 祐子先生と見た受胎の時の情景が蘇りそうになる。

 それでいて暗くないのは、あの謎の声がした輝くものがあるから…


老婆

「ごらんの通り、東京は姿を変え丸い世界になりました。

 その世界の真ん中で

 …あの通り輝いているモノが見えましょう。

 あれがカグツチでございます。

 あれは、このボルテクス界を創り出した源。

 そして、この世界に住む者に力を与えているモノです。

 …

 おや、坊ちゃま。

 もう行かれますか。

 それでは、これで。

 今後ともしっかり頼みますよ。

 世界を創るも良し、壊すも良し…」


 子供と老婆はいなくなった…

 そして今度は少年と黒猫が登場する。


ゴウト

「ここがボルテクス界、か…

 どこか帝都に似た雰囲気を感じるが…

 ふん、あの老人

 …厄介な依頼をもってきたものだな。


 さて、ライドウどうする?

 ここで人修羅に接触を試みるか、それとも…」


 ライドウは静かに目で促した。


ゴウト

「…そうだな、うぬの言う通り、

 少し泳がせてみるとするか。」


 少年ライドウと黒猫ゴウトはいなくなった…

 聞いた感じ、人修羅とは俺の事か?

 隼人はそう思いながら歩き出す。


 シンジュク~シブヤ2Dフィールドを歩く。


思念体

「あんたキョロキョロしちゃって、トウキョウは初めてかい?」


隼人

「はい。」


思念体

「なら、トウキョウを案内してやる。

 ここがシンジュクで、このまま南に…

 …といっても、トウキョウは丸いから、ここを基準とした場合ね。

 このまま南に向かうと、ヨヨギ公園とシブヤの街がある。

 ちなみに、さっき人間が南に向かったぜ。」


 フォルネウスの隙を突いて逃げた者の事だろう。

 男とも女とも言わないから、勇なのか千晶なのか見当がつかない。

 ヨヨギ公園の近くにも思念体がいた。


思念体

「よお、隼人じゃねえか。

 …そういえばおまえ、

 このトウキョウのウワサ、知ってるか?」


 口調からして、受胎前の男子高校生のようだ。

 俺の姿が変わっても対応が変わらない。

 自身も変わったからだろう。


隼人

「いいえ。」


思念体

「強い意志をもったヤツが、

 この混沌としたトウキョウを新しい世界に変えちまうって話だ。

 …そんなのウソだね!

 トウキョウはずっと混沌のままだ!

 ヒャハハハハハ!」


 たぶんシブヤで話のネタを仕入れているんだろう。

 さて、フィールドを半分くらい歩いたところでヨヨギ公園に到着。


ピクシー

「わーい!!

 やっとついたー!

 あなたとは、ここでお別れよね?」


隼人

「いいえ。」


ピクシー

「ヨヨギ公園に着いたんだから、これで取引終了でしょ。

 ひょっとして…

 ずっと一緒にいたいとか思ってる?」


隼人

「はい。」


ピクシー

「…ふーん。

 そう言われると悪い気はしないわね。

 しょうがないなぁ…

 もう少しだけ付き合ってやるか!」


 これで妖精ピクシーの仲魔継続確定。


※かなり後に訪れるアマラ深界の扉を開く為に必要な存在。

 別れない方が良い。


 ヨヨギ公園での出現悪魔はピクシーのみ。

 ピクシーが誘惑を使ってピクシーに話す同族会話を行うと、

 運が良ければアイテムをくれたり、回復してくれたりする。

 今回は傷薬を2個と、HPの回復をしてもらった。

 広場中央の宝箱からチャクラドロップ1個入手。

 広場の右手には夜魔インキュバスがいる。


悪魔(夜魔インキュバス)

「泉の聖女はイカすね。

 もう会った?」


隼人

「いいえ。」


悪魔

「会ってなけりゃあ、この先の回復の泉にトットと行きやがれ。

 …イカすから。」


 まずは行ける箇所を探索してからだ。

 安全第一の前に思念体がいる。


思念体

「奥の工事現場は、妖精たちの棲家になってるよ。

 だから、そこの扉は閉められちゃって、

 工事現場には入れないんだ。」


 とりあえず試してみるが、

 扉は向こう側からロックされている…


 向こう側から開けるのは当分先。

 広場の左手にも思念体がいる。


思念体

「あの通信塔に覚えがある…

 氷川という名前が思い浮かぶ…

 そして、ヒドイ目にあった気がする…」


 受胎前、氷川に粛清(殺)された者だろうか。

 聞くだけ聞いて奥に進むとまた思念体。


思念体

「どうして妖精たちは、工事現場なんかを占領してるのかしら?

 大量のマガツヒでもあるとか…」


 行き止まりの箇所には宝箱。

 ディスポイズンを1個入手。


 全てまわったところで聖女の泉のある方に移動。

 宝箱から魔石2個入手。

 そして思念体。


思念体

「シブヤに人間の女が現れたらしいぜ。

 なんでも、病院から抜け出てきたって噂だ。」


 病院で言われていたのは、千晶か祐子先生のどちらかか。

 勇の情報が無いのも気にしながら、ひとまず聖女の泉へ。


泉の聖女

「ここは回復の泉…

 御身の事は存じております…

 私の微力を尽くさせて頂きましょう…

 よくぞ参られた…」


 有料のヒールスポット。

 ここを訪れた時点で、病院の無料ヒールスポットは使えなくなる。

 聖女がアップで映るのは、残念ながら初めて訪れた時のみ。

 聖女ファンは、ここでスクショするんだろう、たぶん。

 とりあえず全回復してもらい、話を聞く。


泉の聖女

「マガタマは禍魂…

 マガタマは暴れし時、御身に黒き呪いを

 授けることもありましょう。

 この泉であれば、御身の呪いを浄化して差しあげられます。

 御心に留めて置かれますよう…」


 マガタマの効果は良い事ばかりではないという忠告だった。

 呪われた状態を活用するのは当分後の話。


 隼人たちは外に出る。


泉の聖女

「お行きなさい。

 こちらを振り返ってはなりませんよ…」


 意味深な事を言われると、振り返ってもう一度訪れたくなる。

 しかし即座に入っても特に意味は無く

「よくぞ参られた…」

 と受け入れられるのみ。

 ため息みたいな声や、軽くフフッと笑う感じの声は良い。


 聖女に会ったので、インキュバスにご報告。


悪魔

「泉の聖女はイカすね。

 もう会った?」


隼人

「はい。」


悪魔

「…たまらんね。」


 ベタボレしてるようだ。

 アップを何度も見れたら、もっとたまらんのだろう。

 たぶん。


 ヨヨギ公園の探索が終わったら2Dフィールドに戻り、

 シブヤへと向かう。

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